Memoria:57 追憶は押し寄せる波の様に
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「あの時のあの格好……ラムダのセンスですか?」
「え?」
「ああ、ラムダと融合した時の……おかしいな、かっこいいと思ったのだけれど……」
「まさか陛下のセンスがあんな、悪趣味だなんて……」
「えっと……確か真剣な話を私達、して…ましたよね?」
「……それ、今どっちでもよくないか?」
思わずラティアがそうアスベルに訪ねる程にヒューバートが聞きたい事、というのはこちらが緊張するに足りないものであった
ラティアが拍子抜けした様に、彼女に話を振られたアスベルもまた二人の会話に呆れ顔を向け、そう突っ込みを入れる
だがそれがいけなかったのだろう、僅かな声量で呟かれた言葉を耳にしたヒューバートはアスベルへと即座に噛み付く
「よくないです!今でもあの時の陛下を思い出すと、目のやり場が……」
「君は色々気になるんだね」
どうやら、リチャードを見る度に星の核で見せた彼の姿が思い浮かび、直視出来ないらしい、現に今もリチャードと目を合わせ切れていない
細かな性格のヒューバートと結びつける様に横目でパスカルを捉えるリチャード、多くのものを気にするのではなく彼女一筋になれば良いのに、と言いたげに
「……………?」
リチャードからの視線に首を傾げるパスカルはやはりというか、ヒューバートからの矢印に気付いていない様だった
長く奥へ続く通路を抜け、下層へ向かう為の昇降機械で転移、そこで見つけた動く足場で更なる下層に降り立った所でパスカルが何か細工をし始めた
「がちゃがちゃぽんぽんと……」
「何やってるの、パスカル。早くそこから降りてきて、先へ進みましょ?」
エフィネアでは見られない装置に気を惹かれての行動かと苦笑するシェリアはパスカルの行動を子供のする事と見守っている様だ
「でも、これ動かないと上に戻れないんだよ?」
「ここまでは降りてこられたのにか?」
「だね。部品がボロボロだから重いものを乗せたら、上がらなくなるみたいだね」
「お、重いものって私のこと……?」
パスカルの行動を見守っていたシェリアの様子がその一言で一変、よろよろと何かしらのショックを受けた様子で後すざりを始めたのだ
一方、ラティアは足場の風化具合とパスカルからの説明になるほど、と頷き、理解を示した
「この人数で乗ったから、仕方ないですね……。?シェリア?」
「シェリア、どうした?」
「まさか昨日の夕食の後、食べたスイートポテトが……
……甘いものは別腹とか、そんな甘えたことを考えていた自分が憎い……!」
「シ、シェリア?あの……」
「あっ……えっ……ご、ごめんなさいっ!! 私のせいで……!」
一体どうした事かとシェリアの様子にただならないものを感じたラティアからの呼び掛けにもそこそこに、彼女は申し訳なさそうに走り去ってしまった
何やら深刻そうに呟いていたみたいだが、独り言だった様で残された者達にはシェリアの悩みを聞き取れず、ただ狼狽えるばかりである
「ほ、本当にどうしたんだ、あいつ……」
「それがオトメゴコロってやつなんだよ~」
「パスカル……わかってて言ってるのか?」
「ぜーんぜん」
それまでの真剣じみた表情を一変、パスカルはその呑気な性格を現すかの様にいつもの大輪の花が咲いた様な笑顔で否定した
しかしアスベルもまた彼女と同じく女性の繊細な部分、というものは未知の領域、分からぬ身でパスカルにこれ以上の言葉を言うのも変かと話を切り上げる
「はあ…………今までみたいに上に戻る仕掛けとかが、どこかにあったらいいんだけどな」
「あ、あはは……でも体重は女の子の悩みの一つでもありますから」
「ラティアもそうなのか?」
「……お恥ずかしながら。……ふ、ふふ…」
「!わ、悪い、ラティア……!」
ふっと一瞬、ラティアの瞳がどこか遠く…明後日の方向を向いて微笑む為、アスベルでもこれは地雷だったと慌てて訂正の言葉が素直に出た様だ
そう、女性の悩みの一つといえば体重、甘いものが好きな身としてはそれをたくさん食べて幸せな気分になりたいと思うのは当然の欲求
だがそれではだめなのだ、それを押さえなければ待っているのは――ラティアにもそんな苦い体験は少なからずあったという話だ
「星の力を体に感じるようになってきたな」
「最初はどうなる事かと思いましたが、ちゃんと道が続く様に残っていてよかったです」
「この力をラムダに吸収して、事態を収拾するのですね……。………………」
そこまで告げ、深刻な顔をして黙り込むヒューバート
彼はアスベルが自分の体をラムダに預け、原素を取り込む事に強く反論していた一人、まだその事で引き摺っていても不思議ではないが…
「どうしたの?弟くん」
「ぼくは……ラムダのことを信じていなかった……」
「私も……アスベルがラムダの力に頼るって言った時、そんなのダメだって……」
「まあ、そう思うのが普通だろうな」
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