Memoria:51 破り捨てられたアルス・パウリナ
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『コーネル博士の見解を求めたが返事はきていない
ラムダの研究成果が何かしらの謎解明に繋がると踏んでいるのだが……』
今はコーネルからの見解を待つ時間すらも惜しいらしい男性は微かに視線を横にずらした
もしかするとこの時すでにコーネルが上層部の指示に背き、ラムダの育成を進めているという事が噂としてこの研究所にも届いていたかもしれない
『エメロード君への協力要請を出す事になった、真相の究明に繋がる事を期待している』
思わぬ名前が浮上する、かつての協力者であり敵となったエメロードはラムダの研究だけでなくここでフォドラの核にも携わっていたという
再び日は跨ぎ、新たな音声ファイルが再生される、そのファイルの様相は今までとは違い、男性の後ろには大勢の研究員が控えている
『《リトルクイーン》の誕生、我々はあれとどのように向き合えばいいのか』
深刻な面持ちで語りかけてくる男性、そしてその背後に控えている彼らは今、重大な問題に直面しているのは間違いない様だ
フォドラの核を研究している場所、今は亡き彼らが抱える問題はそこにあり、この頃から今の様にフォドラの核には何らかの変化が燻り続けていたらしい
『派遣した調査隊の第一次隊は全滅したが……第二次隊の若干名の生き残りがサンプルを持ち帰る事に成功した
しかし、生き残った者達も状態が芳しくない……恐らく、長くは持つまい
彼らの犠牲を無駄にしない為にも……サンプルの詳しい調査を進めねば……』
全ての音声ファイルが再生し終え、それを振り返って何よりも印象的なものは仲間達全員が共通したものであった
「ラムダにエメロード、これは意外な名前が登場しましたね」
「コーネル博士もこの研究所に関与していたんですね、それに新しい名前も出てきましたね」
「《リトルクイーン》か」
「一体なんの事を指しているんだろうね」
翻訳すると小さな女王と意味する名前、その名前が何を指しているかは情報が少ない現段階では分からない、それはリチャードに言葉を振られたアスベルも例外でなく
《リトルクイーン》と自分達がここに来た理由であるフォドラの核、その繋がりを考え、過去に一体フォドラの核に何が起こったか考えるアスベルの脳裏でラムダが声を発した
《フォドラの核が生み出す原素はフォドラの核から生まれたものに影響を与える、それだけの事だ》
「(ラムダ、お前は何か知っているのか?)」
《我はフォドラの核から生まれし者、核の原素の流れを知るなどたやすい事だ》
「(そうするとラムダやソフィも影響を受けるという事になるのか……)」
《我の力が増幅し、押さえられなくなる事を懸念しているのか?》
先程の音声ファイルで出たエメロードもかつてはそうであった、ラムダの力を危ぶみ、消滅しようとしたというのにエフィネアで身勝手に利用価値を見出され、最後は力を押さえ切れずに…
エメロードのあの醜い最期を見ていたアスベルも他の人間達と同じだと考えた、この人間も自分の存在を否定するものだと、けれどそれを知ってか否かアスベルは首を横に振った
「(そうじゃない。お前やソフィに何か悪い影響が出ないか心配しているんだ)」
《……》
驚いた事に彼はラムダの心配をしていると言うのだ、他の人間の言葉ならそれは嘘だろうと否定出来るがアスベルの精神にいるラムダはその言葉に嘘偽りがないと分かる為、言葉を失ってしまった
突然に黙り込んだ自分の中にいる存在、それをもうフォドラの核の影響が出たのかとアスベルは眉を顰めた
「アスベル?どうしたの?目が……」
ふとラムダに対する意識を現実に戻すとそこにはソフィが不安げに自分を見上げている事に気付いた、目、と彼女は言ったがラムダの気配を感知したのだろうか
日に日にアスベルの中にいるラムダの気配は色濃く表面上に出始めている、今もラムダに意識を乗っ取られたのではと危惧するソフィにアスベルは安心させる為、首を緩やかに振る
「俺なら大丈夫だ。ソフィこそ、なんともないか?」
「うん。平気、少し変な感じはするけど
……なんだろうこれ、懐かしいような……でも、わからない」
自分が感じ取るものを懐かしむ様にソフィは噛み締める、彼女が言うものはフォドラの核から流れ込む原素の事だろうか――
「研究施設はこの奥まで続いているようだな」
「もう少し調べてみよう」
「奥にソフィにだけ聞こえる声の主がいるかもしれませんね」
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