Memoria:60 始まりはそう、小さな祈りから
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「滅べ、滅びよ、ヒトよ」
体からは元であるリトルクイーンの様に自身を構築する原素が溢れ出しながらも、うわ言の様にその言葉を紡ぐフォドラクイーン
自身が滅ぶ事も省みずに彼女はこの星の守護者としての使命を果たそうとおぼつかない足取りで星の核を目指す
「わたしは守る。フォドラを守る……」
「ま、まずいよ!核で原素を吸収されたら、また復活しちゃうって!」
もう一度の連戦が始まれば、今度こそこちらに勝機はないと見ていいだろう
ここに来た当初の目的を果す時が来たのだとアスベルは察し、フォドラクイーンが核に近付くよりも早く行動に移る
「ラムダ、頼む!」
その呼び掛けに間髪入れずにアスベルの代わりにラムダの意識が表層へと現れる
両目は左目だけに留まらずに紫苑色へと染まり、その背からは巨大な力が雄々しく両翼として広がり、目前の彼の姿にラティア達は息を呑む
「ラ……ムダ……」
「ゆくぞ!」
圧倒され、そう呟くのがやっとなソフィの声にラムダは一瞬だけ彼女を一瞥した後、星の核へと両手を翳す
「うおおおおおおおおお!」
フォドラクイーンが最後の希望として手を伸ばした核から沸き立つ原素がラムダの力によって、アスベルの内へと引き寄せられていく
頼みの綱である核の原素を奪われ、崩壊していく体を復活させる術を失ったフォドラクイーンは力無く崩れ落ち、その体はリトルクイーンのものへと弱体される
「ぐわああああああっ!!」
順調に核の原素を吸収していたアスベルの体が大きく仰け反り、ラムダから苦痛を訴える声が叫びとなり現れる
幾らラムダに体を明け渡しているからといって、その身はただの人体、膨大な原素を吸収するには器が小さすぎるのか
それともフォドラという星が枯れていく事を拒み、千年を越える星の記憶を用いてアスベルとラムダに牙を向いているのか…
「アスベル!」
「ラムダ!」
「ぐ……ぐっ……ぐあああああああああっ!」
自分達への呼び掛けに星の記憶の中へと混濁しかかった意識を持ち直し、核の原素を吸収し切ろうとラムダは最後の力を振り絞る
核の原素とラムダの力による衝突、その間に生まれた膨大なエネルギーの波はラティア達をも飲み込み、連れ去ろうと膨れ上がった
「きゃあああっ!」
――巨大な波に連れ去られた意識を誰かが呼び起こそうとする感覚、それにラティアはゆっくりと目を開き、無事を確認する
どうやら体に傷は負ってない様だ、寧ろ体という枷から魂が解放されたかの様な軽やかさだ
『こ……ここは?』
『今までいた場所と違う……?』
自分達は確かにフォドラの核にいた筈だ、ならここはどこなのかと辺りを注意深く見回す
そこはラティア達が伺い知る事は出来ないものの、アスベルとラムダが会話する場…お互いの心の狭間に出来た領域に良く似ていた
だがここにアスベルはいない、まさか一人…否二人でフォドラに挑んでいるのではと一抹の不安がラティアの胸を不安に淀ませる
『ここは……フォドラの意識だ』
『に、兄さん!?』
今、正にその所在を探していた存在が降って沸いた様に現れた現象にヒューバートも目を見張った
その瞳は固く閉じられている為にどちらが主導権を握っているかは分からない、だがこの口ぶりは…
『我はラムダだ』
『あなたが……ラムダ』
『アスベルは!?』
何を差し置いてでもアスベルの無事を確かめたいと願うソフィにラムダはその紫苑の瞳を開き、悠然たる表情を浮かべる
どこかアスベルとは違う、その表情には重み…古樹を前にしたかの様な貫禄めいたものを感じさせる
『案ずるな、プロトス1。この者の命は失われてはいない』
その言葉を受けたソフィはラティアと顔を見合わせ、アスベルの無事をささやかに喜び、強張った表情を綻ばせた
彼女等の反応にますます目尻を和らげるラムダだが、彼は不意にその腕を組むと自分の内に取り込んだ存在に心を傾ける
『さすがに我もフォドラの全てを抱え込む事は出来なかった。しかし、憎しみの心だけは受け止める事が出来たようだ
これで核は元通り、落ち着きを取り戻してゆくだろう。こうなったのも、わずかに残った命を守ろうとしたフォドラの意志なのかもしれないな』
『それが本当だったら、一概にフォドラが悪いとは……』
『今から我は言葉を交わしてみようと思う』
『言葉を?』
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