Memoria:12 降り積もった雪は解け、息吹返す
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「門が閉じられてるね」
「…どうするの?」
「頼めば開けてくれるわ、私はいつもそうしていたもの」
「彼らはアスベルの正体を知っているのではないか?不用意に近づくのは避けるべきだ」
「アスベル、門を通らずに街の中に入る方法ってないの?」
「門を通らずに……そうだ……水路を伝っていけばきっと……」
真正面からラントに戻る事は出来そうになく、アスベルの目線の先の水路へとラティア達は降りると水門を開き、その先の街へと侵入する事が出来た
領主邸の近くの石橋下の土手から川を上がり、そのまま寄り道をする暇等ない訳で領主邸にいるであろうヒューバートへと訪問した
ラントを出て行かせた兄とその幼馴染み達の訪問に少なからず、ヒューバートは驚きを隠せず、立ち上がり、彼らを出迎えた
「これは……予想外の来客ですね、面会の約束をした覚えはありませんが」
「ヒューバート、話があって来た。無条件に勧告を受け入れろとは言わない、せめて交渉の席に着いてもらえないか?
このままでは輝石の流通が滞り、ウィンドル国民の生活に深刻な影響が出るんだ。頼む、ヒューバート」
「新国王陛下はあなたを遣わせば、ぼくが撤退勧告に応じるとでも思ったのでしょうか?」
「俺がここへやって来たのは自分で志願したからだ」
「だとしたら、あなたの見通しは甘過ぎますね」
緊迫した雰囲気は緩和する事もなく、次の会話さえも気を使い、一瞬の静寂が部屋を覆う中でそれは外の雑踏に切り捨てられた
尋常ではない多くの声に全員がそちらに気を取られていると部屋に慌ただしく軍人が飛び込み、息が上がった声色で外の騒動を知らせた
「少佐!緊急事態です!ウィンドル軍が突然攻めて来ました!
ウィンドル軍の勢いは凄まじく味方は既に市街地まで押し込まれています!」
「なんだって!?」
「一体どうなってんの?戦場になるのを止めるためにここへ来たんじゃなかった!?」
「なるほど、そういう事でしたか。ぼくを説得するふりをして軍勢を引き入れていたとはね」
「違う!俺はそんなつもりじゃ!」
「ここまで馬鹿にされると、いっそ小気味いいくらいですよ
全軍に第三種迎撃態勢を指示!なんとしても持ちこたえろ!」
「はっ!」
「…戦うの…?」
「ヒューバート、信じてくれ!俺は何も知らないんだ!」
「それが本当だとしたら、あなたはみじめな使い捨ての駒に過ぎないと言う事ですよ」
凝り固まった家族への不信感はアスベルの言葉を受け付けず、逆に彼を突き放し、ヒューバートは指揮を取る為にラティア達に背を向け去った
戦いを止める筈が逆に促進させ、そして弟と和解する事も出来ずに再び心に影を落とすが今は悲しみに浸る暇もない
「……どうするの?」
「俺たちも外へ出よう、状況を確認しないと!」
外に出たラティア達の瞳に飛び込んで来たのは兵器が入り交じり、その攻撃によってラントの地が削られ、ウィンドル軍とストラタ軍が剣を交える戦場
「弟君を説得出来たかい?どうやら様子を見に来て正解だったみたいだね」
戦況を見つめていたラティア達の前に突然現れたのはラントを救うと言ってくれたリチャード
優雅に歩むその姿は今の戦場と酷く不釣り合いで、それ故に誰も彼の歩みを止める事は出来ずにその背を見つめるままだったがアスベルが抑えられない激情を叫んだ
「リチャード、どうしてこんな事を!?」
「既に伝えてあっただろう?ラントを攻めると、それにこれは君のための戦いでもある。故郷を取り戻してあげると約束したじゃないか」
「俺はこんな事を頼んでいない!」
「君が頼まなくてもラント侵攻は実行したよ。僕に逆らう者は容赦しない、思い知らせてやらないとね」
「リチャード……最近のお前は何かと言うとそればかりだ……今のお前のやり方は間違ってる!!」
「どうやらラントを攻め落とす前に君と話をつける必要があるようだな」
今まで積もっていたリチャードへの不信感、それが彼の独裁政治によりラントを攻め落とすという強行手段を取った今、爆発した
自分に逆らう言語を発したアスベルへとリチャードは怒りを露にし、ウォールブリッジの時の様な禍々しい気配を発する、彼との戦いも避けて通れないだろう
「シェリア、みんなと一緒に街の人々を安全な場所に誘導してもらえないか
俺が話している間に早く!戦いが本格化してからでは遅い!」
「……わかったわ。ラティア、ソフィ行きましょう」
「……ここに残る」
「私、も…」
「いいから早く!」
「アスベル……!アスベルーっ!」
「教官離して…っ私、アスベルと一緒にいたいの…!」
「アスベルの気持ちを汲んでやれ…!」
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