TURN-046 泡沫と灰を抱くキュービック
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「ターン終了時、『リザーブーケ・ヒッポカムポス』の効果で手札へ戻った《リザーブーケ・クオリア》を特殊召喚
私のターン、ドローを宣言します。舞い広がれ、灰で象られたサーキット」
『気を付けて、クロッシェ!』
「召喚条件はサイバース族モンスター1体、私はクオリアをリンクマーカーへセット。リンク召喚、リンク1 《リザーブーケ・コギト》
再び解放されよ、灰で象られたサーキット。召喚条件はサイバース族モンスター2体以上、コギト、ヌース、アフェアネスをセット。リンク召喚、忘却で織られた泡沫の花嫁 《リザーブーケ・ブライドミーム》」
記憶の欠片で集められた花嫁の姿をした、そのモンスターはどこか存在があやふやで幽霊の様だ
使い手であるヴェールであり、同時に──地面に足がついていない感覚に見舞われる綾乃、二人の少女という二面性をこの花嫁は内包している
「ブライドミームのリンク素材になったコギトのモンスター効果を発動します、墓地に存在するコギトをブライドミームのリンク先へ特殊召喚します
そして《リザーブーケ・ブライドミーム》の召喚に成功した時、デッキから【リザーブーケ】モンスター1体をそのモンスターの攻撃力分のライフを払う事でリンク先へ特殊召喚します
デッキから《リザーブーケ・アフェアネス》をブライドミームのリンク先へ特殊召喚」
「受けるべきダメージが半分になってる…?」
『どうやら墓地に存在するモンスターの効果みたいね、厄介だわ…』
コギトというのは最初に披露したリンク召喚でフィールドに姿を現したモンスターだ
態々、リンク1のコギトを召喚してからブライドミームに召喚を繋げた戦法には間違いなく意味がある。それを確認しようと決闘盤を顎先まで上げた所でヴェールが更に展開を見せる
「手札から《リザーブーケ・アタラクシア》を通常召喚。舞い広がれ、灰で象られたサーキット
召喚条件はサイバース族モンスター2体、アフェアネス、アタラクシアをセット。リンク召喚、リンク2 《リザーブーケ・フロー》
先程、アフェアネスを特殊召喚する際にダメージを受けた為、アフェアネスの効果を発動。このターンで負った私のダメージの数値分、相手プレイヤーのライフを回復します」
「…どういう事…?」
「フローの効果を発動します。このカードがフィールド上に存在する限り、相手プレイヤーのライフポイントが回復する効果は全てライフポイントを払う効果へとなります」
「っ…?!あ…!」
「バトルフェイズへ移行宣言します。《リザーブーケ・ブライドミーム》で《エフロエンス・ルチア》を攻撃します
ブライドミームの効果発動。このカードがフィールド上に存在する限り、このターンで私が負ったダメージ分、発生するダメージポイントがアップします」
「ルチアの効果がこうなったら…」
「戦闘破壊は出来ませんが、ダメージは通します」
「きゃああ!」
自分ライフポイントが相手よりも多い場合、戦闘破壊を免れるルチアがいい的となってしまっている
それなのに伏せたカードと今の手札ではこの絶体絶命の状況を希望に繋げる事は出来ない。やはり、やはりライトニングやボーマンの一件を経ても──
「っ…う…」
『クロッシェ!!! っ待ってて!今 強制ログアウトを…!」
「《リザーブーケ・フロー》で…」
葵とピクシーが作動出来る様にしていた強制ログアウトシステムがクロッシェに届くよりも先に、ヴェールの矛先が届く事だろう
そんな事をぼんやり考えていると不自然に止まる攻撃宣言。溜めかとも思われた動作だったが、どうやらガラス細工の少女を迎えに主人が連絡をいれてきた様だった
『あー、テステス。マイク通ってる?』
「…最終裁断を一時中断し、マスターを認識します」
『マイク感度は順調みたいだな、よしよし。ヴェールちゃん、ちょーっとやりすぎ!
まあ開発者としてはその性能の良さは鼻高ものだけどな、そこで切り上げて戻って来な』
「ですが」
『──もうソイツに逆転の一手なんてねぇよ、どう転んでもお前の勝ちは揺るがない』
「……分かりました」
噛み砕く為に向けられていた牙を直し、ヴェールはDボードごと体を翻し、どこかへと消え去ってしまった
追いかけなければいけないのにクロッシェの体は記憶だけで済まない喪失という恐怖感より解き放たれ、Dボードの上で空しく膝を掴んでいた
『…助かった。いいえ、私の時と同じで見逃されたというべきね』
「っ…」
―逆転の一手はない、そう男の声が確定した運命だと言う様にクロッシェを切り捨てた
それに反論できない弱さ、こうして膝の上で丸める拳に仕舞い込んだ感情を解き放つ事も出来ない歯がゆさにクロッシェは唇を噛んだ
「椎名、無事か?!」
「遊作くん…うん、負けちゃったけど……ちゃんと帰ってこれたよ」
「こちらでも確認した
ヴェール…椎名の記憶を媒体に生まれた存在、厄介だな」
「…本当に、そうなのかな?
今日初めて会ったから上手く言えないけど、あの子をただの敵と思えなくて」
泡沫と灰を抱くキュービック
(ただ静かに、)
(その邂逅は一瞬の合間に過ぎ去る)