Memoria:9 勇侠の志を弾劾の剣に乗せよ
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「あ!いたいた、アスベル」
「パスかル?どうかしたのか?」
「んっとね、何かラティアが裏の海辺で物思いに更けってたからさーアスベルに知らせとこうかなって」
「ラティアが?…分かった、でも見つけたのはパスカルなんだから、パスカルが声をかけたら良かったんじゃないか?」
「昼間にラティアには十分触ったからさ!今はソフィを探し出して、今度こそって思ってね!」
「は、はは…あまり無理はさせるなよ?」
「分かってるよー」
ソフィを探しに去って行ったパスカルの背を見送り、アスベルは目撃情報にあった裏の海辺へとラティアを探しに出た、辺りを見渡せば、その姿は直ぐに見つけられた
夜空の中で発光している様にも思える白、そして夜に溶けそうな髪色、まるで妖精の様な神秘的に、そして…何処か儚げな雰囲気を彼女は発していた
「ラティア、どうかしたのか?」
「アスベル…?」
「あまり夜風に当たると体に障るぞ?それに明日はまた忙しくなるから、体力は温存しておかないと」
「…アスベル、私…私って何、なのかな…?」
「え?」
「ここがね、ぽっかり何か開いている様に寂しいの…最初、何処かから眼を覚まして、アスベルやシェリアを見た時、凄くその部分が痛かった…
私を見る二人の眼、とても悲しそうで…私はアスベル達の何だったの?そうじゃない、今の私は何なの、かな?」
「…!」
初めて見た、大人に近付いた彼女が見せた悲しげに、そして…何よりも自分の存在が分からないで辛そうな瞳
彼女は最初から分かっていたのかもしれない、今のアスベルが昔のラティアを喪失した時の悲しみを記憶をなくした自分と合わせていると
だからこそラティアは記憶がなく、自我も幼馴染み達をも忘却した自分がアスベル達に関わっては行けないと思い、発言も少なく、一歩線を引いていた
ただ怖かったのかもしれない、進んでいく今の世界、今の幼馴染み達に歩みが止まった事で自分が置いていかれる事が
「…ラティア、ごめんな」
「…?」
「シェリアの言う通りだ、俺は昔に固執してばかりだったのかもしれないな…でもこれだけは信じて欲しい、俺は今も昔も俺の傍にいてくれるラティアを守りたい
記憶がなくてもラティアはラティアだ、昔の記憶が全てじゃない、これから無くした分よりもたくさんの思い出を作っていこう」
「これからの…たくさんの思い、出?」
「ああ、今は戦ってばかりだけど、戦いが終わったら色んなものを見に行こう、ソフィやシェリアと一緒に
その中でまたやり直すんだ、昔の関係もそうだけど…今の俺達の絆を作り上げよう、ラティアがもう心に痛みを感じない様に」
「アスベル…、うん…っ」
「!やっと笑ってくれた…」
「アスベル…?」
「ごめん、もう少しだけ…」
今の自分をやっと見てくれた様な気がしたのか、ラティアは漸く目覚めて最初に自然な笑顔を見せてくれた、その中に確かな喜びを含ませて
昔よりも大人びたその笑顔、ちゃんと見向かえば、確かに彼女はあの日に取り残されたままではない、成長しているのだ、自分と同じ様に、それを実感し、アスベルはその小さな体を抱き締めた
そして翌朝、グレルサイドには入口を埋め尽くす程に兵士達が整列していた、それらに呆気を取られる中でラティアの隣にいるソフィはどこか表情が優れない様であった
「勇敢なる兵士諸君!これより我々はリチャード殿下に付き従い、王都へ向かう。陛下、出撃のご合図をお願いいたします」
「これはウィンドル王国を我々の手に取り戻す正義のための戦いだ、兵士諸君の奮闘を期待する!剣と風の導きを!」
『剣と風の導きを!』
「全軍、出撃!」
『おお―――!』
「それでは僕たちも潜入任務を開始しよう」
「陛下の事をくれぐれも頼むぞ、アスベル・ラント」
「はっ!かしこまりました!」
「まずはあの遺跡に戻ろう、そこから上の砦を目指すんだ」
勇侠の志を弾劾の剣に乗せよ
(メランコリックを切り払い、進め)