Memoria:20 境界線は困窮の内に曖昧へと
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遠慮の言葉も耳にせず、女性は宿屋へと部屋を暖める為に戻って行ってしまう
態々寒空の下で自分達を待っていてくれた好意を無下にすることも出来ずに後を追って室内へ入ると一直線にストーブへとパスカルが走り込んだ
「あああ~ぬくい~幸せ~」
「いらっしゃい、待ってたよ」
「お世話になります」
「今日一日よろしくお願いします」
「こんなひなびた所に来てくれた久し振りの他所からのお客様だ、うんともてなさせてもらうよ
たいしたものはないけど、腕によりをかけて料理するからね」
女将が言った様に腕によりをかけた料理を口にし、冷え込みも増し、寒さから逃れる為に誰もが寝静まる夜中に一人マリクが目を冴えていた
街の静けさとを噛み締め、彼は感慨深そうに独り言を呟く、まるでそうでもしないと耐えられないかの様に
「夜になるとこの街はまるで死んだように静かだな……変わっていない……なにも……」
「教官?」
「どうした、ソフィ。こんな夜中に」
「パスカルのいびきがうるさくて眠れないの……」
「そうか……」
「教官はここで何してるの?」
起きていたのは自分だけかと思われていたマリクの前にソフィが現れ、彼女の問いかけにマリクは悲痛な眼差しで宿屋に設置されている舞台を眺め、昔聞いた歌を思い出していたと言う
「その歌には二人の人物が登場する、理想に燃える男が二人……しかし男の一人は理想に破れ、別な国に旅立つんだ」
「別な国に行って、それからどうなるの?」
「見失った理想を再び……探している……」
「残ったもう一人はどうなったの?」
「……オレには……わからない」
「ねえ教官……その歌、歌って」
「……そうだな、それでは小さいお客様の為に……」
小さな一人の少女しかいない観客席の前でその男性は歌う、己の過去を思い出しながら…
「おはよう、良く眠れたかい?」
「寒くてあんまり眠れなかったよ~」
「あまり眠れていない割にはあなたのいびきがぼくの部屋まで聞こえて来ましたけど?」
「ラティア大丈夫か?クマが出来てるが…」
「はい、大丈夫ですよ」
どうやら口ではそう言ったものの爆睡していたパスカルのいびきは皆の部屋に一通り響いていた様だった、そのいびきに妨害されてかラティアの目の下には薄くクマが浮かび上がってしまっていた
心配され苦笑しながら大事ない事を伝えると漸く自分達が求めていた情報を女将が口にした
「夜中は本当に冷えるからね、大輝石をどうにかして使おうとしてるって聞いた事あるけどねぇ
なんでもいいから早いとここの状況をなんとかして欲しいもんだよ」
「大輝石がどこにあるかご存知なんですか?」
「詳しい事はわからないけど、ザヴェートで研究をやっていると聞いたよ」
「誰か手伝ってるのかな?そうだとしたら……誰だろう?」
「やはりザヴェートを目指すのが正解のようだ、急いで向かおう」
「あ、待ってください」
先を急ごうとするアスベル達を止めるとラティアは女将の前に歩み寄り、深々と頭を下げると一泊の恩へ感謝の意を伝え、もう一言
「今朝は厨房までお借りしてしまって…重ね重ねのご恩、忘れません」
「ああ、全然構わないよ」
「厨房って…何か作ってたの?ラティア」
「ザヴェートまでは遠いみたいですから、皆さんが風邪を引かない様にと暖かい飲み物を作らせてもらったんです」
「それにうちのチビ達やあたしにまでスープを作って貰ってねぇ、お礼言うのはこっちの方だよ」
「お礼なんて…女将さんも風邪を召さない様にお気をつけ下さいね」
「ああ、ありがとねぇ」
アスベル達の為にいつの間にか買って来た水筒に暖かい飲み物を作り、それだけでなく宿屋の者達にも気配りを忘れないラティアらしさにアスベルは自分は彼女のそういう所に惹かれたのだと気付かされた
用意された暖かい飲み物を口にしながら、ベラニックを出ると山岳トンネルを経由して高原から連絡港へと辿り着く
態々寒空の下で自分達を待っていてくれた好意を無下にすることも出来ずに後を追って室内へ入ると一直線にストーブへとパスカルが走り込んだ
「あああ~ぬくい~幸せ~」
「いらっしゃい、待ってたよ」
「お世話になります」
「今日一日よろしくお願いします」
「こんなひなびた所に来てくれた久し振りの他所からのお客様だ、うんともてなさせてもらうよ
たいしたものはないけど、腕によりをかけて料理するからね」
女将が言った様に腕によりをかけた料理を口にし、冷え込みも増し、寒さから逃れる為に誰もが寝静まる夜中に一人マリクが目を冴えていた
街の静けさとを噛み締め、彼は感慨深そうに独り言を呟く、まるでそうでもしないと耐えられないかの様に
「夜になるとこの街はまるで死んだように静かだな……変わっていない……なにも……」
「教官?」
「どうした、ソフィ。こんな夜中に」
「パスカルのいびきがうるさくて眠れないの……」
「そうか……」
「教官はここで何してるの?」
起きていたのは自分だけかと思われていたマリクの前にソフィが現れ、彼女の問いかけにマリクは悲痛な眼差しで宿屋に設置されている舞台を眺め、昔聞いた歌を思い出していたと言う
「その歌には二人の人物が登場する、理想に燃える男が二人……しかし男の一人は理想に破れ、別な国に旅立つんだ」
「別な国に行って、それからどうなるの?」
「見失った理想を再び……探している……」
「残ったもう一人はどうなったの?」
「……オレには……わからない」
「ねえ教官……その歌、歌って」
「……そうだな、それでは小さいお客様の為に……」
小さな一人の少女しかいない観客席の前でその男性は歌う、己の過去を思い出しながら…
「おはよう、良く眠れたかい?」
「寒くてあんまり眠れなかったよ~」
「あまり眠れていない割にはあなたのいびきがぼくの部屋まで聞こえて来ましたけど?」
「ラティア大丈夫か?クマが出来てるが…」
「はい、大丈夫ですよ」
どうやら口ではそう言ったものの爆睡していたパスカルのいびきは皆の部屋に一通り響いていた様だった、そのいびきに妨害されてかラティアの目の下には薄くクマが浮かび上がってしまっていた
心配され苦笑しながら大事ない事を伝えると漸く自分達が求めていた情報を女将が口にした
「夜中は本当に冷えるからね、大輝石をどうにかして使おうとしてるって聞いた事あるけどねぇ
なんでもいいから早いとここの状況をなんとかして欲しいもんだよ」
「大輝石がどこにあるかご存知なんですか?」
「詳しい事はわからないけど、ザヴェートで研究をやっていると聞いたよ」
「誰か手伝ってるのかな?そうだとしたら……誰だろう?」
「やはりザヴェートを目指すのが正解のようだ、急いで向かおう」
「あ、待ってください」
先を急ごうとするアスベル達を止めるとラティアは女将の前に歩み寄り、深々と頭を下げると一泊の恩へ感謝の意を伝え、もう一言
「今朝は厨房までお借りしてしまって…重ね重ねのご恩、忘れません」
「ああ、全然構わないよ」
「厨房って…何か作ってたの?ラティア」
「ザヴェートまでは遠いみたいですから、皆さんが風邪を引かない様にと暖かい飲み物を作らせてもらったんです」
「それにうちのチビ達やあたしにまでスープを作って貰ってねぇ、お礼言うのはこっちの方だよ」
「お礼なんて…女将さんも風邪を召さない様にお気をつけ下さいね」
「ああ、ありがとねぇ」
アスベル達の為にいつの間にか買って来た水筒に暖かい飲み物を作り、それだけでなく宿屋の者達にも気配りを忘れないラティアらしさにアスベルは自分は彼女のそういう所に惹かれたのだと気付かされた
用意された暖かい飲み物を口にしながら、ベラニックを出ると山岳トンネルを経由して高原から連絡港へと辿り着く