TURN-012 正義を貫く為にある怨嗟
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──確実にPlaymakerの地雷を踏みぬいた
妹思いで、見ず知らずのPlaymakerを思い、真実を追求する役目を代行する事さえ厭わない、晃はいい人なのだろう。それをPlaymakerは冷静さを取り戻そうとする頭で理解していた
でも彼が知っているのは現実のPlaymaker―藤木遊作ではない、仮想現実のアバターという水面に映る影だけ。そんな晃に全てを知った様な口を叩かれるのはPlaymakerにも我慢いかなかった
「……」
―ああ、そうだ。私もそうなんだ
二人の決闘を見守るクロッシェの胸に鋭い痛みが走った、その痛みはPlaymakerの言葉が棘として刺さった合図
―何を知った気でいたんだろう、私だって…どこかの誰かが操る”Playmaker”というアバターを通してしか、彼を知らない
それなのに、私は…晃さんと同じ様な事を。何も失った事がないのに、
「…っ」
―だめ。私はクロッシェ、綾乃じゃないの
「お兄様!」
「!葵ちゃ…」
気が付けば、ブルーエンジェルが一歩前に出ていた。彼女を引き止めようと引き摺られる形で現れたクロッシェの瞳とブルーエンジェルを追いかけていた翡翠色の瞳が交錯する
この人が失ったものの大きさは計り知れない、分かっていながら、自分は何をしようとした?まともに瞳も合わせられない。その事実に膝が震える、それに気付いたPlaymakerが怪訝そうに眉を顰めた
―でも、私は
貴方の事を知りたい
「プレイメーカーさん。LINK VRAINSに何故、貴方は突如として現れたのか。何故、ハノイの騎士と戦い続けているのか…幾ら考えても、私には分かりませんでした
その理由が10年前にあるのなら、私は知りたい。他ならない貴方の口から聞きたいんです。聞かせて下さい、10年前に一体何があったんですか?」
「何故、そこまでアンタは俺にこだわる」
「…何度も言ってる筈です!私は貴方が大好きですって!」
「……」
「貴方はブルーエンジェルさんと同じ様に地に足がついていない、幽霊みたいな私にこの仮想現実の世界で目を止めてくれた
そうやって好きになった貴方の事をもっと知りたくなった。虚構、憶測、推測でしか知らない私の中の貴方を”現実のもの”にしたいんです」
《ひゅう!これって告白って奴だよな?プレイメーカー様よ!》
親友が行った、いわゆる公開告白にPlaymakerにクロッシェを取られたという怒りから拳を震わせるブルーエンジェル
きっとこれだろう、Playmakerというどこの誰かも知らない人間を好きになったという事が病院での葵による追求に綾乃が言いたくても言わなかった事は
「大好き、なんて一言も言われた事はない」
「え」
「~っ!!!」
「葵、落ち着きなさい。私が話そう、何が起きたのか
10年前、ある事件が起きた。それはロスト事件と呼ばれていたらしい」
ロスト事件を起こしたある組織によって、6人の子供が次から次へと行方不明―誘拐されたという
「そして、その6人の子供の1人が…」
「まさか…」
「貴方なの?プレイメーカー!」
「もういい、財前。自分の過去を他人になど語られたくはない」
「プレイメーカーさん、じゃあ…今の話は本当に…」
「誘拐された俺達はある場所に1人ずつ監禁された」
生活臭が徹底に排除された空間で強要されたVR空間での決闘
やがてそこでの生活はVR空間での決闘で管理されるようになった、満足な食事さえ取るのにも決闘で勝利しなければ――
「いつ、ここから出られるのか、いつまで自分が生きられるのか
何も分からない不安の中で俺達は決闘を続けた」
「ひどい…そんな事を子供に」
自分の話を聞いているであろうクロッシェへ微かに視線を配るも、彼女は何も言わなかった
それは彼の過去に関心がない訳でも、優しいだけの訳でもなく――クロッシェはPlaymakerの話に自分の感情をいれず、ただ客観的に聞いている。その姿があの病院に閉じ込められた少女と重なる
「そこがどこなのか、監禁されてどれだけの時間が経ったのか、誰も教えてはくれなかった」
「だが半年後、事件は突然解決した」
ロスト事件と呼ばれた事件が発生してから半年後、Playmakerと他の5人の子供達は大人の手によって救われた
しかし、彼らを誘拐監禁した犯人は分からず、その事件自体、なかったことの様に隠ぺいされたのだという
「お兄様はプレイメーカーの正体を?」
《オイオイ!》
「残念ながら、それは分からなかったわ
被害者には国家のSランク保護プログラムが適用され、情報は守られた。ここにプレイメーカーの正体は残されていなかったわ」
《ふぃ~…危ない危ない…》
「財前、俺達は本当に救われたと思うか?俺達は何も救われていない!」
彼の人生は、時間はロスト事件によって断ち切られた
その断ち切られた人生と今を繋げる為、あの事件で深い傷を負った被害者、被害者家族、そして何度もあの地獄の様な半年の間に自分を励まし続けた人物を救う為にも彼はあの事件の真相を知る必要があった
「財前…ないんだよ、俺には
人生が途切れた俺にはお前が言った友や恋人と語らう未来も、かけがえのない時間も」
「プレイメーカーさん…」
《俺、やっぱり友達じゃないんだ…》
Playmaker自身も事件で負った心の傷を癒そうと、事件を忘れようとした事もあった
けれど――あの場所で負った光景は彼の血肉となり、目に焼き付き、彼の脳裏から引きはがす事はなかった。だから、彼は復讐に身を落とす事を決めた
「俺は懸命に事件を調べ、そして探し当てた
ロスト事件が別名「ハノイプロジェクト」と呼ばれていた事を」
「「ハノイプロジェクト」?!」
「やっぱり、ハノイの騎士がロスト事件と関係してるんですか?」
「だからこそ、俺はハノイを追っている」
《「ハノイプロジェクト」か…》
「なるほど。だがどうやら、君が知っているのはそこまでのようだな」
「どういうことだ?」
どうやら、Playmakerの持つ情報はロスト事件が別名「ハノイプロジェクト」と呼ばれ、LINK VRAINSに出現する様になったハノイの騎士が関係している、という事までの様だ
更にまだそこから続く真実がある様に、思わせぶりな態度を取る晃にのめり込む。晃は先にここに来て、自分の欲する情報を入手している。自分の知らない何かを知っていても可笑しくない
「ここにあるデータには「ハノイプロジェクト」の首謀者の名前が記録されていた」
「なんだと?!それは…誰だ?!」
正義を貫く為にある怨嗟
(相手も自分も焼き尽くす)
(それは、諸刃の刃)