Memoria:55 ハナミズキの花を私からあなたに
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『ヒトを滅ぼす事……それこそがわたしの存在する理由』
それはかつてのソフィがラムダを倒し、消滅する事を使命としてきた様に
リトルクイーンもまた星に害為す人間を滅ぼし、星の安寧を守る事が彼女の使命として生きている、生きる為に必要な過程なのだろう
自分に注がれる視線に気付いたのか、リトルクイーンはヒューマノイドの方へ向き、生存者目掛け、閃光を放つ
そこで事態を記録する機能、ヒューマノイド自身がもう活動出来る事が不可能となったのか、その先の時を映し出す事はなかった
「本当にあった出来事なのか、今のは……」
今まで自分達はラムダがフォドラを滅ぼす要因、と聞き及んでいたラティア達の間違いを正す様に目の前の映像が全てを示した
この星を救おうとエフィネアで強行手段に出たエメロードもこの事は知らなかったのだろう、だがこの真実はフォドラを思う者達全てを斬り捨てる残酷性を秘めていた
「正真正銘、今から約千年前の映像だと思うよ」
「フォドラが人を見放したって……」
「星の意思、それが…リトルクイーン……?」
「その理由はわかりませんが、ひとつはっきりしましたね」
「ああ。リトルクイーンをこのままにしておくわけにはいかない」
リトルクイーンを野放しにしておけば、いずれはフォドラを飛び出し、エフィネアにまで危害が拡大する恐れがある
それは変異した魔物よりも大きな脅威に違いなく、到底の人間には太刀打ち出来ない強大な壁、まだ被害がフォドラに留まっている今の内にリトルクイーンを何とかしなければならない
「だけど、どうすれば?」
「理屈としてはフォドラの核を停止させればいいんだと思うよ」
「映像の中でもそう言ってたわね」
「だが成功したのかい?彼らはリトルクイーンによって殺されてしまったんだよ」
「しかしフォドラの核が千年近く停止していたのも事実なんだ。何か方法はあるんじゃないのか?」
「私たちが再び彼らと同じようにフォドラの核を停止しようとするのを知ったら、リトルクイーンは今度こそ、私たちを排除しに来る筈ですね……本気で」
言わばリトルクイーンという存在は星の意志そのもの、研究所で見聞きした通りならば、彼女はフォドラの核から生まれた存在という事になる
フォドラの核が停止していた時期は彼女も同じ様に長い期間を眠っていた筈、核さえ停止する事が出来れば、リトルクイーンの暴走も変異した魔物の脅威もなりを潜める筈――
「う~ん……一個だけ方法はあると思うんだけど」
どこか歯切りの悪そうに切り出しながら、パスカルはリトルクイーンを止めようという姿勢を崩さないアスベルを見つめる
――否、アスベルではなく、厳密にはその中の存在をだ
「ラムダの手を借りるんだよ」
その提案に驚きからどよめきが起こるものの、ラムダがエフィネアで振るった力を思い返せば、納得が行く方法でもある
「……そうか、核の原素をラムダが吸収すれば……」
「確かにエフィネアでは大輝石、星の核の原素をラムダは吸収してみせましたけど……」
「けどそんな事して、アスベルは大丈夫なの?」
星の核の原素となるとそれはとてつもない量であるのに間違いない、それを吸収する上でラムダの力を行使するアスベルの身を案じるのは当然の流れであった
シェリアの言葉に同意だと不安げに頷き、こちらを伺うラティアの視線が注がれるのを感じながら、話を聞いているであろうラムダへとアスベルは意見を尋ねようと瞳を伏せる
《我は無事でもお前はどうなるかわからぬぞ。核の原素が我に流れ込む時、お前の肉体と精神を通過する事になる
その際にかかる負荷は生身の人間ではとても耐えられない。下手をすれば、自我を保てずに肉体も精神も朽ち果てる》
「(だがリチャードは無事だった)」
《あの時は肉体や精神がほぼ我の支配下にあったからだ》
アスベルはその時の様に、否、幾ら無事が約束されるものとしても自身の体や精神をラムダに侵蝕させようとはしないだろう、彼が幾らラムダを信じていようともそれだけは決して
下手にどうにかなるという有耶無耶な希望を与えない、事実だけを伝えるラムダの言葉にもアスベルは言い淀む事はない
「(生身の人間では耐えられないが……お前なら耐えられる、そうなんだよな?)」
《……どうするつもりだ》
何か案がある様な含みのある言葉に思わず、ラムダも催促を要求する
だがアスベルにパスカルやヒューバート、マリクの様に色んな策が絡みに絡んだ方法がある訳でもない、彼はただ、いつもの様にするだけだ
「(ラムダ、力を貸してくれないか)」
《我の話を聞いていなかったのか?お前は朽ち果てると言ったはずだ》
「(……滅びないさ。なぜなら……)」
力強く微笑むアスベルの続きの言葉は彼とラムダが深層意識で会話している間の表層意識からの声に掻き消される事となる
「ラムダに頼って、原素を吸収するなんて危険だ
生身の人間であるアスベルは耐えられない!」
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