Memoria:26 天井に描いた空を世界と信じた
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ソフィ、大丈夫?」
オル・レイユ港へと出航し、海上を滑る船内では状態が思わしくないソフィをラティアが気遣いながら甲板へと足を運んだ
そんな二人よりも先に甲板にいたアスベルが直ぐさまに気付き、二人へと駆け寄り、ソフィの補助を手伝う
「歩けるか?」
「うん、ごめんね。アスベル、ラティア。
海……よく見えないけど……潮の匂いがする……アスベルとラティアが小さい頃も一緒に乗ったよね」
「ああ……王都へ行く時だったな」
「あの時アスベル言ってたよね。いつかみんなで旅をしようって
アスベルの夢、かなったね。わたしの記憶は取り戻せてないけど……わたしも……みんなといられてうれしいよ……」
「ソフィ、無理しないで……」
「大丈夫」
過去を思い返すアスベルの後をソフィも再び体をふらつかせながら、甲板に立つと今は見えない風景への名残を口にする
「……空も海もみんな青い……このまま……見えなくなっちゃうのかな……海だけじゃなくてアスベルやラティアの顔も……見えなくなっても忘れない……
ラティアの海みたいに綺麗な髪の事やアスベルの優しい笑顔の事……思い出すだけで優しい気持ちになれるから……だから、平気だよ」
「ソフィ……」
静かに紡がれる言葉を聞いていたラティア達へと振り向くとソフィは気丈に笑顔を浮かべ、そう言った
誰よりも辛く苦しい立場にある中で自分達を気遣う彼女にラティアは近付くと溜まらずに抱き締め、涙声で
「私たちが絶対にあなたを助ける、から……ソフィの世界を奪おうとするものから守る、からね…っ」
「…ラティア、あったかい。わたし、このあったかいのも忘れない……」
「大丈夫だ、ソフィ。必ず良くなるから」
「みんなと……違っても……?」
「どういう意味だ?」
「ううん……なんでも……ないよ」
船がオル・レイユ港へ停泊するもヒューバートが危惧していた様にストラタ兵達がフェンデルの船から現れたラティア達を即座に取り囲む
取り囲んでいる兵達の間を縫う様に上級の兵が現れ、自身の上に立つ階級を持つヒューバートを確認すると慌てて言葉を慎む
兵士達はその兵の様子に武器を仕舞い、包囲網が解除されるとヒューバートへと兵が上官に対する無礼を詫びた
「申し訳ありません、少佐。知らぬ事とはいえ、なんたる無礼を……」
「構いません、説明もなしにいきなり現れたのは我々の方ですから。ところで大統領閣下はどちらにいらっしゃいますか?」
「孤島の調査に関して見てきた者から報告を聞きたいとこちらへ向かわれています
道中でセイブル・イゾレにお寄りになると先ほど伝令が届きました」
「それはちょうどよかった、総統閣下にいただいた新書を手渡しする事が出来ます
行き違いにならないよう、急いでセイブル・イゾレへ向かいましょう」
大統領の所在を確認し、セイブル・イゾレへ向かうのはソフィの体調を配慮し亀車を使用する事と決まる
セイブル・イゾレへと辿り着いたアスベル達はもう一つの目的である英知の蔵を探す為にもこの街でそれが内包されていると思わせられる研究施設へと向かう
研究施設の入り口付近では一人の研究者と会話する大統領の姿が
「大統領閣下」
「おお、諸君。フェンデルの調査から戻ったのか」
「閣下がこの街にいらっしゃると聞き、駆けつけました」
「大統領閣下、フェンデルのオイゲン総統閣下から新書をお預かりして参りました」
一度大統領の前に膝を付き、フェンデルを出る前に手渡されたオイゲンからの親書をヒューバートが大統領へと手渡す
早速その場で親書に目を通した大統領は孤島で起きた現象にリチャードが関わっていた事に驚きを隠せず、リチャードの事を止めることが出来ずに事態の悪化を防ぐ事が出来なかった事を詫びる
「力及ばず、リチャードを止める事が出来ませんでした。申し訳ありません」
「謝らなくていい、これは世界中の人間が共同で負うべき問題だ。力を合わせて取り組もうではないか
新書を読む限り、オイゲン総統閣下も私と同じお考えのようだな……」
「ところで閣下、ぼくたちがセイブル・イゾレへ戻ってきた理由ですが……アンマルチア族がこの地に残した記録を求めてやってきたのです」
「アンマルチア族の記録……?」
「はい、この街のどこかにあるとアンマルチア族の長に教えていただきました。それでここの研究塔に目星をつけ、やってきたのです」
「そのアンマルチア族の記録が今回のリチャード陛下の一件を解決するために必要だと?」
「はい、少なくとも私たちはそう考えています」
研究者に聞くと確かにアスベル達が目星をついていた通りに研究塔の最新部にアンマルチア族の物とおぼしき遺構が一部残されているという
だがそれは厳重な封印が施され、今の今まで誰もそれを解く事が出来ずに放置されたままだったという
それを聞いたパスカルはその封印はこちらで何とかしてみせる、と告げ、ヒューバート伝いに大統領へその遺構を調べる許可を大統領と研究者同伴で貰う事が出来た
「よし。それじゃ、中に入ろう」
「ソフィ、歩ける?こっちよ」
「うん…」
.