Memoria:10 ケテルの名の下に濁世を治めん
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「リチャード……?」
「(リチャードの目、あんなに…赤かった…?)」
「下衆が……」
「リチャード……?」
ラティアが気付いた様にリチャードの左瞳は血の様に赤く発光し、いつもの穏やかな彼の雰囲気とは違い、おぞましい雰囲気をも発し、口を閉ざさせられる
彼のいきなりの変貌に呆然としているラティア達が捕らえていた兵士に近付き、その体を長机に放り投げると彼自身もその上に跨がる
「よくも……この下衆が!」
「ぐわあっ!?」
声色を荒げたリチャードはその腰に携えていた剣を引き抜くと一切の容赦もせずに兵士を斬りつける、痛みに悲鳴を上げる兵士に構わず、一撃、もう一撃と加えて行く
その血塗な風景をソフィとラティアに見せぬ様にとパスカルがその瞳を下に向けさせる、彼が続けるそれは虐殺という言葉が似合う程に惨い
「貴様がしでかした事の報いだ!その身で思い知るがいい!このっ……!このっ!」
「リチャード、もういい!やめるんだ!」
「まだだ……こんなものじゃない、僕の受けた痛みはこんなものじゃないぞ!」
「やめろ、リチャード!」
「僕に命令するな!」
「あ…ラティアっ」
必死の説得の言葉さえも癇癪の叫びを上げ、剣を止める事はない、そんな彼の姿とアスベルの悲しむ顔を見たくなかったのかラティアはパスカルの手を退かし、彼に歩み寄る
振るい続ける剣を持つ手に触れる、驚き自分を見る瞳に表情を変える事なく、首を横に振れば、漸く気が落ち着いたのか正常な瞳に戻り、呆然と自分のした惨状に目をやっていた
「リチャード……」
「……僕は……一体……ごめん、アスベル!僕は……君にこんな事を言うつもりじゃ……
ラティアが止めてくれなかったら…今頃、僕は……うぐっ……」
「胸が苦しいのか?大丈夫か、リチャード!」
「平気だ……それよりも急いで南橋に向かおう、せっかく鍵も手に入った事だ」
「ああ、だがリチャード、さっきの傷は……」
「僕ならなんともない、思ったより傷も浅かったようだ」
「なんともないって……あれほど……」
「ほんどだ、そんなにひどくなかったんだね」
ラティアの手を退かせ、胸を押さえながら机から降りたリチャードの斬られた筈の傷を見たパスカルの言葉にアスベルは言葉に出す事なく、心で驚きの声を上げた
最初に駆け寄った際、傷口からは止めどなく血が出ていた筈だったのだ、それが何故…
「アスベル、何をしているんだ。早く門を開けよう!」
「あ、ああ、わかった」
「……」
無理をしている様子でなく、まるで傷がないかの様に声を上げるリチャードの声に意識を取り戻され、アスベルはその後を追った
その後は何事もなかったかの様に中央塔を出、南橋の装置を作動させた後に南門を開く装置を作動させると砦外から多くの歓声が響き、作戦の成功を示唆した
「歓声が聞こえるよ、うまく行ったみたいだね」
「僕たちの役目は終わった、後は兵たちの働きに期待しよう」
「そうだな……」
「…?」
「どうした?ラティア」
「…人の気配を感じた気がしたけど…兵士の人達と思う…」
「?」
感じたのは今までの兵士の気配とはダントツに違う威圧感と闘気、だがその気配はすぐに消えたものでラティア自身も気にしない様にする事に
自分達の兵士達を引き込む役目はここで終わり、微かに気を緩ませながらも外に出ると自分達の前を何かが切り裂く様に飛んできた
「ひゃあ!?な、何?なんなの?」
「剣…?」
「この武器は……!」
自分達の前を飛行した剣はブーメランの様に自分達の背後に回って行った、驚くラティア達と違い、アスベルは目を見張った
口ぶりから分かる様に彼はその武器を知っているのだ、あの武器は自分の恩師でもある存在が使っていたのだから、そして昨夜のリチャードの言葉が現実になった瞬間でもあった
「物事は完全に終わるまで油断してはならない、オレはそう教えていた筈だ」
「マリク教官!」
「少人数で砦の内部に潜入し、扉を開けて味方を引き入れる、そこまでの手際は見事だった
だが最後の詰めが甘い、ここでオレがお前たちを倒せば、戦局は一気に逆転する。そうですね?リチャード殿下」
「僕が誰かを知ってなお、刃を向けるつもりか」
「それが私の今の仕事です、騎士団は新国王陛下の下に入りましたので」
「殿下に敵対するつもりなら、たとえ教官が相手と言えど戦うしかありません」
「……それでいい、アスベル。ならばお前たちの全力をもって、オレを止めてみせろ!」
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