TURN-014 割れた鏡の破片が突き刺さる
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「っわ…!」
一歩踏み出した場所にトリガーがあった様で微かに中空へ浮遊した足と、誰かに持ち上げられた様にクロッシェの両腕に可視化された数式がデータラベルの拘束具として、現れた
それが何らかの罠である事にクロッシェが気付くのは早く、いち早くログアウトしようと辛うじて拘束されても動く指先でステータス項目をスクロールさせ――
―ログアウト項目が、ない…?!
「お気づきになった様ですねぇ」
「!」
「誰、という顔ですね。お初にお見えになります、私、Dr.ゲノムという…ハノイの騎士でございます」
「ハノイ…!」
こうして、クロッシェが本物のハノイの騎士と対峙するのは初めてだ
初めてPlaymakerに会ったきっかけにもなった偽物のハノイの騎士とは違い、目の前の男からは無差別に誰かを傷付けるという意思は垣間見えない
けれど、必要になれば、この男は人を傷つける事も厭わないのだろう――こんな相手とPlaymakerはずっと、
状況は最悪だが、判明した事が一つある。現在、蔓延しているアナザー事件はハノイの騎士が有する技術で行われているという事。それはクロッシェのステータス画面からログアウト項目を消した事で明らかだ
何の目的があって、Dr.ゲノムと名乗ったハノイの一味は自分をここに。それもわざわざ、逃げられない様にログアウト項目まで消して、だ
「自分がここに連れてこられた原因が分からない、という顔ですね~
答えを簡単に出すのはつまらないですが、今日はお答えしましょう!」
ペラペラと求められたわけでもなく、Dr.ゲノムはこの場所―ハノイの騎士達の本拠地に何故、クロッシェを連れてきたか、その理由を語り出した
リボルバーとPlaymakerの決闘ログで映っていたクロッシェが、自分達のリーダーであるリボルバーが探るPlaymakerの正体を知っているのではないか、そう仮説を立てたDr.ゲノムは彼女を罠に嵌めたのだという
「そのついでに、君がPlaymakerが認める腕前の決闘者と見込んで頼みがあるのです」
「…聞きたくないですが、聞かなきゃいけない流れですよね。これ」
「話が早い!率直に言うと貴女のDNAをサンプルで頂きたい!」
「いやー!変態―!! 助けて、プレイメーカーさぁぁん!!!」
「ふふ、そのプレイメーカーのDNAと掛け合わせれば…より強い決闘者のDNAが生み出される事でしょう」
「プレイメーカーさんと、私の…?つまり…私とプレイメーカーさんの子供…
そ、それってほぼけっこ…きゃー!! 私はいつでもその準備は出来ています!ですが、」
それまではDr.ゲノムの言葉に反発して暴れていたクロッシェの動きは、彼の言葉に魅力を感じ、内からこみ上げる衝動に身を任せるものへと変貌した。恋する乙女モード(クロッシェ案)である
ここにPlaymaker本人がいれば、間違いなく鉄拳が飛んでいた事だろう。それを想定したのか、そこからはクロッシェではなく、綾乃としての側面の方が強く出たのか、”彼女”は静かに否定した
「プレイメーカーさんは動揺したりしないと思いますよ
だってプレイメーカーさんにとって、私は路傍の石に過ぎない存在なんですから」
「私が興味あるのは、より強いDNAを誕生させる事!君の意見は聞いてないのですよ」
そう言って、Dr.ゲノムはログアウトーもしくは別の場所へ転移した様で静寂が訪れる。変人とはいえ、ハノイの幹部らしき男と接触し、平常を保つ為に溜め込んでいた息を吐きだす
ここ最近、自分の意見はそっちのけでイベントが進むな、と思わず苦笑がこぼれるクロッシェ。まだまだ余裕ではある様だ、これが綾乃だったなら、ただ悲観するだけだっただろう
――どくり
心臓が嫌な音を立てた事に気付き、クロッシェは驚いた様に胸元を見下ろした
胸元から白いテクスチャに塗り替えられていく体、色素を失っていく髪と同時に混濁していく意識。――電脳ウィルスだ
―私、あたし、わたし、?、??、???
―わたしは、だれ?
―はたして、どっちがどっちだったっけ?
「これでマコトと綾乃が助かる…」
「それはどうでしょうね…」
「なに?!」
苦戦は強いられたものの、再度LINK VRAINSにカリスマ決闘者として返り咲く様にDr.ゲノムをGo鬼塚は倒した。それなのに彼は胸騒ぎがした、これで終わりではないのではと疑問が浮かぶ
自分と同じ施設で育ったマコトがアナザー専用のICUに収容された、と聞いた鬼塚の前で新たに病室へ運ばれる少女は自分が応援すると誓った、脊髄の手術に臆病になっている綾乃だった
「どういう事だ!その言葉はマコトか?それとも、綾乃の方か?!応えろ!」
「”彼女”には、他の者とは違うものを仕込んであります…そう簡単には、見つからないでしょうね」
割れた鏡の破片が突き刺さる
(今まで見て見ぬふりをしていた)
(“私は果たして、どちら?”)
「――」
―アイツも、椎名もアナザー被害者の一人
「ハノイ…!」
.