Memoria:41 待ち焦がれた春の中で
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「見て!クロソフィが……!」
「!?」
「あ……」
アスベルとラティアの必死な祈りにも似た声に反応したのか、彼の両手に包まれていたクロソフィの花弁は鏡の様に砕け散り、欠片状のものになったそれは天へ吸い込まれる様に昇っていく
次々と他の花達も風花となり、天へ舞っていく、いつの間にか晴れた雲の隙間から溢れた陽光に照らされた花弁達はまるで光の雨、カーテンの様に三人を包み込む
「きれい……」
「素敵……」
「ああ、きれいだな……」
風に運ばれ、これから世界を旅するであろう風花達の旅立ちをアスベルとラティア、そして風花の母であるソフィは穏やかな面持ちで見守る
「クロソフィの風花、どこにいくのかな?」
我が子を見守る様な心配と共にこれから風花達はどこで芽を下ろすのかという期待に声を弾ませるソフィの言葉にアスベルは空を見上げ、応える
「もしかすると世界中に飛んでいくんじゃないか?」
「世界中に……?」
それは先程冗談めかして言った、このままではいずれ世界はソフィの花だらけになる、という言葉と繋がる言葉にも似ていた
二人の会話を微笑ましく思いながら耳を傾け、初めてこの目にした風花を忘れない様にと空を見上げ続けるラティアの横顔を見つめ、アスベルも決意する
自分が抱き続けた思いへ決着をつけよう、それがどんな形に収まっても受け入れると
「ラティア」
「アスベル……風花、凄くきれいですね」
「ああ……。あの、さ、星の核に行く前の夜のことを覚えてるか?」
―これは明日の戦いが終わってから言うよ。聞いて、くれるか?
それはこの庭で約束した言葉、彼の口から自分に言いたい事が語られる時を待つ、と自分はその言葉にそう返したのを鮮明に覚えている
約束を口にした、という事はアスベルの中で言うべき時が来た、と決めたからだろうと察したラティアは風花に奪われていた瞳を彼に向け、姿勢を改める
「はい、勿論です」
「あの時、俺……ラティアにソフィの母親になって欲しいって言いたかったんだ」
「ソフィのお母さん、に?私が?」
思ってもいなかった彼からの打ち明けに思わずラティアは瞳を瞬かせる、確かにソフィは自分にとっても妹の様に可愛い存在だ、そんな彼女の母親役として自分が勤まるのだろうか
けどそれだけの話なら、あの夜に言って貰っても良かったのにと疑問に思っている彼女に勇気が必要とする言葉を何度も口を開閉させながら、振り絞る
「でもそれだけじゃない、ソフィにラティアが必要な様に俺にもラティアが必要なんだ、仲間やメイドとしてじゃなく…一人の異性として」
「!……」
「……ずっと迷ってた、七年前にラティアを守れなかった俺がこんな事言っていいのかって、もっと相応しい奴がラティアにいるんじゃないかって
でも……やっぱりラティアを守るのは俺でいたい、ってなってさ、結局この気持ちに蓋なんて出来なかった。だからもう後悔ばかりするのは止める」
騎士になろうとしたのは目覚めた彼女を今度こそ守り抜く為、自分はまだまだ未熟だけれど彼女を思う心の強さだけは胸を張って生半可なものではない、と断言出来る
彼女を思う気持ちに嘘はつけない、だからこそ彼女との今の関係が壊れるのも厭わずに一歩前へ進む事をアスベルは選んだ、延長戦するだけの関係を終わらせる為に
「――ラティア、七年前から……いや、この家に来た時からずっと好きだった
だから俺に許される限り、ラティアの手を取って守らせて欲しい。…一緒に、いて欲しい」
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