Memoria:22 止まらない涙、留まらぬ後悔
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「フェンデル軍技術将校 カーツ・ベッセルよ……」
「カーツ・ベッセルだと?」
「教官のお知り合いですか?」
「ああ、まさかこんな所で再びあいつと繋がるとは……」
「そのカーツという人は今、どこにいるんですか?」
「軍の技術省は帝都にあるわ、ただし彼が確実にそこにいるかどうかはわからない」
「ありがとうございます、それだけ聞ければ十分です
俺たちはそのカーツという人にこれから会いに行ってみます」
カーツという名に心当たりがあるのかマリクは大きく反応した後、何か深く考え込み出してしまった
必要な情報を得て謝礼の言葉を述べるアスベルから視線を今だ落ち込んだ様子のパスカルに変えるもすぐにフーリエは視線を反らしてしまった
「……好きにすればいいわ、私には関係のない事よ」
冷たく突き放したフーリエにもう一度頭を下げ、ヴェーレスと戦った際に拾った地上に直通するエレベーターを起動させるも後ろ髪を引かれる思いが残る
「大輝石に繋がる情報は得たが……これではなんだか……」
「良かったじゃありませんか、少なくともフーリエさんが生物兵器開発を目的としていない事がわかったんですから」
「ヒューバート……パスカルもフーリエさんもお互いつらそうなのを見て、何も感じないの?」
「ええ、ぼくらにとって大切な事は別にありますからね」
「私は……あんなパスカル見ていられない」
「二人の仲を戻すために何か出来る事はないだろうか」
「……やめて下さい、兄さんたちが何を考えようとそんな無意味な事に時間を費やすのはぼくが許しません」
「そんな……」
ヒューバートの意見も最もだがパスカルのあんな姿を初めて見た為に余計見ていられないでいるシェリアが今度は肩を落とすものでラティアが慌てて仲裁に入る
「で、ですが昔アスベルもヒューバートがケンカした際はいつの間にか仲直りしていましたし…きっと他者が介入しない方が良い時もあるのでは……」
「ラティア、そんな昔の事を蒸し返されると何か恥ずかしいんだが…」
「え…ご、ごめんなさい!私、でしゃばった真似を……!」
「あ、イヤ、そういう訳で言ったんじゃないんだ!」
「兄さん、ラティア、もういいですか?」
「はい/ああ……」
お互いにわたわたとする二人を制止しヒューバートが率先してエレベーターを起動し用事がなくなった研究所を出るがやはりパスカルは元気を取り戻せずにいた
彼女の脳裏には先程の怨嗟が呪いの様にこびり付いたままだ
「お姉ちゃんがあたしの事をあんな風に思ってたなんて知らなかったよ
知らないうちにお姉ちゃんを苦しめていたなんて……あたし、やっぱりお姉ちゃんに謝ってくる」
「やめた方がいいと思います」
研究所、フーリエの元へ引き返そうとしたパスカルはヒューバートの声に立ち止まる
「彼女が再び立ち上がるためには自分で自分を認められるようにするしかありません……へたな同情はよけいに傷つけるだけです」
「いつかわかってくれるかな……あたしがお姉ちゃんを好きだって事……」
「パスカル……」
「大丈夫、いつかわかってくれるさ。大輝石の実験を止められるのはパスカルしかいない……そうわかっていても姉として負けたくなくてああいうしかなかったんだ
フーリエさんの努力が人の命を奪った、なんて悲しい事にならないためにも……なんとしても実験をやめさせよう、もちろん俺たちも協力する」
「実験を止めて、その後にまたフーリエさんの元に向かいましょう?その頃にはきっとお互いに冷静な物の見方が出来る様になって、認め合える筈ですから」
「しっかりしてください、お姉さんを救えるのはあなただけなんですよ。ぼくらとしても……あなたがいないと始まらないんですから
一緒に……行きましょう」
「ヒューバート……」
「弟くん……ありがとう、みんな。本当にありがとう」
暖かな言葉を受け、旅の中では初めて涙を零し始め、パスカルはそれを両手で拭っていくもののそれは次から次へと溢れ、声は涙に濡れる
その姿にソフィは駆け寄り、泣き止むまで頭を優しく撫で続け、その感触はまた彼女の涙腺を刺激するに十分だった
「ヒューバート……お前……」
「兄弟の事で悩む気持ちはぼくにも一応分かりますから……それに賑やかな人がいた方が寒さもまぎれます
さあ時間がありません、帝都へ急ぎましょう」
止まらない涙、留まらぬ後悔
(嘆きが落ちた大地を踏みしめ、)
(僕らはただ歩み続けるしかないんだ)
Title by:「飴玉ウサギの涙」様