Memoria:49.5 我が心を現すネメシアの花
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「……アスベル、重くありませんか?」
「……俺、ラティアがいつも料理を作ってくれるのも、書類を手伝ってくれるのも当然と思って、手伝うって発想が薄れてた」
「?」
「ラティアはいつもこんな重いものを一人で買って来て、疲れてる様子なんか見せないでくれたんだな
何か……ごめんな、今まで気付かないでラティアに任せっきりにしてしまって。これからは俺も手伝わせてくれ、ラティアがいつも俺の補佐をしてくれる様に」
美徳だと思っていた、一人で全てをこなし、誰かの為に尽くすという事が自分の義務なのだと、だから頑なにアスベルからの同行を断り続けてきた
けれどそれは違ったのだ、自分の取ってきた行動はメイドだった時ならまだしも今の、恋人としての関係には不必要なものであったんじゃないか
すっかり暗がりに包まれた街中には各々の家から漏れる声に溢れていた、――もしも、もしも自分が家族を持つ事になったのなら…
「……アスベル、夫婦ってこんな感じなんでしょうか」
「ふ、夫婦?偉くまた跳躍したな」
「こうやって手を取り合って……今まで気付かなかった所を知っていって、夫婦として成長していくのかなって」
まだ自分達は夫婦というものではないけれど、今日はアスベルの行動で自分の習癖を目の当たりにし、それを変えていこうと思えたのだ
今日は自分だったけど、次は自分が彼に何か刺激を与えられればと思うラティアだがアスベルもまた、今日の事で彼女に対する気遣いという名の壁を取り払えた事を知らない
「……そうだな、きっとそうだ。相手の知らなかった所を知って、それを受け入れてより良いものにする……それは夫婦だけじゃなく恋人も同じなんだろうな」
「私も、そんな風になれるでしょうか?あなたの知らない所をこれから知っていって、それを受け止めて、尊重出来る様に強くなれるでしょうか
あなたを、アスベルを信じ通せる強さを……私は見出したい。あなたの隣に居続けたいから」
「……ああ、ありがとう。ラティア」
自分へ向けられる一途な想いに思わずアスベルの頬も緩み、淡い微笑と微笑が交差する
この、可愛い自分の恋人がそう思ってくれる様に自分もまた彼女の全てを受け入れ、信じ抜きたいと密かな思いを胸に焼き付けた
「あ、帰ってきた~!もう、お腹空いちゃったよ~!ラティア、ご飯作って~」
「ふふ。はい!腕に寄りをかけさせていただきますね」
「ラティア、手伝うわ」
「はい、お願いします。シェリア」
仲間を残した領主邸では空腹に耐えかねたパスカルにラティアを連れて行かれてしまった
シェリアも手伝ってくれるという事だ、夕飯が出来上がるのにそんなに時間はかからないだろう
「……本当、俺には勿体ない女性だよな。ラティアは」
帰り道での彼女の言葉を思い出し、つくづくそう思わざるを得ない
自分には勿体ない、と言ったものの他の誰かに譲る気は毛頭なかった
「そういえばアスベル、お前とラティアはラントでは若夫婦と呼ばれているのを知っているか?」
「え?!」
「良かったじゃないか、アスベル。皆、祝福してくれている様だったよ」
「いや、何で皆知って……っ」
「言ったでしょう、兄さんの反応は分かり易いって」
落ち込んだアスベルだったものの、ラティアとの関係を否定されるよりはいいか、とシェリアと並ぶ彼女の背中を見つめ、苦笑を零した
我が心を現すネメシアの花
(ただ、あなたに寄り添う花であれたらと)