Memoria:35 花と寄り添うを許されたひと
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「これからここの原素をわたしの中に取り入れる。それからそれをみんなに……わける
そうすれば、ラムダの干渉を受けず進めるようになる」
そう告げ、ソフィは自身の力を分け与え、長い年月を共にいるラティア達を見回すと覚悟を決める
「……じゃあ始める」
彼女の言葉にラティア達は誰からと言わず、瞳を瞑る
それから程なくしてソフィの体が発光を始めると花々を媒体に地下に眠る原素が世界に光として具現を始める
その光はソフィの体に流れ込み、彼女を通じてラティア達の体内にも温もりとして流れ込み、彼らの体にも光が灯る
「あ……」
花々から分け与えられる恩恵はとても穏やかでラムダの件で息をつく暇がなかった心の喧騒を鎮め、穏やかに凪いでいく
「なんだろう……すご~く温かいよ」
「まるで太陽の光に包まれているかのようだ……」
「ああ……」
「眠ってた間に感じてた温かさに似てます……」
「ソフィ……」
この温かさも穏やかさも花々のものだけではない、きっとソフィの想いも混ざっているのだろう
全員の体に灯っていた光の熱が冷やされると先に瞳を開いたソフィの声がアスベル達の鼓膜を振動させた
「……終わった、これでもう大丈夫」
「ソフィはオレたちにラムダとの最後の戦いに臨む力を与えてくれたのだな
オレたちも全力を尽くそう、二度とソフィが自分だけを犠牲にするなどと考えないように」
「そうだね、こうなったらソフィの出る幕がないくらい大活躍しちゃおうか」
「ソフィ、約束だ。自分だけでなんとかしようとするな、最後まで俺たちは一緒だ」
領主邸の庭で自分のやりたい事を見つけたものの、そうすぐに自分の使命を捨てる事が出来ずに俯き、返答出来ずにいるソフィへアスベルは歩み寄り、手を差し伸べる
不意を衝く様に出された手にぱちくり、と見つめていたソフィの口元に微かな笑みが浮かんだ、久しぶりに見た彼女の笑みはとても安らかに感じられた
「……うん」
差し伸べられた手を今度こそソフィは拒絶せず、受け入れて、自分の小さな手を乗せる
二人を囲む様にラティア達は集まり、自分達の想いはアスベルと同じだと言う様に、それに気付いたソフィは皆を感慨深そうに見回す
「……みんな」
「よし!」
「ソフィがくれたこの力で最後まで戦い抜いてみせます!」
ソフィが自分を犠牲にしない様にと気合いを入れ直したラティア達は花畑を出た足でラントへ踵を返し、戻った先の広場でマリクが指揮を取る
「よし、では今日はここで解散しよう。各自準備を怠らないように
集合は明朝、この街の広場で。それでいいな?」
「「「「「「はい!」」」」」」
思い思いに明日の準備に取りかかろうとばらける仲間と会話を交わし、領主邸へ戻ってきたアスベルの前から階段から降りて来るラティアとはち合わせた
帽子に振り袖状のアームカバー、そして重ね着していた上着を脱ぎ、タートルネックとスカートという有り様に彼女も休みを取る直前である事を視認出来た
「ラティア?」
「あ、アスベル、まだ起きてらっしゃったんですね」
「ラティアもこんな時間まで起きて、何をやっているんだ?」
「アスベルやソフィ、教官やパスカル、ヒューバートのお客人の寝具を整えていたんです
これでもこのお屋敷のメイドですから、皆さんには明日の戦いで疲れを残して欲しくなくて……」
細い両腕に抱えられた寝具、整えられているであろう自分の部屋のベットを思い浮かべると心地良い眠りに付けるだろうとは思ったが、それをこなした彼女は自分の疲れを忘れてはいないか?
「それは俺もラティアに対して思うことだ、俺たちがちゃんと休めてもラティアが休めてなかったら気にするだろ?」
「あ……そうですね。だめですね、自分のことを忘れてました」
「ったく……。……少し、話せるか?」
「はい、勿論です」
恥ずかしそうに頬に朱を滲ませ、苦笑するラティアはアスベルの言葉を快く了承すると腕に抱えていた寝具を特定の場所に持っていき、彼に連れられ、庭に出て行った
花と寄り添うを許されたひと
(まだ枯れるには早すぎるだろう?)