Memoria:58 人に反逆せしニルバーナ
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「二人でも少し足場が狭いですね……」
「大丈夫か?ラティア」
「はい!私は大丈夫です」
「落ちない様にもう少しこっちに寄った方が……」
「い、いえ!これくらいあれば、充分ですからっ」
仲間が気を利かせたのか、ラティアとアスベルが組となり、現在足場を使って降下している所だった
だがラティアが言う様に二人であっても足場は相当に窮屈で、加えて降下する際の重力が体を不安定にさせる
アスベルを気遣おうと自分の足場を外側にさせるラティアに気付き、アスベルは咄嗟に彼女の肩を自分の胸に引き寄せた
「……!」
「ったく……どこが十分なんだ?そんな外側にいたら落ちるだろ、ラティア」
「ご、ごめんなさい……っ」
「ラティアはいつも俺に気を使い過ぎだよ、そんなに頼りないか?」
「そ、そういう訳じゃっ」
まさか自分の取った行動がこんな形に結び付くなんて思い付きもせず、アスベルに抱きとめられたままでラティアは母音を伸ばした戸惑いの声を上げていた
下の階層で待ち合わせた仲間達と合流し、向かった先は先の上層部よりも豊かな緑が生い茂る広大な大地、そこへ踏み入った
「地下にこんな空間があるなんて不思議……」
「こんなに綺麗な場所が存在するのか……」
「もしかしたら、ここは地上よりも自然が生息するのに的確な場所かもしれませんね」
「ここは生命力に溢れているな。一体、どうして……」
ここに来た時の事を思い出す、かつてフォドラに生きた人々が作り上げたガルディアシャフトは核から放出された原素に侵され、その大部分が腐食していた
それならば、何故この場所はこんなにも自然に恵まれているのか、ここも核への道ならば、エフィネアでの星の核の様に緑が廃退していても可笑しくない筈だが…
「フォドラの核に近づいている証拠だね」
「フォドラの核に?」
そう断言するパスカルの表情は強張った表情にも見て取れる真顔
目的地に近付けているのだから、喜んだり気を引き締めたりするものだが、彼女の表情はそういう類いのものではない
「どうしたんですか?パスカルさんらしくない顔をしてますよ」
ヒューバートに指摘され、強張った表情をそのままにパスカルは自身が辿り着いた真実をレンズとした目で大地を見渡す
「ここには植物も動物も生き物が溢れているでしょ」
「見ての通りですね」
「前に行ったお花畑もそうだったんだけどさ……」
「らしくないな。回りくどい言い方して」
いつもの彼女ならば、こんな風に遠回りな手段を用いて結論を提示したりはしない
――それはつまり、あのパスカルでさえも言葉にするのを躊躇う程の結論が導き出されたという事を暗示する
「ここにはひとつだけ、あるはずのものがないんだよ」
「あるはずのものって……」
問いかけに互いに分かるかと顔を仲間内で見回すラティア達、けれど答えは見つからない
ここにはフォドラ表面の大地と違い、生命が実る大地もある、風にそよぐ草木、そしてそこに生きる魔物や動物達の生命、ここには全てが揃っていると言っても過言ではないが…
「……人。ここには人がいないんだ」
それは仲間と行動しているラティア達の盲点をついた解答でもあった
「そのとおり」
共に行動する仲間があるラティア達はそのコミュニティがあるからこそ、忘れがちになる、この星ではその輪の外に他者がいないという事を
フォドラの人類が滅んでいると知って、それが当然だと思っていた節も相成ってそこに誰もが気付けなかったのだ
真顔から打って変わって悲しげな表情へとパスカルはすげ替える、自分の至った結論…フォドラが取った究極の選択はあまりに皮肉なものであったから
「人がいなければ、星はこれだけ自然豊かな場所になる
だから、フォドラは人を滅ぼそうとしたんだよ。たぶん、これはその結果を現した姿なんだ」
「そんな……」
フォドラに来る前に聞かされたフーリエの仮説を思い出す、エフィネアで突然変異を開始した魔物は自分達、人間の存在を脅威と取った為に進化するのではないかと
――結局は魔物や自然災害などは一つの脅威に過ぎない、真に星を破滅に追いやる使徒は人間に他ならない、自分を食い尽くされる前にフォドラは先手を打ったのだ
そう、それはまるで神話にある神が人という人種を根刮ぎ狩る為に起こした大洪水の様に、ただ違うとしたら生き延びる為の方舟がこの星に生きる人々にはなかった事か
「そして、その番をするためにリトルクイーンはフォドラの核から生まれた」
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