Memoria:28 音の無い海に風が凪ぐ
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「パスカル姉様!」
海辺の洞窟へと戻って来たラティア達の前に格納庫前で待ち受けていたポアソンが出迎えてくれた
パスカルへと駆け寄るポアソンが言うにはパスカルを手伝う様に彼女達の長から仰せつかったからだと言う、だがパスカルが待っていたのは…
―やっぱりお姉ちゃんは来てくれなかったか……
「それは助かるな~あんたがいれば、シャトルの制御も任せられるね
それじゃさっそく手伝ってもらおうかな」
「はいです!」
自身の姉、フーリエが来てくれなかった事を残念に思うがそれを表面上に出さずにポアソンの助力を嬉しそうに迎え入れ、格納庫へ向かう
「さ~て、それじゃさっそく始めようか
ポアソン、あたしのやり方をよ~く見ててね」
ポアソンに制御方法を伝授する為に、それと合わせて熱線照射装置の確認に制御盤を軽やかに叩く
確認した所、フェンデルの熱線照射装置とこちらの制御盤の繋ぎは無事につき、二箇所の熱線照射装置は晴れてここから制御出来る様になっていた
「これで残るはシャトル本体を整備するだけだね、魔物の数も増えてるみたいだし急がないとね
みんな、悪いけど待ってて。ポアソンと協力して突貫で整備を終わらせるからさ」
「わかった。俺たちにできる事があれば、なんでも言ってくれ」
「うん、よろしく~」
「すいません、シェリア。少し……ソフィの事をお願い出来ますか…?」
「え?ええ、任せて、ラティア」
シャトル整備の作業に入るパスカルとポアソンに任せる事となった格納庫で床に寝かしていたソフィにシェルアと掛かり切りだったラティアはシェリアに後を任せると一人外へ
その背中を気がかりに思ったアスベルが彼女を追いかけるとラティアは洞窟内の光霊蟲の棲家に佇んでいた
「ここにいたのか、ラティア」
「アスベル……はい、空の海の向こうに行くまでに気持ちの整理をしておこうと思って…
空の海の向こうにある…ソフィの故郷かもしれない世界……一体どんな所なのでしょうか」
「……不安か?」
「……ない、とは言えません。ですが恐怖はありません、空の海の向こうに行く事がソフィのためになるのですから」
「……すまない、ラティア」
自分を追いかけて来たアスベルに頭だけ振り返るもラティアは視線を下に落としてしまう、長い髪の隙間から見えた彼女の横顔は暗く陰っていた
その気持ちを察した彼からの問いかけへの答え、それに謝られるものでラティアは首を横に振る
「謝らないで下さい、アスベル。ソフィは私や皆さんにとっても大切な存在なのですから
……シェリアが言ってました、ソフィのおかげでまた皆さんと会えた、と。今はこうしてあの子を通じてつながっているんです……
ソフィがもう一度私たちの前に現れてくれたから、私はこうしてまたアスベルと対面できて、たくさんの縁に恵まれたんだって思います」
「そうか……」
アスベルへと向いていた体を光霊蟲の棲家へ向き直し、初めてソフィと出会い、全てが始まった七年前をラティアは思い返す
「ソフィは初めて会った時から大人っぽくて、シェリアと同じくらい可愛くて……そしてとても強かったですよね」
「そうだな……」
「アスベルとヒューバート、シェリアが引き合わせてくれた時から不思議な子だなとは思っていましたけど……
空の向こうから来たのなら、それも納得できる気がします」
「……そうだな。だがソフィがどこから来たのであろうと、俺たちにとって大切な存在という事は変わらない」
「ええ」
「なんとしてもソフィを治して、みんなで一緒に戻ってこよう
ここで終わりになんてなってたまるか、そうだろう?」
「……はい。終わりになんて、させません……」
―アスベルのこうした誰かを思いやる、真剣な……ひた向きな心、私は……
「!え、え…?」
今、自分は何を思った?"私は……"、その後に続く言葉は一体何?
無意識下に胸中で呟かれた想いにラティアは呆然と一言を何度か繰り返し、先程のアスベルに対する想いに混乱を生じさせてしまった
「どうした?ラティア」
「い、いえ、大丈夫ですっはい!」
「?そろそろ戻ろう、シェリアが心配するぞ」
「はいっ」
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