Memoria:29 縋るは張りぼての最善
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「大丈夫です、これは苦しんでいるのではありません。反応しているのでしょう」
「反応……?」
「あなたたちの世界、《エフィネア》での危険な存在の動きを感知しているのです」
「危険な存在?感知?」
「ええ、プロトス1はそのように設計されています」
「設計って……そんな言い方しないで下さい」
「私たちはソフィを人間として接してきましたからその言い方は、その……」
「……」
「やめよう、ラティア、シェリア。今は《エフィネア》にも危険が迫っているんだ、ソフィを一刻も早く治して俺たちの世界に帰ろう」
幼い頃からソフィと接してきたラティアとシェリアはエメロードの言葉に苦言を呈するが呈された側の彼女は悪気がない為に穏やかに微笑んでいるだけである
二人を宥め、場の雰囲気を変える為にアスベルは研究所へ向かう様に諭す、転送装置を使って入り込んだ研究施設は魔物が大量に徘徊し、その中をバッテリーを交換しながらも進んでいく事に
バッテリーを交換して稼働し始めたエレベーター装置で地下2階を下り、北に位置する部屋で見覚えのある機械を見かけ、足を止めてしまった
「この機械……ソフィの幻を映し出した機械に似ているな」
「これも元々はフォドラのものだったんですね」
「研究対象の記録映像が残されている装置です」
この機械にも知識があるのかエメロードは慣れた様子で機械を操作し、その様子をパスカルは興味深そうに観察しているとある文面を見つけた
「ラ……ムダ?また出てきたよ、この言葉」
「一体そのラムダというのはなんなんだ?」
「ラムダ……その名は私たちにとって悪夢の代名詞です」
「悪夢……?どういう事ですか?」
「元々ラムダというのは星の核を研究する過程で偶然発見された生命体でした。ここの所長だったコーネル博士が研究していたのですが、それが悪夢の始まりでした
ラムダの恐ろしい点は色々とありますが、体組織から魔物を生み出せるのもそのひとつです、フォドラはその魔物のせいで大混乱に陥り、こうして滅びてしまったようなものです」
機械をある程度に操作し終わり、後は映像が現れるのを待つのみとなったエメロードはアスベル達の方へ歩み寄るとラムダという存在の全貌の片鱗を語る
ラムダという存在、それが生み出した魔物によってフォドラが滅びた事を知り、一区切りがついた所で機械から孤島に出現した繭の映像が浮かび上がり、アスベル達は驚愕する
「この繭は……!」
「ぼくたちの世界のあの島に出来たものと非常によく似ています」
「フォドラを危機に陥れた後、ラムダはあなた方の世界である《エフィネア》へ逃亡しました。私たちは対ラムダ用戦闘ヒューマノイドを開発し、《エフィネア》へ送り込みました
それがあなたたちがソフィと呼ぶプロトス1の正体です、ですがプロトス1はラムダ根絶に失敗したとの報告が同行した仲間から寄せられました
私たちは仲間とも協議し、消息不明のラムダを封じるために《エフィネア》全体に封印を施しました。それから長い年月がたち、今日こうしてあなた方が《エフィネア》からやって来たのです」
「ソフィはラムダという存在と戦う為に《エフィネア》へ来たのか……あの繭を作ったのがラムダなのか?」
「でもそうだとするとおかしな事になるわ。だってあれはリチャード陛下が……」
「見た目はとてもリチャードに似ていたけど……ラムダが化けてるって事?」
「リチャードさんが……ラムダ…?だからソフィも戦おうとして……?」
「リチャードがラムダな筈はない!俺はリチャードを良く知っている、魔物なんかじゃ……ない!」
「アスベル……」
リチャードがラムダだという仮説をアスベルの悲痛な叫びによって否定され、それ以降かける言葉がない仲間の間を静寂が支配する
彼の悲痛な否定の言葉にラティアは一瞬でもリチャードの存在を疑った事を叱咤する、そうだ、自分とリチャードは誓い合った友、例え今は道が違っても信じなければ…
そう想いを改めるとソフィが苦しげに身じろぎ始めるのを視界の端に捕らえた
「ソフィの様子がおかしいわ」
「……先を急ぎましょう」
「わかりました、行こう、みんな!」
「ソフィ、後少しだからね……もう少しだけ持ちこたえて…」
眠ったまま、苦しみに身を置くソフィの手をラティアも痛みを耐える様に眉を潜め、握り締めた
縋るは張りぼての最善
(違和感に惑う事も許されない現実)