Memoria:37 響くのは悲鳴と共鳴 命の唄
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『う……うう……う……う……』
もう二度と帰ってこないひと、もう二度と見られない笑顔、もう二度と聞けはしない優しい声色は走馬灯の様に駆け抜ける
眉を寄せ、最愛の人を失った痛みをラムダは声が枯れるまで悲嘆を叫んだ
フォドラを飛び立ったシャトルはエフィネアの地に不時着し、炎が機体と共にコーネルの遺体を飲み込む、それを鎮めようと降りしきる雨は弔いの様にも思えた
燃え盛るシャトルから投げ出され、倒れたままのラムダの脳裏で遺された言葉がその体を突き動かそうと訴えかける
―生きろ……ラムダ……
ボディを焦げ付かせながらもラムダは訴えかけてくる言葉に満身創痍の体を起き上がらせた、託された願いを果たす為に
『イキ……ロ……』
遺言を復唱しながら燃え上がるシャトルへ振り返ると同時にラムダの目の前でシャトルはコーネルを乗せたまま、爆発音を轟かせた
『う……う……ううっ』
これで本当に二度と彼と会う事は適わない、残ったのは自分に託された願いだけ
『ウウウ……ウアアアアアアア……!』
眩い光にも似た白さの中でラムダの悲慟だけが胸を締め付ける様に響いた
「ラムダはコーネルさんの言いつけを今の今まで……」
「ああ、コーネルさんの言葉を守ろうと今も星の核を目指してる」
「アスベル?」
「少し分かる気がするんだ、ラムダの気持ちが
大切な人を目の前で失う辛さ、自分一人が助かったという現実の重さはきっと……」
「……」
「あ、すまない、ラティアはラムダに……」
七年前にラムダに命を奪われかけたラティアの恐怖はフォドラで目の当たりにしたというのに気を遣わず、ラムダに共感していると言ってしまった自分の浅はかさを呪うアスベル
バツが悪そうに頭を掻き、会話していた隣にいる彼女から視線を反らしたアスベルにラティアはいいえ、と首を横に振り、謝罪はいらないと告げる
「アスベルはそれで良いと思います。教官やヒューバートは怒りそうですけど……
人の心に寄り添って、他者を理解しようとすることは必要なことですから。そんなアスベルだからリチャードさんともお友達になれたのではないでしょうか?」
「ラティア……そう、かな?」
「私がここまで付いてきたのもアスベルの姿勢に惹かれたからですもの
それに……私も過去を垣間見て、今までのラムダに抱いていたものが変わりつつあるんです」
「え?」
まさかラティアの口からラムダに対する印象が違ってきている、という言葉が飛び出してきたものでアスベルは瞳を瞬かせた
同じ様に生死を彷徨い、それだけでは飽き足らずに目の前で愛する理解者がいなくなった悲しみはラティアにとっては幼い頃の両親との死別と深く共感させられた
託された願いを変わらず守ろうと、果たそうとするラムダはある意味で純粋な存在なのだろう、…それでもこの世界とリチャードは譲れないけれど
突破した壁の先のフロアでも仕掛けを解除し、更に下層へ、暗がりは幾分か晴れた分、下から上昇する光が強まってきた
「……何だか怖い、胸の鼓動が止まらない」
強まる下層から溢れる光と同時にソフィにはラムダの気配が伝わってくる様だ、強張る彼女の表情と共に緊張感は高まる
「近づいているみたいだね……」
「確認しておくがオレたちの目的はリチャード陛下と戦う事ではなく、その中のラムダを消滅させる事だ」
「リチャードを傷つける事になるけどリチャードを弱らせれば、ラムダを引きずりだせると思う」
「ソフィ、わかっていると思うけど……」
「そうです、あなたは対消滅などしなくとも十分な戦力です。迷わず戦って下さい」
「ええ、間違っても対消滅を考えたりしないで
私達はもうソフィの力を分けてもらって、十分ラムダと立ち向かえる強さを持ってるから心配しないで?」
「うん、わかった」
対消滅をしない様にと釘を刺されるもその中に隠された自分に対する気遣いを組み、ソフィは強張らせていた表情を和らげ微笑む
これならばソフィは対消滅を使おうと考えずに戦ってくれる筈だ、後は彼女から分けてもらった力を信じるばかり
「よし!みんな、星の核まであと少しだ!」
響くのは悲鳴と共鳴 命の唄
(今も尚、その慟哭は世界の果てで残留する)
Title by:「飴玉ウサギの涙」様