TURN-026 羽ばたいた星は戻る術を知らずに
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「穂村くん、遊作くん!おはよう」
「おはよう、椎名」
「椎名さん、おはよう」
「昨日はありがとう、穂村くん、凄く楽しかったよ」
「…昨日?」
その訝しむ様に翡翠の色を持って貫く視線に前日、綾乃を寄り道へ誘った事を遊作へと言っていなかった事を尊は思い出した
断じて変な事は起こらなかったし、起こしもしなかった事を遊作へ釈明しようとする尊から離れ、綾乃は彼女なりの全力で目の前を歩く背中へ声をかけていた
「おはよう!葵ちゃん」
「……」
微かに一瞥し、挨拶をして来たのが綾乃だと気付いた葵は無言を貫いた
学校へ向かう葵の後を追いかけながら、遊作と尊へ頭を軽く下げた綾乃の表情は少し晴れやかで、追いかけられる立場である葵も綾乃が着いて来易い様にと歩幅は小さい
喧嘩していたとしても結局、あの幼馴染同士の少女達はお互いの事が大切で嫌いになる事なんて出来なくて、気になってしまうのだ。きっとそれを言葉にすれば、許し合えてしまう程には
「二人とも、本当にLINK VRAINSと全然イメージ違うな
ブルーガールとの決闘は熱いものになったけど、ファルシュと決闘する機会がいつかできたらいいな!遊作は彼女と決闘した事は?」
「…一度だけある」
「へえ…」
それは忙しく駆け抜けた三ケ月前の数多く取り上げられた事件の裏で行われた決闘だった
ハノイの騎士によって捕らえられ、アナザー事件の被害を拡大させる為の病原体パソージェンとなった綾乃を現実へ連れ戻す為に行った決闘、それが初めてのクロッシェとの対戦となった
パソージェン化している間の綾乃に記憶はない、彼女に残ったのは多くの決闘者をアナザーにしてしまったという罪悪感だけ。その罪滅ぼしにとクロッシェはリボルバーへと挑み、そして、
今、葵と対立しながらもこの事件に関わる事を選んだ綾乃の原動力はそれなのだろうか
「この決闘、残念ながらゴーストガールさんの勝ちで決まりそうですね」
「っ!誰?!」
眼下でゴーストガールに持ち掛けられた決闘に臨むブレイブマックス―もといクラスメートの島直樹が、自分の宛とは違い、Playmakerの情報を握っている可能性を失った時のこと
決闘を冷静に分析している様でいて、実質は自分へ呼びかける目的で放たれた声へとブルーガールは弾かれる様にして背後へと振り向いた
見た事のない決闘者のアバターだが、自分がここまで気付かなかったという事は目の前の彼女に気を許しているということ、そこに該当する存在をブルーガールは1人しか思いつかなかった
「貴女…綾乃ね、今更私に何の用?」
「用らしき用事はありません、ただ遠くからでも顔が見えたらいいかなと思ってログインしてきたんです
そしたらゴーストガールさんがあの決闘者さんに決闘を挑んでいるのを見たので、近くに貴女がいると考えただけです」
「じゃあ、貴女の傍にはプレイメーカーやソウルバーナーでもいるのかしら」
「…残念ながら、私は単独行動をしているだけですから
でも良かった、遠くからと思ってた貴女をこんな近くで見る事が許されて…嬉しいです」
控えめに向けられた笑顔にブルーガールの心が揺らぐ、いつもそうだ、彼女は自分が誰かを傷付けた時にこんな表情をする。例え悪い事をしていないとしても悪者にしてしまう
緊急だったにも関わらず、ブルーエンジェルとしての葵を見に来たのもきっと応援しに来てくれた為。──そんな事をされたら、遠ざかる背中に指を伸ばしたくなってしまう
「──待ちなさい!」
「……」
「ファルシュ、だったわよね、ソウルバーナーが言った通りならだけど
ここで私と決闘して。やっぱり貴女の言い分や行動には納得がいかない!憂さ晴らしくらいは付き合ってくれるわよね」
「…ええ、貴女ならそう言うんじゃないかと思ってました。その決闘、受けて立ちます!」
この申し出をファルシュが断らない事は薄々分かっていた
彼女はいつも葵のお願いや頼みを受け入れてきてくれた、だから今回だってそう、そう──力になってくれると思っていたのに
「「デュエル!」」
「先攻は頂くわ、私のターン!手札からフィールド魔法『トリックスター・ライトステージ』を発動!
その効果で私はデッキから《トリックスター・リリーベル》を手札に加え、ドロー以外で手札に加わったリリーベルを特殊召喚する!
更にリリーベルを対象に《トリックスター・マンジュシカ》の効果発動!自身を特殊召喚!リリーベルを手札に戻し、そして…」
「ドロー以外の方法で手札に加わったリリーベルは特殊召喚される、ですね」
「その通りよ」
何度、この仮想空間や現実で綾乃とは決闘して来たかは正確に覚えていない
だけどブルーガールが扱う【トリックスター】デッキの戦法を網羅するくらいにはファルシュはブルーガールのデッキで鍛えられて来た、何度も挑んでは負け、デッキを組み直してきたのだ
「輝け!勇気と決意のサーキット!私はリリーベルをリンクマーカーにセット!
リンク召喚!現れよ、リンク1!《トリックスター・ブルム》!ブルムのリンク召喚に成功した時、相手はデッキからカードを1枚ドローする」
「……」
「マンジュシカの効果発動!相手の手札にカードが加わる度に加えたカードの数×200Pのダメージを与える!」
「っく…!」
―ライトステージが発動しているから、更に200のダメージ…いつも、これで…!
「まだ終わりじゃないわ、もう一度輝け!勇気と決意のサーキット!私はブルムとマンジュシカをリンクマーカーへセット!リンク召喚!現れなさい、リンク2!《トリックスター・ホーリーエンジェル》!
更に私は手札から《トリックスター・マンジュシカ》を通常召喚!ホーリーエンジェルの効果!リンク先に【トリックスター】モンスターが召喚・特殊召喚される度に200のダメージを与えるわ!
そしてホーリーエンジェルの効果で与えたダメージ分、ターン終了時まで攻撃力がアップする!私はこれでターンエンド。さあ、貴女の番よ」
「…私のターン!ドロー!」
「マンジュシカの効果発動!」
「っ…!」
お互い、あの三ヶ月前に起こったハノイの塔で消え去った身、そこから葵が自分のデッキを見直して生まれ変わった様に綾乃もきっと
どんな戦法が飛んでくるかは全く分からない、いわば未知数というやつである。十分にフィールドに展開された戦況を見つめ、熟考する事1分もなくファルシュは動き出した
「私は《エフロエンス・フェリチタス》を召喚!フェリチタスの召喚に成功した時、その効果で相手フィールド上に表側表示で存在するモンスターの攻撃力を800Pダウンさせます!
この効果で攻撃力がダウンしたモンスターの数の分、私はデッキからカードをドローします!」
「マンジュシカの効果を発動し、更にホーリーエンジェルの攻撃力はアップ!」
「フェリチタスの効果で手札に加わった《エフロエンス・アガサ》を特殊召喚します!そして、私はフィールド魔法『エフロエンス・イグべラント』を発動!
自分フィールドに存在する【エフロエンス】モンスター1体につき、300P LPを回復!この時、回復したLPの数値分、相手LPへダメージを与える!」
「これくらい…!」
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