Memoria:40 セピア色の過去から色めく未来へ
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「やっぱりこんなの、だめ!」「やめろ、ソフィ!」
ソフィの手が寸分の所でラムダに触れるという所で彼女の背中を見つめていたラティアがその体を抱き締め、ラムダと距離を離す様にアスベルが立ち塞がる
依然として再びラムダが現れない様にする方法は見当たらない、それでもソフィと共にラムダを消去させるというのはここまで来たラティア達にはやはり受け入れ難い結末でそれは回避すべきだと足が動いたのだ
「言っただろう、俺は絶対お前を消させないと!」
「自分だけ犠牲になって終わり、なんて思わないで!」
七年前の事を思い出し、その哀しみを繰り返してはならないとソフィに声を荒げ叫んだラティアが顔を上げたと同時にあろう事かアスベルはソフィがやろうとした事を代わりに成そうと光に手を突っ込んだではないか
「「!」」
思ってもいなかったアスベルの行動にラティアとソフィは目を見開く、まさか彼はソフィの代わりに自分を犠牲にして…?彼の行動に誰もが思考回路が混乱を始める
「兄さん!」
「「アスベル!!」」
「……来るなっ!」
今度はアスベルの命が危ぶまれている、その状況に息を呑み、彼を助けようと近付こうとするラティアとソフィを彼は鋭い声でその場に制止させる、巻き込むまいと
その間にも光から放たれる凶暴な風は自分の内に異分子が入り込むのを拒絶しようと吹き荒ぶも逆行する様にアスベルの体から原素が光の内に引き込まれ始める為、彼の顔にも苦悶の表情が浮かぶ
「ぐ……」
「アスベルの体が……!」
「アスベルが……アスベルがっ!」
彼の意識がラムダに取り込まれ、最終的に彼の体には…この世界からアスベルの存在が薄れて行っている事態に最初に嘆きを口にしたのはシェリアだった
「嫌ああああっ!」
「兄さん……!!」
「アスベル、お願いです、離れて……!このままじゃ、リチャードさんと同じ様に……っ!アスベル!」
このままではラムダにアスベルが連れて行かれてしまう、吹き荒ぶ風に遊ばれる髪を抑えながらも叫ぶラティアの瞳にも涙が浮かぶ
自我が薄れ行く中で自身を案ずる仲間達へアスベルが振り返る、自分は決して彼らが思っている様なことになる気はない、という強い意志を瞳に灯して、皮肉にもこの状況下で一番毅然としていたのは彼だった
「大丈夫だ……俺は乗っ取られたりしない
ただ……生きたいだけなのか……それを……確かめるっ!」
そう断言され、ラティア達は固唾を呑んで、その様子に手出し出来ない様に線引きされてしまった
「アスベル―――ッ!!」
「……!」
彼の体から彼の自我を構成する原素が全て光の中へ向かい、倒れ込む自我なき体を受け止めようとふらつく足で駆け出し、ラティアは細い両腕でしかと抱きとめた
大丈夫だ、と彼は断言した、ならばラムダと話をつけて彼が帰ってくるのを信じて待つしかない、とラティアは今にも泣き出しそうな体で自分の腕にある体を抱き締める
『ここは……どこだ?』
体から意識が離れたアスベルの自我は真っ白な空間の水面上にあった
誰もいない、自分の他に存在するものがない世界は一体どちらの領地なのだろうか
《お前でもなく我でもない、我とお前が共有する領域》
『この声は……?』
果てのない白さを見渡すアスベルの前に自分をここへ引き込んだラムダが表れたものでアスベルは驚いた様子であんぐりと口を開く
『ラムダ……!』
確かに自分はラムダの意思を確かめにここに来た、だがまさかこんな早くに当事者と対面が叶うなんて思ってもいなかった、逆にラムダは自分を拒絶するものだと思っていた
呆気に取られ、言葉を失ったアスベルの前にラムダが現れたのは力を奪われ、体も失ったラムダにとってこれ以上ない好機だったからだろう、それを決定付ける言葉をラムダは告げて来た
《我はお前をこの領域から排除して、お前の領域を圧迫する。そして……最終的にお前の肉体を我が支配下に置く、器を提供してくれた礼だ。我が意識の底でこの世界が我とひとつになるのを見届けよ
この世界が我と融合し、この世界そのものになる事で我はようやく完全になれる》
『完全だと……?』
《そうだ、もう決して何にも脅かされない。追われ続けた我はそれにより、ようやく安息を得るのだ。もう……誰にも邪魔はさせぬ》
一方外界でアスベルが目を覚ますのを待つラティア達にも彼らの会話は筒抜けとなっていた
「なんだ……?」
「今の……声は……?」
「アスベル……」
自分達では簡単に手出し出来ない場所で行われているアスベルの戦いを見守っていたラティア達の背後から届いた彼を案じる声
そちらへ振り返ると今までラムダに意識と体を乗っ取られ、戦いの傷とで意識を失っていたリチャードが苦しげにその傷を抑え、立ち上がり、アスベルへ心配そうに視線を投げていた
「リチャード陛下!まだ動いては駄目です!」
「ラティア、アスベルは……ラムダに寄生されてしまったのか!?」
「分かりません……ただ生きたいだけなのかを確かめると言って……」
「なんかね、さっきから声がするの。ひとりはアスベルなんだけど、もうひとりは多分……」
「……ラムダか?」
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