Memoria:51 破り捨てられたアルス・パウリナ
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ない、でしょうね……」
「ヒューマノイドだからと大切な人を失った哀しみを得られないことに何でこう差があるのでしょうね……」
「……そうしつかん……もしかして、わたしの胸にあるこのモヤモヤがそうなの……?」
これからもきっとサイは何故主人が戻って来ないのかと疑問に思う事なく、これからを一人で過ごしていく
主人の死を悼む事もなく、この先でサイを待ち受ける永遠の孤独はソフィが恐怖に思う、ラティア達のいなくなった世界を連想させていた
話もそこそこに進んだ先に見つけたエレベーターは乗り込んだラティア達を研究所の最深に位置する制御室へと送迎した
「ここが施設の制御室みたいだね」
見回した制御室内部には事切れたヒューマノイド達が転々と倒れており、研究所の雰囲気も相まって、ラティアの背中にぞわりとした何かが滑り落ちた
研究所の崩壊に巻き込まれたのか、そのもの言わぬ体躯達の姿があるここは制御室というよりもヒューマノイド達を埋葬する場所か何かの様に錯覚させられる
「ちょっと待ってて」
けれどここで重要なのはヒューマノイド達の死ではなく、フォドラの核に対する有力な情報を探すという事で、パスカルは近くの機械を頭を捻りながらも手当り次第に弄くっていく
装置の操作を手探りで調べているその姿にハラハラしながらも、やがてパスカルはその装置の操作方法を手にした様だ
「う~んとこれかな?」
操作方法と共にどのボタンがどれに連動したかも知った彼女の手により、ラティア達の目の前に設置されていた巨大な機構が起動を再開する
その機構からはフォドラの空と同じ、柔らかな色を放つ何処かの映像を映し出す
「なんだ、これは!?」
「星の核……?」
エフィネアの星の核が青だとするとフォドラの核は橙色、対照的な色合いを核は滲ませていた
フォドラが滅びてもう何千年と経ち、魔物やヒューマノイド以外の生命が活動を停止した筈の星の核は脈打つ様に活動を続けている、星はまだ生きていると主張するかの様に
「エフィネアの星の核とはまったくの別物だな」
「生きているみたいだ……」
目の前の映像に見惚れている中、突如として体を突き動かす振動にラティア達は襲われた
「!」
「わっ!」
「様子が変です。みんな、下がってください!」
「うわっ!」
今の振動の影響からか、装置からは漏電が発し、どうしたらいいのかとパスカルが狼狽えているのをヒューバートは素早く見つけた
あのままでは漏電した電流、または装置の破壊に彼女が巻き込まれると知ってからのヒューバートの行動は早かった
「パスカルさん!」
彼女を守ろうと未だ狼狽え、装置から離れようとしないパスカルへ駆け寄ったヒューバートは彼女を抱き寄せる事に成功し、彼女が無傷な事を確認した彼は知られない様にほっと息をつく
床に膝をついて、巻き込まれるのを防いでいる内に突如として襲来した振動はなりを潜める、だが安心は出来ない、あの振動はまるで何かがこちらに近付いてくるのを報せていた様に取れたからだ
「何が起きたんだ?」
「みんな、気をつけて!」
息をつかせる暇もなく、目の前の機構が足場より破壊され、その土煙の中からは巨大な魔物が現れる
何だ、この魔物はと警戒し、良く目を向けようと立ち上がったラティア達を吹き飛ばさんとばかりの突風が彼女等の目を閉ざした
「きゃ、あっ!」
「うわっ!!」
立っているのがやっとの風圧は容赦なく、肌に押し当ててくる、何とか飛ばされぬ様に足に力を込めるラティア達とは離れた所のヒューバートはパスカルを突風から守る為の風よけとして行動していた
やがてラティア達がこの程度の風ではこの場から排除出来ないと思考したのか、魔物は風圧を緩める
漸くとして瞳を開く事が出来たラティア達は再度、振動と共に現れた魔物を観察する、それによって見受けられた外観の魔物はラティア達の記憶の中で該当するものは存在しなかった
「こんな魔物は見た事がない!」
この魔物もまた、エフィネアで出現した新種の魔物と同族なのか
今、分かるのは目の前の魔物はラティア達をこの場から排除すべき敵と認識しているという事だった
「来るぞ!構えろ!」
無惨にも破壊された機構からはもう、フォドラの核の様子は見つけられなかった
破り捨てられたアルス・パウリナ
(無慈悲に消えたページに憧憬を見る)