Memoria:23 もし、この先に別れがあるのなら
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この部屋の主 カーツは前髪の一部を白く脱色した黒髪に皺が刻まれた中年の男性、彼もまたマリクと同じ様にアスベル達と引きを取らない力を持っている様だ
交差していた武器をマリクは背に戻すとカーツ自身も武器を降ろし、自分のデスクへと歩む為にその後を必然的にラティア達も歩み寄る事となる
「久しぶりだと言いたいが素直に旧交を温められそうな雰囲気ではないな」
「カーツ、オレたちはお前に話があって来た。カーツ、お前はこの国にある大輝石の実験を取り仕切っているそうだな」
「……そうだ、長い年月をかけて、ようやくここまでこぎつける事ができた。この実験が成功すれば大輝石を資源として活用できるようになる
それにより我が国の人間がどれほど救われる事か、二十年前に始めた改革の志が形を変え、ついに成就するのだ」
「実験をやめろ、カーツ」
「フーリエお姉ちゃんの研究をそのまま使ってるでしょ?あれ、未完成なんだよ。
過度に原素を取り出そうとすると大輝石が暴走して制御できなくなるの」
「彼女はパスカルだ、アンマルチア族の一員で過去に大輝石を研究していた。フーリエ氏の研究を途中まで手がけていたのもこのパスカルだ」
「……何も問題はない、実験は予定通り遂行する」
「カーツ!?」
「このまま実験を続ければ、この国の人達に被害が出るのですよ…?!」
先にマリクが言っていた様にカーツという人物は鉄の様に固い意志を他者からの言葉だけで曲げる様な存在ではない様だ
驚く声を背で受けながら彼はフーリエの実験を土台としてそこに独自の充分な改良を重ねているからこそ、心配はないと断言した
そんな簡単に得られる安心ならパスカルは放棄しない、そして研究所で見たあの爆発、それらからアスベルは簡単に納得は行かない声を零すとカーツは彼に振り返る
「我々にはもう時間がないのだ、今実験をやらなければ、我が国の国民の生活は最悪の状況となる
生き延びるためには隣国へ攻め込むしかないという事態にもなりかねんのだ。そうなったら最後だ、これまでの国境紛争どころでない全面戦争となるだろう」
「それは、つまり…」
「隣国というのはウィンドルの事ですか」
「話はここまでだ」
「どうしても実験をやめるつもりはないのか?」
「マリク、昔のよしみに免じてここから立ち去る時間だけはくれてやる。これ以上ここに留まるなら警備の兵を呼ぶぞ、その前に政府塔を出るがいい」
本気で事に運ぼうとするカーツにアスベル達は動揺してしまう、ここで兵を呼ばれては逃げ場はない、今度こそ本当に投獄なり何なりの処置を受けてしまうだろう
「カーツ、お前は……」
「何も言うな、既に私とお前の道は深く分け隔てられている」
その言葉が決め手となりラティア達は政府塔を後に、マリクにとってはたったの数分の友人との再会、そして離別を味わう事となったのだった
「大輝石の場所はわかったけど……」
「結局カーツさんには実験の中止を受け入れてもらえなかったわね……」
「国の方達の為を思って、事を運べる方ですのに何故分かって貰えないのでしょうか…」
「あいつはこの二十年というもの、ずっと戦い続けてきたのだろう。アイツなりのやり方で
それがどれほどの苦労だったか、できれば応援したかったが……パスカル、カーツはあのように言っていたが……やはり実験は危険なのか?」
マリクからの問いかけにやはりパスカルはカーツと対面したが意見を変えずに再び深刻そうに一つ頷いた
問題は実験の完成度ではなく大輝石に含まれる原素の特性、例えどんなに安全だと言われる実験の方法でもその前では絶対安心という法則は乱される
「教官、大輝石の下に向かいましょう。カーツさんの実験を止めるために。それが真実を知っている俺たちの責任だと思いますから」
「責任か……」
「次にカーツ氏と会う時は間違いなく戦いになるでしょう、あなたは彼と戦えるんですか?」
「カーツと戦う……か」
皆がマリクの動向に注視する中での発言、ソフィは友人と戦うマリクにリチャードといつか戦う事になる自分とリンクしたのか自分の胸に手を当てた
「……ぼくたちは今、フェンデルという国そのものを相手にしているも同然なんです。しかもこの数で乗り込むんです、戦力にならない者がいては困ります」
「カーツは今でもオレの友だ、オレのその思いは何があろうと揺らぐ事はない
だからこそ、アイツと戦う事も覚悟の上でオレはアイツを止めねばならん。それがオレの使命であり、けじめでもあると思っている」
「……わかりました、それだけ聞けば十分です。先を急ぎましょう」
―教官とカーツさんが戦う様に私達もいずれリチャードさんと戦う事になる、のでしょうか…ソフィが危惧する様に…その時、私は……
戦えるのか、という不安を抱くもラティアは直ぐさまに首を横に振り、その考えを振り払うと先を行くアスベル達へと駆け寄った
政府塔のカーツの執務室にあった資料に記されていた大輝石が隠された氷山遺跡の奥へとラティア達はひたすらに進んで行く
この地形、この極寒の温度ならば、確かに護衛兵という目立つものを置かずに国民達にもばれずに済むだろう
「ここまでは順調に来られたな」
「ええ、この調子で大輝石のところまで進めるといいんですが」
「ソフィ、シェリア、パスカル、寒くはありませんか?」
「平気」
「ええ、大丈夫よ」
「あたしも全然大丈夫だよ~」
「教官やヒューバート、アスベルも大丈夫ですか?」
「ああ、寒さは慣れているからな」
「ぼくもお気遣いなく」
「俺もだ、俺たちの心配よりもラティアは寒くないか?」
「はい、重ね着をしているので大丈夫ですよ」
「もし寒くなったら言ってくれ、コートを貸す」
「い、いえ!それではアスベルの体を冷やしてしまいますから…!」
「俺はラティアが寒い思いをするのは嫌なんだ、いつもラティアは自分の事を後回しにするからさ」
気遣われている事に嬉しさで胸に熱が灯るも口から溢れるのはですが、という謙遜の一言
お互いがお互いを気遣っているのを見て取れる、というよりも知らない内にそれを見せつけていると少々呆れた様子で二人の間に入ってきた
「そこの二人、そんな押し問答をしている間に体を冷やすぞ」
「「あ」」
間の抜けた一言で押し問答は閉幕、今の会話を聞かれてしまい、恥ずかしそうにする二人はマリク達よりも遺跡内部の寒さよりも暑さが勝っていたとか
ほの暗い氷で形成された通路を下って行くと今までとは違い、微かな熱を感知出来る広い空間へと出た
交差していた武器をマリクは背に戻すとカーツ自身も武器を降ろし、自分のデスクへと歩む為にその後を必然的にラティア達も歩み寄る事となる
「久しぶりだと言いたいが素直に旧交を温められそうな雰囲気ではないな」
「カーツ、オレたちはお前に話があって来た。カーツ、お前はこの国にある大輝石の実験を取り仕切っているそうだな」
「……そうだ、長い年月をかけて、ようやくここまでこぎつける事ができた。この実験が成功すれば大輝石を資源として活用できるようになる
それにより我が国の人間がどれほど救われる事か、二十年前に始めた改革の志が形を変え、ついに成就するのだ」
「実験をやめろ、カーツ」
「フーリエお姉ちゃんの研究をそのまま使ってるでしょ?あれ、未完成なんだよ。
過度に原素を取り出そうとすると大輝石が暴走して制御できなくなるの」
「彼女はパスカルだ、アンマルチア族の一員で過去に大輝石を研究していた。フーリエ氏の研究を途中まで手がけていたのもこのパスカルだ」
「……何も問題はない、実験は予定通り遂行する」
「カーツ!?」
「このまま実験を続ければ、この国の人達に被害が出るのですよ…?!」
先にマリクが言っていた様にカーツという人物は鉄の様に固い意志を他者からの言葉だけで曲げる様な存在ではない様だ
驚く声を背で受けながら彼はフーリエの実験を土台としてそこに独自の充分な改良を重ねているからこそ、心配はないと断言した
そんな簡単に得られる安心ならパスカルは放棄しない、そして研究所で見たあの爆発、それらからアスベルは簡単に納得は行かない声を零すとカーツは彼に振り返る
「我々にはもう時間がないのだ、今実験をやらなければ、我が国の国民の生活は最悪の状況となる
生き延びるためには隣国へ攻め込むしかないという事態にもなりかねんのだ。そうなったら最後だ、これまでの国境紛争どころでない全面戦争となるだろう」
「それは、つまり…」
「隣国というのはウィンドルの事ですか」
「話はここまでだ」
「どうしても実験をやめるつもりはないのか?」
「マリク、昔のよしみに免じてここから立ち去る時間だけはくれてやる。これ以上ここに留まるなら警備の兵を呼ぶぞ、その前に政府塔を出るがいい」
本気で事に運ぼうとするカーツにアスベル達は動揺してしまう、ここで兵を呼ばれては逃げ場はない、今度こそ本当に投獄なり何なりの処置を受けてしまうだろう
「カーツ、お前は……」
「何も言うな、既に私とお前の道は深く分け隔てられている」
その言葉が決め手となりラティア達は政府塔を後に、マリクにとってはたったの数分の友人との再会、そして離別を味わう事となったのだった
「大輝石の場所はわかったけど……」
「結局カーツさんには実験の中止を受け入れてもらえなかったわね……」
「国の方達の為を思って、事を運べる方ですのに何故分かって貰えないのでしょうか…」
「あいつはこの二十年というもの、ずっと戦い続けてきたのだろう。アイツなりのやり方で
それがどれほどの苦労だったか、できれば応援したかったが……パスカル、カーツはあのように言っていたが……やはり実験は危険なのか?」
マリクからの問いかけにやはりパスカルはカーツと対面したが意見を変えずに再び深刻そうに一つ頷いた
問題は実験の完成度ではなく大輝石に含まれる原素の特性、例えどんなに安全だと言われる実験の方法でもその前では絶対安心という法則は乱される
「教官、大輝石の下に向かいましょう。カーツさんの実験を止めるために。それが真実を知っている俺たちの責任だと思いますから」
「責任か……」
「次にカーツ氏と会う時は間違いなく戦いになるでしょう、あなたは彼と戦えるんですか?」
「カーツと戦う……か」
皆がマリクの動向に注視する中での発言、ソフィは友人と戦うマリクにリチャードといつか戦う事になる自分とリンクしたのか自分の胸に手を当てた
「……ぼくたちは今、フェンデルという国そのものを相手にしているも同然なんです。しかもこの数で乗り込むんです、戦力にならない者がいては困ります」
「カーツは今でもオレの友だ、オレのその思いは何があろうと揺らぐ事はない
だからこそ、アイツと戦う事も覚悟の上でオレはアイツを止めねばならん。それがオレの使命であり、けじめでもあると思っている」
「……わかりました、それだけ聞けば十分です。先を急ぎましょう」
―教官とカーツさんが戦う様に私達もいずれリチャードさんと戦う事になる、のでしょうか…ソフィが危惧する様に…その時、私は……
戦えるのか、という不安を抱くもラティアは直ぐさまに首を横に振り、その考えを振り払うと先を行くアスベル達へと駆け寄った
政府塔のカーツの執務室にあった資料に記されていた大輝石が隠された氷山遺跡の奥へとラティア達はひたすらに進んで行く
この地形、この極寒の温度ならば、確かに護衛兵という目立つものを置かずに国民達にもばれずに済むだろう
「ここまでは順調に来られたな」
「ええ、この調子で大輝石のところまで進めるといいんですが」
「ソフィ、シェリア、パスカル、寒くはありませんか?」
「平気」
「ええ、大丈夫よ」
「あたしも全然大丈夫だよ~」
「教官やヒューバート、アスベルも大丈夫ですか?」
「ああ、寒さは慣れているからな」
「ぼくもお気遣いなく」
「俺もだ、俺たちの心配よりもラティアは寒くないか?」
「はい、重ね着をしているので大丈夫ですよ」
「もし寒くなったら言ってくれ、コートを貸す」
「い、いえ!それではアスベルの体を冷やしてしまいますから…!」
「俺はラティアが寒い思いをするのは嫌なんだ、いつもラティアは自分の事を後回しにするからさ」
気遣われている事に嬉しさで胸に熱が灯るも口から溢れるのはですが、という謙遜の一言
お互いがお互いを気遣っているのを見て取れる、というよりも知らない内にそれを見せつけていると少々呆れた様子で二人の間に入ってきた
「そこの二人、そんな押し問答をしている間に体を冷やすぞ」
「「あ」」
間の抜けた一言で押し問答は閉幕、今の会話を聞かれてしまい、恥ずかしそうにする二人はマリク達よりも遺跡内部の寒さよりも暑さが勝っていたとか
ほの暗い氷で形成された通路を下って行くと今までとは違い、微かな熱を感知出来る広い空間へと出た