Memoria:35 花と寄り添うを許されたひと
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「不器用……」
「そう、自分の気持ちをうまく表現できないすっごい不器用さん。ソフィとアスベルはそういう変な所が似ているわね、ソフィが影響されたのかしら?
……ちゃんと話してみればいいんじゃない?アスベルと。そうすれば、アスベルが悲しくて怒った理由がきっとわかると思うわよ
そうね……二人だけだと不安だから、ラティアに間に入ってもらったらいいかも」
他者の心を知るには会話して、その話の中から心を汲み取るしかない、それを進めるシェリアにシャトルでの負い目があるのかソフィは黙り込んでしまう
そんな静寂の中、屋敷からアスベルとラティアという当事者がそちらからこちらへ来てくれた
「シェリア、ソフィ、こちらにいらしたんですね」
「ふたりとも、話は終わったのか?」
「ラティア、アスベル……えーと……そう!ソフィが話があるみたい!二人に!」
「ソフィが……?」
「いいから行く!」
「え、え?」
駆け寄ってきたシェリアに今現れた二人は何が何だか、要点が分からずに混乱しながら背中をソフィの方へと押し込まれてしまう
自分の出来ることはここまで、ソフィの背中も押したことだしとシェリアはその体を屋敷の方へと翻す、後は彼らに自分達で何とかさせよう
「それじゃ、私はみんなの所へ先に戻ってるわね」
「あのっシェリアッ?」
どうなるかは分からないが、きっとラティア達ならと信じ、シェリアは気を利かせて屋敷へ戻っていく
後に残された三人の間に夜の静寂と庭に設置された噴水の流水の音が流れる、どうにもこの間は苦手らしいアスベルがぎこちなくソフィと対峙した
「……よう……俺に話ってなんだ?」
「シェリアに……アスベルと話せって言われた」
「……は?」
驚いた様子で屋敷へ振り返るアスベルだが、そこにはシェリアの姿も影もなく、漸く自分達が彼女の策に嵌まった事を知る
「シェリアの奴……」
「後、ラティアに間に入ってもらいなさい、って」
「……気を利かせて下さったんですね、シェリア」
「……ラティア。アスベルとわたし、似てるの?」
「え?アスベルとソフィが?」
「シェリアがそう言ったのか?確かに似ているかもな……言い出したら聞かないところはそっくりだな
お前は自分でなければ、ラムダを倒せないと言ったが俺は意地でもやってみせる。お前だけを犠牲にする事なく、だ」
変わらないアスベルの主張に驚いて反論しようとソフィが口を開くも、それに被せる様に彼は言葉を続ける、彼女に口を開かせれば、きっと拒絶されるのを知っているから
可哀想には思ったが、今思えばソフィにアスベルの言葉を最後まで聞いてもらう事も彼の思いを知る一貫と気付き、ラティアも彼の言葉に耳を傾けた
「悪いが俺は絶対に諦めない。もっと生きて、もっと知るべき事がソフィにはたくさんあるんだ
だから自分だけ犠牲になって、それで終わりにしようなんて思うな。それにソフィにもあるだろ?これからやりたい事とか知りたい事とかさ」
「……使命があったにせよ、ソフィがエフィネアに来た事はきっと何かの縁……その縁を無駄にするのは勿体ないわ
私はソフィにはもっと色々な事に触れてもらって、心を育んでもらいたい。そうやって人間として今よりも成長できる筈だから」
アスベルの言葉に続く様にラティアもソフィに伝えたいこと、彼女にもっとこの星で生きて欲しいという事を彼女に届く様にと穏やかな声色で紡ぐ
二人の自分に対する思いを聞き、ソフィの心にも微かな変化が生まれた様で拒絶の言葉以外が溢れた
「やりたい事……知りたい事……わたし、クロソフィが風花になるの見てみたい」
「風花か……そういや植える時にそんな話をしたっけな、どうだ?この世界にはまだソフィが知らない事や経験していない事があるだろう?
なら死んじゃ駄目だ、きっと色々な出来事がお前を待っている、これからなんだよ。お前も……俺たちも」
「ラムダにこの世界を呑まれるわけにはいきません、まだ私たちを未来で待っている出来事のためにも……
だから、ラムダを倒しましょう。ソフィを犠牲にするのではなく、私たちみんなで」
自分の中にもあったこの世界で生きて、やりたい事、それを引っ張り出してくれたアスベル達へとソフィは俯いていた顔を上げ、安堵の意味を含んだ言葉を呟く
「……よかった。アスベル、怒ってると思ってた」
「ああ、あれはだな……」
今思えば意固地になり過ぎてた部分もあるのを自覚させられ、アスベルはソフィの視線から逃げる様に頬を赤くさせた顔を反らす
羞恥感を感じている彼のその心に気付けず、ソフィは尚彼を追い込む言葉を無意識に続けてきた
「悲しくても怒るってシェリアが言ってた」
「う……まあそうなんだが」
「ふふ、アスベルったら顔が真っ赤です」
「ラティアッ」
隣で二人の会話を黙って聞いていたラティアはつい、アスベルの顔がこれ以上なく真っ赤になっている事を指摘せざるを得ず、笑みを零してしまった
彼女に自分の醜態を晒してしまった事と顔の熱を指摘され、声色が荒立ってしまったがそれを見ていたソフィが彼が怒りを覚えていない事に安堵した様だ
「怒ってなかったのなら、それでいい。アスベルとラティアには笑っていて欲しいの、これからもずっと……」
「……私もソフィには笑っていて欲しい、笑って生きて欲しいな」
「俺もまだまだ修行が足りないな……さてと、そろそろ執務室に行かないとみんなが待ちくたびれるな。さあ行こうか、ソフィ、ラティア」
「……うん」
「はい」
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