TURN-039 幸福である為に課される重み
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「尊くん、不霊夢さん、お疲れ様」
「綾乃…」
「差し入れにおにぎりとお味噌汁作ってきたの、良かったらどうかな?」
《食べられないのがもったいない程に綺麗なものだな》
差し入れと称されたおにぎりを進めながら、綾乃は今まで不霊夢と話していた様に遠目で見えた尊を眺める
彼女から見た尊の顔にはまだ拭い切れない不満や胸の内に燻り続ける炎がちりちりと見え、こうして眺める綾乃の瞳を焦がす様に燃え続けている様だ
「私ね、別にあの時に尊くんがリボルバーさんに向けた感情は間違いじゃなかったって思うの
正直、私も鴻上先輩に会った事はあってもそれでハノイの塔で消滅する事になった因縁は消えないし、今回もあの塔を再起動させる事はとても怖い」
結局、Soulburnerから叩きつけられた挑戦状を受け取ったリボルバーはSoulburnerへ何も手を出さなかった
例えモンスターの攻撃に身を晒され、ライフポイントが0になろうとしてもリボルバーは手札を切ろうとはしなかったのだ
平等ではないその決闘を中断させるに至ったSoulburnerの怨嗟や深い悲しみを含ませた叫び声はまだ耳にこびりついたままで、それを聞いた綾乃もハノイの起こした渦中の被害者であった事を彷彿とさせた
「でも私の話を聞いても、尊くんは怒ったりしないんだろうなって」
「当たり前だろ、綾乃が感じた消える時の恐怖っていうのは俺には分からないけど凄く痛くて悔しいだろうなっていうのは想像がつくさ」
《尊、素が出てるぞ》
「う…」
「ふふ、だから私も貴方がリボルバーさんに向けた感情は間違っているなんて否定はしないよ
私も二人が失ったものの大きさは分からない、でも尊くんが抱いた感情はきっと私からするとこの星空を綺麗だって当たり前に思う様に、抱くのは当たり前で権利だと思ったんだ」
あの白い病室にいた頃、ふと何の気なしに遊作へ「復讐とはどう思うか」と聞いた事があった
その時、彼は「復讐は被害者に与えられた唯一の権利」であり「何も知らない人間がどうこう言う筋合いはない」と言い切った
尊が抱く感情が彼の過去を清算させる為に必要なものなら、遊作の時の様に綾乃は見守ろうと思った。そして彼らが過去にケジメをつけたなら未来を見据えて欲しくもある
「だからその感情はリボルバーさんと本当の意味で決着を着ける時まで抱いたままでもいいと思う
だけどその想いを手放す時が来た時は、尊くんが今よりももっと前に行く為にどうするか…未来を考えて欲しい」
《尊、君は最初から十分に成長した。だがその先を考える事も綾乃が言う様に必要な事だ》
「未来、か…それこそ不霊夢が言った様に、俺も自分の殻を破って転生を今度こそ果たすべきなんだろうな。ありがとう、綾乃、不霊夢」
「ううん、お礼を言うのは本当なら私の方だから」
「え?何かしたっけ?」
尊が驚いた様に目を瞬かせるのと同様に綾乃も思いもかけない彼の言葉に瞳を瞬かせた、不霊夢に聞こうにも彼自身も何の事か分からない様で首を傾げている
お礼を言うべきなのは本来綾乃の方で間違いない。彼らがファルシュとして惑い、嘆き、道を選べない時に手を差し伸べてくれたからこそ、今の彼女がいるのだから
―聖女と呼ばれた人達だって俺達と同じ人間だ、なら悩んだり躓いた事だってきっとあった筈だ
そんな中で見つけた自分だけの答えを信じて貫き通したからこそ、ファルシュも胸の中にある本心を貫きたいと聖女達に憧れてる様に俺には見える
―ファルシュ、私達は君の本心を覆う殻を受け止める為に君を呼び出した
ソウルバーナーがこうして生まれ変わった様に、君もここで生まれ変わるんだ!
「…ううん、尊くんがいっぱい夜食を食べてくれたから無駄にならずに済んだ、そのお礼が言いたかっただけだよ」
「おいしいからつい食べ過ぎた…草薙さんと遊作の分も残ってるかな…」
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