Memoria:56 予約済みの未来予想図
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「あのさ、ラティア……俺、」
「さっきはごめんなさい、皆さんの前で取り乱してしまって……」
「いや……」
不自然に会話は途切れ、黄昏時の静寂が痛い程に鼓膜を揺らす
けれど決して彼女を責めるつもりでここに来たのではない事をラティアに分かって欲しい
確かにいつもこちらの意志を尊重してくれる彼女が自分の意志をぶつけてきたのには驚いたが、それは心から自分…アスベルを心配してくれたからの行動だったのをその涙の跡から見受けられた
あの場でマリクに言われた様に自分がやろうとしている事を納得し、安心して明日を挑んで欲しい、ラティアの優しさに甘えたままではいけないのだ
「酷な事をラティアに押しつけようとしているのも分かっているし、明日やろうとしている事の危険性も自分で重々承知しているつもりだ」
「……はい」
「どんなに危険な事でも俺はやってみようと思う、ラムダを信じて」
「…………はい」
――分かっている、分かっていた
彼は自分に向けられる心配も全て知って、受け入れた上で目の前の壁に立ち向かうひとなのだと
「だから……ラティアに俺を信じて待ってもらえる様に約束させて欲しいんだ」
「約、束……?」
てっきり、自分のやろうとしている事を信じて受け入れてほしいと言われるばかりかと思っていたラティアにはアスベルのその言葉は予想外のものであった
その彼女の抱いた予想外の数値は瞳を瞬かせ、アスベルを見上げる姿に見受けられる、雰囲気が打破された所へ会話は滑り込む
「今回の事で分かったんだ、俺は家族に縛られてたんじゃなく、家族という絆でつながっていたんだと
この先、そのつながりを得るんだとしたら……俺と一緒にソフィを見守ってくれる人を選ぶ時が来るとしたら……」
「……!」
注ぎ込まれる視線は朱となり、頬を指す
それはつまり、と男女関係に疎い部類に入るラティアにも分かる言葉の意味に彼女は口元を袖で隠し、まんまると溢れそうになる瞳を見開いた
「今まで先延ばしにしてきてごめんな。今回の事が終わって、ソフィと一緒にラントに戻ったら正式な場で改めて言わせてもらうよ」
目の前の愛しい存在の反応にアスベルの表情にも優しげな微笑が浮かぶ
どうやら断られる可能性は少ないと見たラティアへ言葉を選びつつ、続きを約束にする為に紡いでいく
「だから、俺とラムダを信じてついてきて欲しい。頼む、ラティア……」
「っ……アスベル……どう、しましょう。凄く今、私嬉しい気持ちでいっぱい、なんです……」
こんな嬉しな事を自分は今までに感じた事があるのか、と思える程の胸を沸かせる幸福
ラントの裏山、その花畑にいる時に感じる日だまりにいる様な温かさにアスベルが見つめる先にいるラティアの瞳も先程と同じく涙ぐむ、けれどそれは決して逆の意味で
「ソフィが証人だな」
「証人ってなに?」
「約束した事を見届ける人のことをいうの」
「でも、約束する時はゆびきりしないとだよ?」
「ああ、そうだな。約束だ、ラティア」
ソフィらしい約束の在り方に後押しされ、差し出されたアスベルの小指にラティアもまた自身の小指をそれに絡めた
《命を尊く扱いし者よ》
「この声……」
突如として聞こえてきた声に驚くラティアだが、その声はどうやらアスベルやソフィにも聞こえないものの様で二人から反応は見受けられない
この声は記憶に間違いがなければ、アスベルの内に眠るラムダのもの――彼は一体、何を思って声をかけてきたのかとラティアは耳を澄ます
《全てを受け入れ、それを尊守するお前の意志がこの者の行動を、そしてその精神を守る支えとなっている様だ
お前の意志が尽きる事がなければ、この者を守る盾として機能するだろう》
真剣に、ただの一言も聞き漏らさない様にせんとするラティアにラムダは続ける
《我はこの者には借りがある、その借りは必ず返す。だがこの男は時として思ってもみない行動に移ることがある
その事をお前が良く知っているのではないか?》
その言葉にラティアの脳裏にはエフィネアの星の核での出来事を思い返される
ソフィの命を繋ぎ止めようと彼女の為そうとした使命を自分で代用してしまった事――それが深く胸に根付いているからこそ、ラティアも今回の事で言葉を荒げたのだ
《この者が約束を破らぬよう、釘を刺しておく事だな》
「今の声は……」
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