Memoria:53 不自然な歪みを残して、色づく
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「ソフィ……!」
「わたし、知ってるんだ。あの子の事……」
「え……?」
「確かにあの子はソフィの事を知っていたようだけど……」
ふらつきながらも立ち上がるソフィは確かに墜落前のシャトル内でもリトルクイーンの事を知っている気がすると、既視感を覚えていると言っていた
シャトル内での会話の時はまだ不確かな言い回しだったが、リトルクイーンとの再びの邂逅にその臆測は確かなものだったとソフィは受け止めた様だ
「あの子もわたしの事を知っていた……
う……うう……頭が……痛いよ……!」
「ソフィ、しっかり……!」
今も苛んでいるであろう頭痛を鎮めようと頭を抱えるソフィの背をラティアは支える、もしかすると頭痛だけでなく、その脳裏には彼女にだけしか聞こえない声も聞こえ続けているのかもしれない
まだ調査は万全とはいえないが、ソフィの体調には変えられない――その気持ちはきっとアスベルも同じだろうと信じながら、ラティアは提唱する
「アスベル、こんな状態のソフィを連れていくのは危険だと思われます」
「ああ。シャトルまで戻って、ソフィを休ませよう」
自分の考えを取り入れてもらい、良かったとこれでソフィを休ませられると安心したラティア
だがソフィは頭痛に耐えながらも首を横に振ったのだ
「……ううん、戻らない。もう一度会わないと」
ラティア達に自分の身を心配させている事を理解しながらも、ソフィには頭痛を押してでもこの先に行かなければならない理由がある
「この先で待ってるの……」
待っている、というのは十中八九リトルクイーンの事だろう
「お願い。ラティア、アスベル……あの子とお話がしたいの
あの子の言ってた言葉が気になるの……」
「わかった、行こう」
「辛くなったら、すぐに言って。無理はだめよ?」
ラティアの言葉にソフィは頷く、本来ならばソフィの体調を案じて止めるべきだろうが彼女のいつにない強い要望にラティア達は止める事が出来なかったのだ
ソフィの身を気遣いながら、その願い―リトルクイーンとの再会を聞き届ける為にもラティア達は森の奥を目指す
「この先にソフィを呼んでる何者かがいるのでしょうか」
「そうね。でもソフィを呼んでいるのは一体誰なのかしら?」
「ん~とね『艘海団』のホラガイダスだよ」
「ホ、ホラ……な、なに?」
「えっと一番に上がるのはさっきの女の子なんじゃ……?」
「………………」
ピクリ、と一瞬ヒューバートがパスカルの話題に反応するもその話には入ってこようとせず、輪の外に居続ける
「ピピピ電波を発信して、人類を操るすごーく悪くて恐ろしい怪人なんだ」
「怪人……?」
科学者らしからぬあやふやな定義に思わずシェリアは苦笑してしまう
「………………」
「でね、そのホラガイダスは『艘海団』の幹部で……」
「いい加減にしてください!」
「ヒ、ヒューバート?」
「え?ど、どうしたの!?」
今まで黙っていたヒューバートが突然声を荒げ、パスカルに怒りを露にした事にシェリアもラティアも驚いてしまう
もしかすると良い大人がそんな子供みたいな会話を開いて、先に進むのが遅くなっている事に不満が爆発したのでは…とはらはらと動揺するラティア
「ホラガイダスではなくホラガイダー、です!
それにサンオイルスターの世界では、敵集団は『怪人』ではなく『殻臣』と言うのが正しいんですよっ!」
「そっかそっか~。弟くんもサンオイルスター、好きなんだ」
訂正する事なく、パスカルの知識に更にヒューバートは細かく訂正を加えて行く
――意外である、好物がオムライスだという事が恥ずかしい為に隠すヒューバートがこの手に入ってくる事態が
「あなたは適当すぎです!ホラガイダーは『艘海団』の幹部ではなく、兄弟組織『ウォーターブレイカー』の幹部で……」
「ついていけないわ……」
「た、楽しそうで何よりではないでしょうか……?」
その後の会話を続けて行く中で我に帰った後のヒューバートの羞恥は自分達の考えるよりも更に酷いものだろう
ずれてもいないメガネのフレームを何度も持ち上げる程にショックは大きい様でそっとしておく事しかラティアには出来なかった
入り組んだ迷路の様な森を抜けると開けた小高い崖に到達した、その先でこの場に訪れたラティア達に背を向けた状態でリトルクイーンが独り、佇んでいた
不自然な歪みを残して、色づく
(調和でありながら、不調和)