TURN-046 泡沫と灰を抱くキュービック
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「…綾乃?」
「LINK VRAINSがえっと、Ai…さん?の手で再開されたみたい
先にソウルバーナーさん達もログインしたってメールが入ってたから、これから私も行ってみるよ」
「今の貴女に今回の記憶はないんでしょう?だったら藤木くん達に、Aiに奪われた記憶の奪還も任せてしまえば…」
「私の記憶だもの、私が何とかしないと
それに…その人が記憶を持っていった理由を知りたい」
「綾乃…」
握りしめた手元で灯るスマートフォンの液晶には草薙から届いたメールが開封されたままになっていた
文末には今、葵が言ってくれた様にPlaymaker達に後を任せる事も視野にいれてもいいのではないかと思考を促す文章が記されている
けれど──やはり一人、ここで蹲っている訳にはいかないと小さな勇気が背中を押す。葵をこの部屋に残す事だけは心配で、その不安が綾乃をここへ引き留めていた
「大丈夫!葵ちゃんと遊作くん達に悲しい顔をさせたりしない、ちゃんと帰って来るから…」
「分かった、なら私も一緒に連れて行って」
「え?!」
「お兄様がこうなってるからログインする訳にはいかないけれど、Aiを捜索するクロッシェのサポートをここからさせてほしいの
今まではサポートされる側だったけど、エマさんがどんな風にしてくれているかは知っているから」
「葵ちゃん…」
葵が言ったエマは今、この場にはいないがライトニングの一件で行動を共にした彼女の意思はちゃんと葵に受け継がれている
申し出を断られてしまうのではないか、自分とは違う不安で揺れる瞳を見てしまっては、綾乃は断る事なんて出来なくなっていた
「よう、お目覚めかい?」
「──私の存在の、定義を求めます」
「お前は『結晶体』
アイツが守ろうと願う、ある少女の記憶の欠片だよ」
灰色の天蓋の向こうで目覚めたのは、果たして少女にとって──
「ソウルバーナーさん!」
「クロッシェ!体はもう平気なのか?!」
「失ったものは一部だけで、他は変わりありません!大丈夫です!この先に向かいますか?」
『クロッシェ、そちらでの具合はどう?』
「え、今の…」
「はい、ブルーメイデンさんです!」
『待って、クロッシェ。その小島の傍でもう一つ何か見えない?』
「っ…?!」
その存在は、きっと葵に言われなければ分からなかったと思う程に希薄な存在感を持っていた
まるで──そう、まるで生まれたばかりの赤ん坊の様に透明で、その癖 真髄までは見せようとしないガラス細工の瞳がクロッシェとSoulburnerを見つめている
「────」
「う、そ…そんな……」
『ソウルバーナー、一体何があったの?!』
「っ、綾乃なのか…?!」
反射して別方向のモニターを見たのであろう葵さえも息を呑み、言葉を失っていた
金縛りにあった様に動けない体、そしてそれはクロッシェ達を縛り付ける少女が綾乃と同じ声色で第一声を発した事で解放される
「──対象の存在確認、存在の証明を求めます」
「…ソウルバーナーさんは、先に行ってください」
「だけど…!」
「彼女は、私しか追っていないみたいですから」
「繰り返します、存在の証明を求めます」
頑なにクロッシェの存在を知ろうとするガラス細工の少女。ここでSoulburnerまで巻き込んでしまえば、あの小島の捜索が疎かになってしまう
だからSoulburnerを先に行かせた後になって漸く、初めて対話する相手に興味を抱くガラス細工の少女の問いかけにクロッシェは応えた。穏やかに、子供を怖がらせない様にする気遣いさえも浮かばせて
「私はクロッシェ。貴女は、誰ですか?」
「対象・LINK VRAINS プレイヤーのクロッシェと認識しました
私は、私は──ヴェール。クロッシェ、貴女の記憶を元に生まれた素体」
『……Aiの仕業ね、これはつまり…簡単には記憶を渡さないって事かしら』
「音声データによる認識で対象をブルーメイデンと確認」
葵が殆ど独り言に近い言葉で発した意見と、クロッシェの意見はぴったり重なる
それ程までにAiという存在は自分に記憶を返したくない、その理由を知る為にも──例え無駄だとしても、クロッシェは自分の要求をヴェールと名乗った少女へ投げかけた
「記憶を、返していただけませんか」
「困難と返答します。…それでも取り戻したいのならば、私達がするべき事は一つ」
「ここで記憶を取り戻せれば一番いいですけど、難しいと思います
だから…目の前のあの子がどんな存在なのかを知る為に私に決闘させて下さい」
『分かったわ、ちゃんとサポートしてみせる』
未知のデッキ、そしてそれを操るのは自分の記憶を媒体に生まれた決闘者
こんな状況だというのに、記憶がかかった大切な一戦なのにどうしてもクロッシェはヴェールに敵意だけを向ける事は出来ない
― 一塵の風が鏡合わせに映る少女達の髪を撫でる
それをスタートダッシュにと二機のDボードが空間を裂くかの様に、空を駆けた
「「スピードデュエル!」」
「私のターンを宣告。《リザーブーケ・クオリア》を攻撃表示で召喚、カードを1枚セット
そして手札からフィールド魔法『リザーブーケ・ヒッポカムポス』を発動し、ターンを終了します」
「【リザーブーケ】…それがあの子のデッキ…にしても」
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