TURN-019 痛くて苦しくて、だけどそれは、
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「ここで伏せていたカードか…!」
「永続罠『エフロエンス・ラストコール』!このカードは相手モンスターの攻撃宣言時に発動出来る!
自分のフィールドにモンスターが存在しない時、LPを半分にする事で墓地の【エフロエンス】と名の付くリンクモンスターを2体まで特殊召喚し、リンク召喚を行う!」
「私のバトルフェイズ中にリンク召喚だと?!」
「彼方より現れて……未来への懸け橋!召喚条件は植物族モンスター2体以上!私はラ・ピュセルとホーリーソングをリンクマーカーへセット!
今こそ、天空へ大いに花開け!リンク召喚!リンク4!《エフロエンス・サルヴェ・レジーナ》!!」
トポロジック・ボマーの攻撃力は3000でクロッシェが呼び出したサルヴェ・レジーナの攻撃力は2800、たったの200という差が憎い
けれど、ここで彼女に盾になってもらう事でLPへの大きなダメージを軽減し、次のターンへ繋げるしか今のクロッシェには勝利する道がないのだ
「ならば、私も見倣わせてもらおうか…伏せカード、オープン!罠カード『リモート・リボーン』!
貴様の墓地の《エフロエンス・ホーリーソング》を《トポロジック・トゥリスバエナ》のリンク先となる相手のメインモンスターゾーンに特殊召喚する
その際、『エフロエンス・ガーデン』の効果で貴様のLPは500回復し、私はホーリーソングの効果で100Pのダメージを受ける」
「一体、何を…!」
「トゥリスバエナの効果発動!このカードのリンク先にモンスターが特殊召喚された時
そのモンスター及びフィールドの魔法・罠カードを全て除外し、除外した相手のカードの数×500Pのダメージを相手に与える!」
「っ…?!」
「<マイグレーションフォース>!!」
「く…ぅ…!」
トゥリスバエナの効果を受けたベルスーズが悲鳴をあげながら、再び墓地へと還っていく。その悲鳴は超音波として、本来癒す筈のクロッシェのLPを傷付けた
――効果が未知数であったトゥリスバエナへの対応を疎かにしたクロッシェの完全なる油断が招いた結果だった
「《トポロジック・ボマー・ドラゴン》で《エフロエンス・サルヴェ・レジーナ》を攻撃!<終極のマリシャス・コード>!!
《トポロジック・ボマー・ドラゴン》の更なる効果を発動!攻撃した相手モンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手へ与える」
《オイ、あれ!》
二人の決闘が展開する荒野へとマスコミの人間に誘導されたPlaymakerの瞳にサルヴェ・レジーナを破壊され、目の前の赤いドラゴンの攻撃を身構えるクロッシェが映った
走り出す、先程よりももっと早く。一瞬、立ち止まった足が恨めしい。一瞬でも立ち止まらずに走り続けていれば、この手は――
「大いなる天の女王への賛歌の中へ消え去るがいい、偽の聖女よ!<エイミング・ブラスト>!!」
悲鳴らしき悲鳴はあげず、その最期は実に静かなものであった
トポロジック・ボマーの攻撃で空へ投げ出されるボロボロの体、髪飾りが壊れたせいで抑える事が出来なくなった長い髪。全てが、滅びゆく星の終末の輝きに似ていた
「オイ、…オイ、しっかりしろ!」
「ぅ…プレイ、メー、カーさん…?」
地面に叩きつけられたクロッシェの体を抱き起こすと彼女はPlaymakerの姿を視界に捉えると、いつもの様に瞳を蕩けさせた
こんな時なのに――否、こんな時だからこそ、クロッシェはいつも通りで終わりたいと思ったのだろうか。そんな彼女は自分の立つ現実を良く理解していた
「……私…やられちゃったんですね…でも、少しは…時間を稼げた、かな…」
《うん、良くやったと思うぜ…》
「ふふ…ありがとう…」
あのAiでさえもおどけた調子を抑え、その挑戦を讃える様にクロッシェの言葉に返答をした
半ば独り言の様だった言葉に称賛という言葉で返してもらったクロッシェは笑った、嬉しそうに、とても穏やかに
「……る、な」
《プレイメーカー?》
「消えるな…椎名…!」
「――」
頭を強く抱きかかえられ、首筋に埋まるクロッシェの瞳は丸々と見開かれた。このアバターのリアルでの名前を知っている事にではなく、消えるなとPlaymakerが願ってくれた
それは何て幸福で、名誉な事だろう。ただ、自分が勝手に一目惚れをしてしまって、こんな所まで勝手に追いかけてきただけなのに、そんな自分に生きてくれ、と
でもPlaymakerに生きて欲しいのはクロッシェも同じで、だから言わなければならない。これだけは絶対に伝えないと。最後の力を振り絞り、クロッシェは声を潜めた
「……リボルバー、の持ってるカード、は――」
「…!」
「 ありがとう 」
「っ?!」
伝えたいことは全て伝えた、データ化の波が彼にまで移らない様にクロッシェはPlaymakerの胸を突き放す
好きな人に少しでも眼中にいれてもらえていた、今まで好きでいさせてもらえたお礼も言えて、最期には恋する少女でいられた、後悔はない
――ない筈なのに、あの翡翠の瞳を見たら、あの少年に会いたくてたまらなかった
痛くて苦しくて、だけどそれは、
(全てが恋にまつわる痛み)
(それを知った私は、きっと幸せだった)
「綾乃…ああ…!」
「…母さん、主治医の先生を呼んできてくれ」
「あなた…?」
「この子は…ちゃんと選んでいたんだな」
「それ…!」
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