Memoria:53 不自然な歪みを残して、色づく
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「ソフィ、ひとりで遠くに行くなよ」
「あの子がわたしの事、呼んでるの」
「あの子って……」
あの子と言うソフィの言葉をリトルクイーンと直結させたラティア達は目を見開く、研究所からもうここに先回りをしたのかと
依然と奥を見つめ、その瞳の先にいるであろう存在を見つめるソフィにアスベルが歩み寄り、一瞬彼へと瞳が振り返るもすぐに視線を元に戻す、声がソフィを引き戻す様に
「こっちに来いって言ってる……」
「また例の声か」
「また聞こえたとなると、幻聴ではなさそうですね」
「よし。シャトルが直るまで、周囲を調べてみよう」
幸いにも時間も、他にやる事もない状況
この場の調査も兼ねて、ソフィを呼ぶ声に誘われる形で森の奥へとラティア達は足を踏み出した
「エメロードさんはフォドラが滅びたと言っていましたが……」
「ええ。でもこんなところもあったのね……」
かつての協力者であるエメロードの望んでいた、かつてのフォドラが持っていた繁栄の兆し、それがすぐ近くにあった事に複雑なシェリア
ラムダをこの星から追いやり、その力に利用価値を見出したエメロードはその体内にラムダを取り込み、そして…
「この場所を早くに知っていたら、エメロードさんもあんな真似に走らなかったかも……」
「エメロードさんはフォドラの新しい命を獲得するため、ラムダと融合しようとしていたんだよな」
「なのに、ラムダに拒絶されて……」
「あんな最期を迎えて……」
「すでにこうしてフォドラは新たな生命を育んでいたというのに」
誰よりもフォドラを思い、守ろうとしていた彼女が見る事は叶わなかった風景
「可哀想なエメロードさん」
「そうだな……」
エメロードに同情的になる一方、決して忘れてはいけない事がある
その事を思い出しても尚、彼女が手段を問わない冷酷な一面を持っていても彼らはそう言い続けられるだろうか
「エメロードはソフィの命と引き換えにラムダを消す機能をつけた人間だ
それにラムダを不幸にした張本人でもある。お前はそんな彼女を、哀れと言うのか?」
言わば、全ての事態を引き起こした重罪人でもあるエメロードを到底哀れむ事は出来ないマリクの厳しい追及の言葉に周りの人間は思わず、その気迫に息を呑む
彼女が冷酷な人間だと言う事を受け止めた上でそれを言っているのか、と、知らなければ軽々しい発言をするなという圧力さえもマリクの言葉の節々から感じられる
「ええ……そんな情けのない決断を迫られた彼女が哀れで……
せめて俺たちがこの星の未来の可能性を見届けてあげなければ……」
圧力さえもしれっと交わし、アスベルはそう容易く言い切ってしまった
決断を迫られたエメロードもまた被害者、と取れる発言をしたアスベルは誰もが呆気に取られた輪を抜き出ていった
「兄さんらしいですね」
「はい……過去に敵対した人にも情け深くある……とてもアスベルらしいと思います」
そんな彼だから惹きつけれて止まない、自分が一番好きな彼の一面だとラティアは先を行くアスベルの背を焦がれる様に見つめ、口元を綻ばせていた
「ふっ」
「ふふ」
夢に浸る様に惚れ惚れと語るラティア自身にその気はないだろうが、ある意味惚気の一種として彼女の言葉は取れる訳で
けれどそれは決して聞き手の胸を焼く様な鬱陶しさはなく、寧ろ純粋な想いからぽろりと溢れた言葉にシェリアとマリクは心和み、思わず微笑んだ
先に進むと光と影の鮮やかなコントラストの中に作られた、色とりどりの花々が何者にも侵されぬ領域としての花畑を形成していた
「これほどの環境はエフィネアにも殆どないよ」
「そうだな」
「本当にラントの花畑を思い返される場所……」
「ですが、どうしてここだけが花で覆われているんですか?」
エフィネアでも類を見ない、人の手が加わった形跡が見られない星の本来の営み
人類が絶滅し、自然の営みを壊す存在がいなくなったからこそ、目覚めたフォドラの本性がこの花畑なのだろう
「フォドラから出る原素が一番濃い場所なんじゃないかな?」
「あ……」
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