Memoria:epilogue 雪解けアンダンテ
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「ソフィー!」
「ん……」
――長い、遠い夢を見ていた様だ
夢の中でも感じていた穏やかさから抜け出し、体を起こしたソフィの前に白いイブニングドレスを着たラティアと彼女を支える様に隣に位置するアスベルが現れる
「アスベル。ラティアも……」
「やっぱりここにいたな」
「お昼になってもソフィが戻って来ないから、呼びに来たの」
「動いて大丈夫?ラティア」
「ええ。もう大分落ち着いたから」
体調を心配してくるソフィの言葉にラティアは安心させる様に微笑む、年を重ね、身につけてきた落ち着きと品の良さがその表情から滲み出る
ソフィが彼女を心配する原因、それは彼女が新たな命をその身に宿しているからである
「お腹、大きくなったね」
「もう五ヶ月だからな」
「前にソフィが見たって夢の通り、男の子みたい」
五ヶ月前に発覚した自分達の間に授かった命、その時のアスベルやソフィの喜びようは昨日の事の様にはっきりと思い出せる
新たな命を宿しながらも仕事に動こうとしたラティアへの過保護っぷり、お腹が大きくなって思う様に動けなくなる体と不慣れな事ばかりで…
それでも日に日に存在を主張するお腹はとても愛しくて、重みは幸せを噛み締めるものとなっていた
「もうすぐしたら、会えるね」
「この子はソフィの弟になるな」
「弟……」
「たくさん遊んであげてね」
「うん!いっぱい、遊ぼうね」
そう声をかけ、新しい命に触れる様にラティアの体に触れていたソフィの掌に微かな振動
気のせいではない、確かに感じたその振動は他ならない――
「今……」
「あ、お腹蹴ってますね」
「本当かっ?」
「また……ふふ、この子はやんちゃな性格みたいですね」
「小さい頃のアスベルみたいに?」
「いや、そこまでやんちゃじゃなかっただろ?俺……自信ないけど」
自信なさそうに視線を反らすアスベルにラティアとソフィは顔を見合わせ、瞳を瞬かせた後に微笑み合う
笑い合う二人の姿に親子仲が良好なのを感じながら、不甲斐ないなと後頭部に手を持っていくとアスベルはその雰囲気を断ち切る様にバスケットを掲げる
「今日はここで昼食しようってラティアが飯を作ってきたから、食べよう」
「!カニタマは?カニタマはある?」
「ソフィの好きなもの、いっぱい作って来たわ」
「ラティア、俺のは……」
「勿論、アスベルの好物もいっぱいです!ケリー様に教わった味付けですよ」
「こっちで食べよう?お陽様の光がきもちいいよ」
結っていない長い髪を潮の香りを含んだ風と共に波打たせ、先を行くソフィの背中をラティアは眩しそうに見つめる
あの背中に詰まった、たくさんの未来とそこで生きる人々が新たに紡いでいく物語……それがソフィを通して見える様な気が時々するのだ
自分にはそんな遠い所まで共に見る事はできない、けれど彼女を通して見る未来はきっと、ソフィが咲かせる笑顔の花に満ち溢れている筈――
「行こうか、ラティア」
「……はい、アスベル」
この手が…あの、自分達の想いを受け継いでくれる少女がいる限り、自分は彼らと共にある未来を輝かせる為、己を磨く事は片時も忘れはしない――
自分へと差し伸べられる手に微笑みながら、手を乗せるラティアはそう胸に刻み付けた
ソフィが綴っていく未来へ引き寄せられる様に歩き出す、その二人の左手薬指には銀色に輝く確かなものが嵌められていた
雪解けアンダンテ
(四季は再び一巡り)
(それでも決して)
(想いは途切れずに…)
(四季は再び一巡り)
(それでも決して)
(想いは途切れずに…)