TURN-022 少女、エンカウント
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「ちょっと休憩しましょう、そこのお店開いてるか見て来るわね」
「うん。ありがとう、葵ちゃん」
3ケ月前にサプライズという形で高校に転入し、社会復帰を果たした綾乃を連れ、葵は近くのショッピングモールに買い物へと来ていた
休日ともあって人が多く、麻痺が微かに残る左足を気遣っての歩行で疲労は確かにあるものの、お揃いのアクセサリーや服を見立て合い、葵が満足してくれたならこれ以上に嬉しい事はなかった
「きゃ…っ」
「あ…!」
「ああ!この子はもう!ごめんなさい!」
「だ、大丈夫です!怪我はなかった?」
「うん…お姉ちゃん、ごめんなさい…」
「お姉ちゃんは大丈夫だよ」
椅子に座っていた綾乃の服に、幼い子供が転んだ拍子に飛ばしてしまったソフトクリームがついてしまった
しきりに謝り倒す親子に何てことないと微笑み、せめてクリーニング代をと渡そうとしてくる手も慌てて断った。これくらいなら家で洗濯すれば取れるだろうし、服も買ったばかりで代えは聞く
最後の最後まで自分へ頭を下げて謝り続ける親子が去るのを見送り、ポシェットから取り出そうとするものが目の前に現れたのを見て、綾乃は瞳を瞬かせた
「良かったら、これ使ってくれ」
「……」
「ん?」
「い、いえ!ありがとうございます」
異性を穴が開く程に見つめてしまった事に後から恥ずかしさが追いつく中、綾乃は差し出されたハンカチを受け取る
綺麗な男性物のハンカチで汚すことを躊躇っていると、その思惑に気付いた青年はそっと綾乃の服に着いたクリームを拭い取るもので行動の速さにまた驚く
「これで洗濯したら、また綺麗に着れるだろ?」
「重ね重ねありがとうございます…あ、ハンカチ洗ってお返しします!」
「いいっていいって!僕が好きでした事だから!
それじゃあ、僕はここで。可愛いし、無防備だからナンパされない様に気をつけて」
「へ?!」
去る瞬間まで人当たりの良さそうな表情で去っていった青年の背中を、綾乃は視線で追いかけた
丸まらずに真っ直ぐに伸びた背中、コロコロと鈴が転がる様に変化する表情の数々──自分の好きな人とは違うのに、綾乃は彼を思い出していた
―遊作くんと似た雰囲気を感じたけど、知り合いかな…
「綾乃、ごめんなさい
そこのお店開いてなかったわ、素敵な雰囲気だから一緒に行きたかったんだけど…え、服、汚れてるじゃない!どうしたの?」
「小さな子が飛ばしたソフトクリームが着いちゃったの
あ、でもね、通りがかりの親切な人がハンカチを貸してくれて…」
「…親切な人?それって男じゃないわよね?」
「葵ちゃん、凄い!良く男の人だって分かったね!」
まるで名探偵の推理みたいだねと無謀に笑う綾乃に次の瞬間、葵からの雷が落下した
「椎名…?と財前葵」
「藤木…遊作くん」
「この前、ここでバイトしているって教えて貰ったから来ちゃった。今日は店長さんがいないんだね」
「ああ、野暮用で今日はいない」
さっきまでいた人の多いショッピングモールを抜けた先にある広場で展開するcafé nagiに葵の手を引き、やってきた綾乃にバイトとして働く遊作が目を瞬かせた
どうやら今日は新生LINK VRAINSオープン記念でこの広場に集まる人は少ない様だ、ソーセージを焼く手を止め、遊作はやって来た少女達へメニュー表を手渡した
「葵ちゃん、何を頼もっか?ここのホットドッグね、凄く美味しいんだよ」
「…綾乃が来たかった場所ってここだったのね」
「うん!今日はいないけど、店長さんと遊作くんもいい人だから葵ちゃんも仲良くなれるかなって」
「私は別に…」
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