#3 Coward left foot he froze
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堂島にバイト先まで送ってもらった翌朝
どうやら今日も一日中、雨が続く様で傘が手放せないなとお天気キャスターの様な独り言を呟き、灰音が傘を開くと音が二重に響いた
「「あ」」
はて、何故音が二重に?と疑問を浮かべた瞳と瞳がぶつかり合い、そんな声が飛んだ。どうやら悠の学校初日の登校時間と重なったらしい
ざあざあ、と大地を濡らす雨の隙間を縫う様に二つの彩りが寄り添い歩いていた。ひょんな事から一緒に行く事になった悠と灰音の二人である
二人の間に会話はない、灰音的にはそれでも構わないのだが、悠は居心地が悪い様で当たり障りのない会話をと心がけ、自分から彼女の領域へ踏み込んだ
「えっと……神楽坂……さん?」
「言い難いなら呼び捨てで構わないですよ、私の方が年下ですし」
「分かった、じゃあ灰音って呼ぶよ」
「おおう…意外にセンパイ、手がお早い…」
「あ、意味が違ったか?」
「いえいえ、全然灰音さん的にはOKっすよ」
そうか、と安堵の息をつく悠は安心した様子。確かに突然の名前の呼び捨ては驚いたものの、そう応えた灰音の浮かべた笑顔に嘘はなかった
寧ろ親しくしようとする歩み寄りは好感が沸く、そんな彼なのだからきっと良い人達に恵まれる筈だと悠の知らぬ所でそんな確信を抱いていた
「職員室まで案内しましょうか?」
「そろそろチャイムが鳴るから、灰音は教室に行かないと遅刻する」
「本当だ、じゃあセンパイ、いじめられたら下の教室にいつでも駆け込んできていいっすからね」
「お前の教室は駆け込み寺か」
思わぬ悠の突っ込みスキルを目の当たりにした灰音は可笑しそうに笑い、下駄箱で道を別れた。教室についた頃には始業のチャイムまで後数分まで迫っていた
降り続ける雨に視線をやると気のせいでなければ、先程よりも雨脚が強くなった様だ。それに加え、霧までどこからともなく漂い始めた
外では雨と霧のコンボに見舞われていたが、そんな事は校内で授業を行う事に何の支障もなく授業は予定通り行われた
ホームルームも終わり、クラスメイトと放課後の話題に現を抜かす。これが晴れの日なら話題も尽きないのだが今日は聞いての通り、雨。誰もがこのまま帰路につく線が濃厚と思われた時、
【全校生徒にお知らせします、学区内で事件が発生しました
落ち着いて速やかに下校してください、繰り返します…】
事件――それは穏やかな時間を送る、変化に乏しい八十稲羽市に不釣り合いな単語だった
それが単なる事件でない事を示す校内放送から拾える異常さに、談笑に花を咲かせていた教室がざわめき立つ
「…確か、今日シフトいれてたよね」
自分の判断でバイトを休む訳にも行かず、灰音は懐から携帯を取り出すと慣れた手付きでバイト先の番号を電話帳から探り当てる
さて、この事件がバイト先でどんな影響を与えているかと通話ボタンを押そうとした時、
「お、いたいた…神楽坂!」
「…あれ、花村センパイ?
…どうかしたんですか?態々こっちに来るなんて珍しい」
1年の教室にやってきたのはつい数週間前、初めて菜々子と出会い、買い物に行った時に食材のアドバイスをくれたあの青年
クラスまでは一緒かは不明だが、悠と同じく2年でバイト先や校内での灰音の先輩に当たる。名前は花村陽介、彼もまた都会からやってきた人間である
「さっきの放送、聞いたか?」
「事件のことですか?物騒っすよね、こんな静かな所で事件起きるなんて。滅多になさそうなのに…」
「という訳で一緒に帰るぞ」
「……は?」
思ってもいなかった陽介からの申し出に灰音は気が抜けた一言を口の端からこぼし、その口は小さく開いたままで動きを止める
初めて会った時からそうだったが、花村陽介という人間は面倒見が良い性格らしく。バイト先や校内でも良く世話を焼いてもらっており、それに灰音も甘えていた
だがまさかここまでとは、という驚きが思考を支配していた。事件の事を聞き、帰りを心配してくれての配慮だろうが何もそこまで…という感情の類いが驚きの次に沸いて出て来た
どうやら今日も一日中、雨が続く様で傘が手放せないなとお天気キャスターの様な独り言を呟き、灰音が傘を開くと音が二重に響いた
「「あ」」
はて、何故音が二重に?と疑問を浮かべた瞳と瞳がぶつかり合い、そんな声が飛んだ。どうやら悠の学校初日の登校時間と重なったらしい
ざあざあ、と大地を濡らす雨の隙間を縫う様に二つの彩りが寄り添い歩いていた。ひょんな事から一緒に行く事になった悠と灰音の二人である
二人の間に会話はない、灰音的にはそれでも構わないのだが、悠は居心地が悪い様で当たり障りのない会話をと心がけ、自分から彼女の領域へ踏み込んだ
「えっと……神楽坂……さん?」
「言い難いなら呼び捨てで構わないですよ、私の方が年下ですし」
「分かった、じゃあ灰音って呼ぶよ」
「おおう…意外にセンパイ、手がお早い…」
「あ、意味が違ったか?」
「いえいえ、全然灰音さん的にはOKっすよ」
そうか、と安堵の息をつく悠は安心した様子。確かに突然の名前の呼び捨ては驚いたものの、そう応えた灰音の浮かべた笑顔に嘘はなかった
寧ろ親しくしようとする歩み寄りは好感が沸く、そんな彼なのだからきっと良い人達に恵まれる筈だと悠の知らぬ所でそんな確信を抱いていた
「職員室まで案内しましょうか?」
「そろそろチャイムが鳴るから、灰音は教室に行かないと遅刻する」
「本当だ、じゃあセンパイ、いじめられたら下の教室にいつでも駆け込んできていいっすからね」
「お前の教室は駆け込み寺か」
思わぬ悠の突っ込みスキルを目の当たりにした灰音は可笑しそうに笑い、下駄箱で道を別れた。教室についた頃には始業のチャイムまで後数分まで迫っていた
降り続ける雨に視線をやると気のせいでなければ、先程よりも雨脚が強くなった様だ。それに加え、霧までどこからともなく漂い始めた
外では雨と霧のコンボに見舞われていたが、そんな事は校内で授業を行う事に何の支障もなく授業は予定通り行われた
ホームルームも終わり、クラスメイトと放課後の話題に現を抜かす。これが晴れの日なら話題も尽きないのだが今日は聞いての通り、雨。誰もがこのまま帰路につく線が濃厚と思われた時、
【全校生徒にお知らせします、学区内で事件が発生しました
落ち着いて速やかに下校してください、繰り返します…】
事件――それは穏やかな時間を送る、変化に乏しい八十稲羽市に不釣り合いな単語だった
それが単なる事件でない事を示す校内放送から拾える異常さに、談笑に花を咲かせていた教室がざわめき立つ
「…確か、今日シフトいれてたよね」
自分の判断でバイトを休む訳にも行かず、灰音は懐から携帯を取り出すと慣れた手付きでバイト先の番号を電話帳から探り当てる
さて、この事件がバイト先でどんな影響を与えているかと通話ボタンを押そうとした時、
「お、いたいた…神楽坂!」
「…あれ、花村センパイ?
…どうかしたんですか?態々こっちに来るなんて珍しい」
1年の教室にやってきたのはつい数週間前、初めて菜々子と出会い、買い物に行った時に食材のアドバイスをくれたあの青年
クラスまでは一緒かは不明だが、悠と同じく2年でバイト先や校内での灰音の先輩に当たる。名前は花村陽介、彼もまた都会からやってきた人間である
「さっきの放送、聞いたか?」
「事件のことですか?物騒っすよね、こんな静かな所で事件起きるなんて。滅多になさそうなのに…」
「という訳で一緒に帰るぞ」
「……は?」
思ってもいなかった陽介からの申し出に灰音は気が抜けた一言を口の端からこぼし、その口は小さく開いたままで動きを止める
初めて会った時からそうだったが、花村陽介という人間は面倒見が良い性格らしく。バイト先や校内でも良く世話を焼いてもらっており、それに灰音も甘えていた
だがまさかここまでとは、という驚きが思考を支配していた。事件の事を聞き、帰りを心配してくれての配慮だろうが何もそこまで…という感情の類いが驚きの次に沸いて出て来た