TURN-035 当たり前のように君を信じて
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「ここはお城…?店長さん、見えますか?」
《ああ、ジャミングもないみたいだ。…あれは!仁…!》
「仁…さん…というのは確か…」
《俺の弟だ…!》
「前にいるのはSOLのバウンティハンター…!何故、あの人がここに?」
玉座の間の天井すれすれをDボードで走るクロッシェまで届く、イグニスとバウンティハンターの一触即発の雰囲気ともいえる殺気と敵意
殺気で動かす事も忘れていた喉が一瞬稼働し、恐怖を飲み干すとクロッシェはこれから起きるであろう戦いをより近くで見る為、Dボードから飛び降りた
《ん?…まさかそちらから先に会いに来るとは》
「貴様はゴーストガールと共にいた…」
「貴方が、光のイグニスですね」
《その通り、そういう君はクロッシェだな。あの雨の夜から随分と立ち直った様だ》
「!」
決闘盤越しにボイスデータを送っている草薙がクロッシェと同様に息を呑んだ衝撃を、彼女も感じた
何故、目の前のイグニスがそんな事を知っているのか─否、彼らイグニスはデータで構築された体だ、このネットワークが普及した生活で彼の目に入らない日はないのだろうと腑に落ちた
《あの夜、君を見た時に思ったよ。"こんなにもか弱く、人間社会の階級で一番下の人間は私が管理するに値する"とね》
「AIの貴様が人間を管理する…?ふざけた話を!」
《どうだ?クロッシェ、プレイメーカーという人間側は見限り、我々の下に着くという選択が君にはある
君が人間を見限るというなら君の身柄は保証しよう、ただし…》
「貴方達に管理されるという鎖付き…という条件があると」
《その通り》
表現しがたい表情を目の前のイグニス―ライトニングは浮かべた、AIが意思を持たないという事実は愚者の考えだという様に笑った…のだろう
伸ばされた手に的確な解答をライトニングは待ち望んでいる。それが間違った形で返ってくれば、この友好的な雰囲気は一瞬にして掌が変える事になる事くらい、クロッシェは理解していた
「私は──」
クロッシェが取った言葉は、凡そライトニングには理解できない域として紡がれた
《──我々の選択を切り捨てるなら、君も愚かな人類に過ぎない》
「逃げて、クロッシェ!」
新たな客として現れた団体の中、ブルーメイデンの言葉を引き金としてライトニングからクロッシェ目掛けて”何か”が放たれた
細い槍、または弓の矢とも思えたそれはクロッシェが足を動かすより遥か先に彼女の胸を穿つ。一瞬にしてクロッシェのアバターを侵食した電流に倒れた彼女を駆け付けたPlaymakerが抱き起す
「オイ、クロッシェ!しっかりしろ!」
《この感じ…電脳ウィルスです!》
「電脳ウィルスって…まさか美優ちゃんと同じ?!」
《まだ打ち込まれて時間が経っていない、今ならまだ…!》
《オイ、ライトニング!お前、何でクロッシェにこんなこと!》
「その女が真っ向からあのAIと対立したからだ」
「どういうこと…?」
抱きかかえたクロッシェの体はここが仮想空間で、現実の綾乃としての体温よりは薄い事が分かっているのにその冷たさにPlaymakerは身震いがする様に畏怖した
死者の様な体に打ち込まれたウィルスが綾乃の意識を塗り替え、自分の手からライトニングの手を取ってしまうのでは──そんな畏怖を打ち消したのは、意外にもライトニングの言葉だった
《彼女は私が上手く管理をすると言うのに》
―結構です。どうやって好きな人と一緒にいられるという奇跡を捨てる事が出来るというのですか?
《というものでね…失望したよ、彼女はもっと頭がいいかと思っていたのだがね》
《ライトニング、貴様…!》
《すまない、プレイメーカー…俺がクロッシェを先に行かせたばかりに…》
草薙の後悔の色をにじませたボイスデータが自分にだけ聞こえてくる、気遣う様なソウルバーナーの視線が自分とクロッシェに降り注ぐ
それなのにPlaymakerは信じた、クロッシェが自分達へ全幅の信頼を寄せてくれた様に──
―こんな時だというのに俺と出会って、一緒にいられる事を奇跡と呼ぶアンタを俺は誰よりも誇らしく思う
胸の内だけ呟いた言葉の想いを表す様にクロッシェを抱くPlaymakerの腕は、強さを増した
当たり前のように君を信じて
(目覚めた時の君は)
(何でもなかった様に笑うのだ)