Memoria:epilogue 雪解けアンダンテ
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「行ってしまいましたね……」
「ああ……」
「私たちもラントに戻りましょう、船が出ているかどうか確認してきますね」
自分の職務を真っ当する為に旅立ったシェリアも見送り、残ったのはラントへ帰る事で今回の件が終わるラティア達
寂しくはあるが、仲間が豊かな未来の為に奮闘するのだから自分も負けない様に…ラント行きの船がまだ停泊しているかの確認も兼ね、先を行くラティアはそう見据えた
「アスベル、ラティアに言う事があるでしょ?」
「え?」
「守らないと針千本って約束」
「いや、あれはラントに戻ってだな……」
自分の言葉に狼狽え、先延ばしにしようとするアスベルにはっきりしろとその態度を批難する様にソフィの視線がちくちくと罪悪感に突き刺さる
大人になった娘からの視線にう、と困惑し、港へ向かい始めたラティアの小さな背中を見つめ、決心を固めた
ラントに戻っても、今回の件での不在中に溜まった仕事やケリーからのお見合い攻撃で自由な時間は取れないはず、それを免罪符にする前にとラティアに追いついたアスベルはその手首を掴む
「アスベル……?」
「……フォドラで言った時のように正式な場でも、ラントでもないけど……ここで言わせてほしい
俺と一緒にラントをより良いものに出来るように……これから先のラティアの人生、俺にくれないか?」
約束の場所でこの状況をいつか、と覚悟していたラティアの予想よりも早くその時期が訪れた事に彼女は瞳を大きく見開いた
「絶対にラティアに後悔はさせない
だから……俺についてきてほしい、俺やソフィにはラティアが必要なんだ」
「アス、ベル……本当に私、でよろしいので……?」
天上から差し込む陽光を受け、鮮やかに輝いたのは彼女の瞳から零れ落ちたビーズの様な涙
自分は没落した貴族の娘で従者でもある、そんな生立ちの自分よりもアスベルに釣り合う立場や、自分よりも出来た人間がいる筈なのにそれでも、と悪い癖で彼の想いに確認を取ってしまう
ラティアのそんな癖にも嫌な顔一つせずに、彼は微笑む
「ああ。まだ未熟な俺だからこそ、ラティアにこの先も一緒にいてほしいんだ」
二人の成り行きを聞いていたソフィは階段を駈け下ってくると、その速度を落とす事なくラティアに駆け寄る
瞳を瞬かせるラティアの手を取り、その場で一周回るとソフィは嬉しそうに表情を綻ばせた、二人がそんな関係になる事が何よりの幸せであると告げる様に
「ラティア、あのね……わたし、夢を見たの」
「夢……?どんな夢?」
一体どんな夢を見たと言うのかと首を傾げるラティアにソフィは増々表情を綻ばせ、自分の見たという夢を語る
「アスベルとラティアによく似た子と遊んでる夢……」
ー……一人の男の子が迷子の種を拾いました
男の子は自分の庭に植えて、毎日世話をしました
「その子はね、アスベルとラティアの子どもの子どもの、そのまたずっと先の子どもなの」
夢を見たという本人が確信していた、その夢は自分を待っている遠い未来からの声だったのだと
ソフィからの言葉を聞き、弾かれた様にアスベルを見上げるラティアに彼は照れ臭そうに頬を掻いていた
彼もまたそんな未来を望んでいる…ソフィと、他ならない自分と同じ様に
「その夢が正夢になったら……どんなに幸せなことなのでしょう」
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