TURN-052 刹那の刻を焼べて永遠を
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「私とヴェールの想いと違うことなんて、しない!」
「……?!」
「この効果を発生したターン、バトルフェイズでモンスターを破壊されたプレイヤーのダメージの半分──こちらもライフで受ける!!!」
「お前…っ!」
「クロッシェ!!!!」
ダークナイトの破壊に合わせ、3人の視界ごと爆風が覆いかぶさる
確かにヴェールを想い託したカードで発生したダメージを受け、軋む体を感じる。だがそれはAiが望んでいた消滅にまでは至っていなかった
「っ…消えて、ないのか…俺……」
― マスター、どうか生きてください -
「……ヴェール、オレは…」
「クロッシェ、クロッシェ…!」
「…!」
悲劇に揺れる感情を乗せた声に、急ぎAiは体を起こす。軋む体が悲鳴をあげるも構っていられるものか、相棒が目の前の悲劇に泣いている事実に比べればこんなもの、
そうして初めて目の当たりにした”悲劇”にAiですら足を踏み入れる事を躊躇した。あの爆風の中で辛うじて抱き留めたのであろうPlaymakerの腕の中には、アバターのボディに千切れた部分すら見られる凄惨なクロッシェがいた。ハノイの塔での傷や損傷が軽く見える程の姿、この世界で発生する痛みを引き受けた少女にAiからどうして、と言葉があふれた
「何で…っ」
―そんなボロボロになって、痛い想いをすると分かってた癖に
「何で、お前もプレイメーカーも俺を諦めてくれねぇんだよ…っ!
俺が『Ai打ち』を発動した時、墓地の『コード・ハック』の効果を使えば、お前はそんな目に、」
「Ai…」
「……た、だの私の、わがまま」
「クロッシェ!」
二人分の自分を案じる声に、クロッシェは瞳を開いた
痛みなどとうに許容量を超え、痛いなどとも分からなくなっている朧げな視線にAiは視線を逸らしそうになる。それでもクロッシェがAi自身に言葉を投げかけるから、逃げる事も出来なかったが
「Aiくん、言って…たよね…?『自分から仲間の奪われたものを取り返せ』、って…でも、それ、違うと思う…
自分が悪いこと…したなら、遊作くんに、返してもらうんじゃ…なく、て……自分で返しに、いか、なきゃ……」
「…俺、遊作に自分の代わりに生きてほしいだけじゃなくて──そうか、そう、だったのか」
「……それに、君の消滅は遊作くんの未来や、Aiくんにとっての救い…かも、しれない…
でも、ね?未来で悪い事をするかも分からない、内に…救いなんて、可笑しい、よ…!」
「アンタは…!俺の事ばかり…Ai、お前もだ!
俺が未来で死ぬと決めつけるな、最高の相棒ならそんな未来など覆すと言ってみせろ!」
「プレイメーカー…」
「──うん、良かった」
穏やかにPlaymakerとAiを、その腕の中から見上げた瞳の中に捉えながらクロッシェは微笑んでみせた
皮1枚で繋がったような手が2人の決闘者の手を繋ぎ止める。彼女の今の姿がこの場で発生した痛みを受け止めた結果なら、この手はPlaymaker―遊作とAiの悲しみや真実を抱き留める温もりだ
「繋がること、その繋がりが切れてしまう恐怖……全部、全部分かってる
だから…私が真ん中に、いる…誰かとの繋がりを恐れるなら…私が一緒に手を、握るよ」
―葵ちゃん、美優ちゃん、今なら本当の意味で2人が教えてくれた事が分かる気がする
これからも遊作くん、Aiくんと一緒にいたいから…私は、
「クロッシェ…?」
そうして伸ばし続けた手が届いた安堵感から、少女は目を閉ざした
刹那の刻を焼べて永遠を
(ひとりの時間なんてもう、)
(私達は知り尽くしたでしょう)
―私は2人の繋がりが解けないように、結び続ける存在でありたいよ-