TURN-010 翡翠の視線が貫く
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「こんにちは、葵ちゃん」
「綾乃、どうしたの?」
「お母さん達からフルーツが届いたから、一緒に食べないかなぁって」
「頂くわ」
親友からの返事に良かったといっぱい送られてきたから食べきれなくて、そう微笑みながら、綾乃は膝に置いていたバスケットをサイドテーブルへと置いた
Playmakerとリボルバーによる激闘から早くも数日が経った、その間に目を覚ました葵は医師や看護師が常駐する検査室から一般の病室へ移され、早いもので明日にも退院を言い渡されていた
「明日には退院なんだよね、葵ちゃん」
「ええ。学校で起こった事をまた綾乃に話せる様になるわね」
「葵ちゃんは学校にちゃんと行って、楽しい学校生活を過ごしてね
私ね、葵ちゃんが楽しそうに学校で起こった事を話してくれる姿が凄く好きなんだよ」
「……」
「あ、葵ちゃん?」
一瞬の無言に、何度も自分宛てにフルーツを送られてくる内にフルーツをカットする事に慣れを覚えた綾乃の手が止まった
自分の言葉に目を丸くする葵の表情は完全に意表を突かれた様子で、綾乃は何か失言をしてしまったかと思うが、今の発言にそんなものはなかった筈だ。それを裏付ける様に葵はふと微笑んだ
「綾乃、変わったわね。この病院に移ってから、自分の思っている事なんて言おうとしなかったのに…」
「そう、かな」
「そうよ、だから少しだけ…それが寂しかった。私は貴女の親友なのに、何も言ってくれないんだって
でもそれが変わりつつあることが何より嬉しいわ、いい方向に変わる事が何かあったのね」
そう言って、微笑を深くする葵。彼女に笑顔を向けてもらえるのは親友である自分―綾乃の特権だ。いい方向に変わる事、その言葉で綾乃の脳裏にすぐさま思い浮かんだのはPlaymaker
彼に偽物とはいえ、ハノイの騎士から助けて貰った事で自分の世界は広がり始めた。――初めて、異性の人を好きになるという事を知った
「ふふ、顔真っ赤よ?綾乃」
「い、言わないで…自分でも分かってるから…」
―青から橙色へと移り変わる空の下にある屋上で、綾乃は一瞬のコントラストを楽しんでいた。この時間が、彼女は何より好きだった
葵による追及は凄まじかった、危うくPlaymakerの事を口から漏らしてしまう程に。結局、LINK VRAINSとブルーエンジェルの存在が自分を変えたのだという事で落ち着いてくれた、出まかせは言っていない
「10年前…プレイメーカーさんはそこから生じた復讐者…その事実にリボルバーさんは驚きを隠せてなかった
まだ私が6歳の頃、ハノイの騎士は既に活動して、プレイメーカーさんからその時間を奪った…?復讐の為にハノイの騎士と戦い続けてるんだ…プレイメーカーさんは」
あの二人の口ぶりからするに、その10年前の事件の被害者にPlaymakerが含まれ、彼は自分を助けながら、救えなかった友の行方と何故、事件が起こったのか―その真実を追っている様だ
咄嗟に思ったのは、ハノイの騎士と戦い続ける―そんな危険な事を続けた先に何の意味があるのか、という純粋な疑問だった。ハノイの騎士を討った後、Playmakerはどうするのだろう
復讐を生きる糧にしている彼は、生きる意味を失うのではないか?そこに行きついた綾乃は彼に復讐を止めてほしいと思った、Playmakerが生きる糧を失ったと知った時の喪失感は計り知れない
何てことだろう。Playmakerはハノイの騎士を憎みながら、ハノイの騎士を憎むという事で生かされてる
―こんな時、クロッシェだったらどうするだろう…
「いけない…彼女も、私に違いないのに…
…分からない、クロッシェが綾乃なのか…綾乃がクロッシェなのか……」
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