Memoria:61 またいつか、遠くない未来で
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「ええ!?」
「野良猫を洗うようにごしごしやってちょうだい」
「うっ……」
何で僕が、と言わんばかりの声のあげ方、それに目を覚ました様にパスカルがヒューバートの腕の中から彼を上目遣いで見上げた
「お、お手柔らかにたのみますにゃあ~」
その頬を染める赤色は自分よりも年下の彼に自分を任せられる事になる羞恥か否か
フーリエが言った様に猫の如く、手を丸めるパスカルの仕草は自由気ままな彼女に似合っていて…
「ぐえっ!」
「ふ、風呂くらい自分ひとりで入ってください!!」
その衝撃にパスカルを抱きかかえていた手を離した為、パスカルは地面に転がり落ちる事となった、…この二人が急接近するにはまだまだ時間が必要の様だ
どぎまぎしながら、そう突き放したヒューバートの言葉が照れ隠しとも思わずにつっけんどんの部分を取り上げたパスカルは苦笑する
「弟くんはお姉ちゃんよりおっかないなぁ」
「ぼくは弟くんじゃなくて、ヒューバートです!いい加減に覚えてください!」
「ん、わかった」
さらりとOKを出したパスカルは地面から起き上がると男女の壁も何のその、目と鼻の先の言葉を実現する様にヒューバートに顔を近付けた
先程から気になっている異性からの行動にヒューバートの心臓が落ち着く暇は見せず、普段の彼からは考えられない動揺が伺える
「じゃあ長いから、ヒューくんでいい?」
「ヒューくんって……」
個人的にはあだ名ではなく、ヒューバートという名前で呼ばれたかったらしい彼の想いを知らずにパスカルは姉妹の元へ踵を返す
「んじゃ、あたしそろそろいくね。じゃあまたね、ヒューくん」
「え……」
笑顔を見せるパスカルとは対照的にヒューバートは名残惜しそうにそう呟く
それもそうだ、ストラタとフェンデルではそう簡単に会える距離ではなく、しかも一人は研究者、もう一人は軍人…時間が取れるタイミングは少ない
「オレもここで別れよう」
「ありがとうございました、教官
ありがとう、パスカル」
「フェンデルのこと、よろしくお願いいたします」
「またね、ふたりとも」
「また会いましょう」
ヒューバートを除くラティア達は二人へと頭を下げ、他の仲間達を送り届ける為にもシャトルへと戻っていく
後ろ髪を引かれる様に名残惜しさがあるヒューバートがパスカルを見つめるも…やはりここでも彼女はその想いに気付かず、彼にある名残惜しさも微塵に感じさせない
「みんなー、またねー!」
ポアソン、フーリエの手を取って仲間を見送ろうと手を振るパスカルの反応に肩を落としつつ、兄の背中に従おうとした所、その肩を掴む手が引き止めた
その手は二人の動向にやきもきし、見ていられなくなったマリクがこの旅で教える最後のアドバイスを耳打つ
「あいつは野良猫だ、手懐けるまで根気よくいけ。あきらめるなよ」
これが餞別だとマリクはヒューバートの手に通信機を託し、その背中を勢い良くシャトルの方へ突き飛ばす
「ぐふっ!」
「じゃあな」
自分の手に託された通信機、それはパスカルと自分を繋げる唯一の架け橋、これを餞別として渡したマリクに報いる為にも無駄には出来ない
男は背中で語る、それを貫くマリクとパスカルにヒューバートはぎこちなく微笑み、別れの挨拶として手を振ったのだった
次にシャトルが降下したのはストラタ、ここで離脱する仲間はヒューバートだった
下ろす仲間が弟という事もあって、アスベルは言う事が多い
「たまにはラントにも顔を出せよ。母さんも喜ぶしな」
「そうですね。兄さんの結婚式には戻ると思いますよ」
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