Memoria:25 伸ばした手とその延長線が繋がることはなかった
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「う……うあああああ!」
「ソフィ!しっかり!」
「ううううう……はあ……はあ……」
一度目を瞑ったソフィの瞳から光が消え去り、陰るとその表情に不安の色が帯びる
「……みんなは……みんなは……どこ……」
「え?」
「みんな……どこ……?どこにいるの……?」
「私たちはここにいるよ…?ソフィ」
不安げに手を伸ばすソフィの手をラティアが握り締め、自分達がここにいる事を教えるとラティアはシェリアと顔を見合わせる
「シェリア、まさかこれって……」
「あなた、まさか……目が……」
「ここです、ソフィ」
「全く見えないのか?」
「……みんなの顔……少しずつ……ぼんやり……していくの……」
「攻撃を受けた後遺症かな……まさか……このまま放っとくと、いつかは完全に……」
「ソフィ……」
パスカルの言葉を聞き、これ以上の後遺症の侵攻を食い止めるべく、三人は再び治癒術をかけるも全く意味を成さず、ソフィの瞳は見えないままである
術だけでなく薬も全く効かず、何か他の手を、と三人がパスカルへ乞うも頼られた本人は少し考えた後にひとまずは宿屋に行く事を冷静な判断として下した
その言葉に従い、ソフィを連れ、ザヴェートの宿屋で部屋を取り一泊
深々とした寒さが微かに漂い、真夜中の静けさに包まれた部屋で魘されているソフィの傍に眠らずにラティアが付き添っていた
「……うう…っ」
「ソフィ…大丈夫、一緒にいるからね」
痛みを取り消す事が出来ない代わりにラティアはソフィの額に滲む汗を拭き取ってやっていると背後から部屋の扉が開く音、そして誰かが一歩部屋に入り込んだ靴が踏みしめた音
そちらに振り返ると丁度扉を閉め終わったアスベルが驚き、目を見開いていた
「…ラティア!?」
「アスベル…!こんな夜更けにどうなさったのですか?」
「いや、それは俺の台詞だ。まさかラティア…こんな時間まで起きていたのか?」
「ソフィの事が気になったら、眼が冴えてしまって……」
「少しでも寝た方がいい、ラティアも疲れているだろう?ソフィの事は俺が引き受けるよ、少し寝てきたから」
「ですが……」
「ここでラティアまで倒れたら、ソフィだって心配するだろ?俺だって心配して、それこそ寝れなくなる
だから…俺とソフィ、皆のためにもちゃんと休んでくれ」
ソフィを見返り、この場を離れる事を渋っていたものの心配するソフィや仲間達を出されてしまい、安心させる様に微笑むアスベルに頭を撫でられてしまえば、ラティアは従うしかない
「アスベル……はい、分かりました」
「ああ、おやすみ」
「おやすみなさい、アスベル」
頭を小さく下げ、ラティアは部屋を後にする、その後、やっと呼吸が落ち着いたものの容態は改善されないままで朝を迎えた
深く寝入っているソフィを案じているとパスカルが言い難そうにアスベルに口を開く、その言葉は彼の怒気を膨らますのに刺激的であった
「アスベル、言いにくい事なんだけど……ソフィは……あたしたち人間とは違う存在なんじゃないかな」
「パスカル……!」
「アスベル、落ち着いてくださいっパスカルにも何か考えがあるから、そう言うのですから…!」
怒りを露にするアスベルがパスカルへ振り返るものでラティアは慌てて彼を抑える
だが怒りをぶつけられそうな本人は深刻な表情で今のソフィの様子は人間じゃ考えられない反応だと言葉を濁す
「ソフィが人間だろうとなかろうと苦しんでいるのは事実だ、諦めようっていう話なら俺は聞かない」
「ううん、むしろその逆だよ。ねえみんな、あたしが英知の蔵で話した事、覚えてる?」
「私たちがいる所とは別にフォドラという所があって、そこから《プロトス1》が来たって話?」
「《プロトス1》は大輝石を狙っていたラムダという存在を阻止したとも言っていたな」
「そういえば…孤島ではリチャードさんがソフィの事を《プロトス1》だと……」
「もしリチャードの言う通り、ソフィが《プロトス1》だったら可能性がひとつあるの。ソフィをフォドラへ連れて行くんだよ」
予想外に放たれたパスカルの提案にラティア達は驚きを露にしていると彼女は言葉を続ける、薬も術も効かないとなるとその手段しかないかもしれない
だがリチャードが本当の事を言ったとは限らず、英知の蔵の情報は気が遠くなる程の昔の情報で必ずソフィの容態が改善する確証はない、けれどフォドラを目指す事も可能性の一つなのだと
「そのフォドラへはどうやって行けばいいんだ?俺はソフィをこのまま放っておく事はできない
今度は俺がなんとしてもソフィを救わないと、だから頼む、俺をフォドラへ行かせてくれ。なんとしてもソフィを治してやりたいんだ」
「俺を、ではなく俺たち、ではありませんか?恐らくここにいる全員が同じ考えだと思いますよ」
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