Memoria:49.5 我が心を現すネメシアの花
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がたり、と大きな音に目を丸くし振り返るとそこには般若、もしくは修羅も逃げ出してしまうのではないかと錯覚する程に恐ろしい顔をしたシェリアが椅子から立ち上がっていた
「あ、ああ?何か問題でも……」
「あるに決まってるじゃない!もうしんっじらんない!ラティア一人にどれ程、仕事させる気なの?」
「お、俺はそんなつもりじゃ……っ!」
彼女一人に全てを背負わせる気は毛頭無い、だがラティアが同行を断ってくるのなら無理矢理に付いていくのもどうかと思っての判断を下したアスベルを助けようとする者はいない
それ程までに今のシェリアは恐ろしいのだ、どうこの場を収めようかと混乱するアスベルの前で動きが起こる、シェリアが扉の方を指差しているではないか
「今すぐ追いかけなさい」
「え?」
「早くする!」
はい!と思考が追いつくよりも早くシェリアに囃し立てられたアスベルはこれ以上、彼女の逆鱗に触れる前に逸早く部屋を飛び出して行った
「あんまり時間はないから簡単なものになるかしら……だとしたら……」
「おや、ラティアちゃん。夕飯の買い出しか?」
「はい、今日はお客様がいっぱいいらっしゃるので」
一方その頃、橙色も地平線の果てへ潜み、薄闇が降り立つラントの街で屋敷の状況を知らずにラティアは今夜の料理を考えながら買い物に勤しんでいた
同じ様に夕飯の買い物に訪れていた女性はラティアの帰還を喜ぶ一方、彼女と領主の進展が気になって仕方なく、歪んだ笑みを向けた
「そうかい。アスベル様には腹一杯食わしてやんな!愛情たっぷりの料理をな!」
「な、なにをっ」
かぁっと赤くなった顔にラティアという幼い頃から見てきた少女の純情っぷりが伺え、何とも微笑ましい気持ちになる女性一人
これはまだ話を聞かねばなるまい、と二人の関係を見守る女性が口を開こうと顔を上げた先でおやまあと目を細める女性に首を傾げ、振り返ったラティアも思わず瞳を瞬かせた
「ラティア!」
「?アスベル……どうかなされたんですか?まだ書類が残っていましたか?」
「いや、そうじゃなくて……その、たまには買い物の手伝いをしたくて」
シェリアに後押しされたものの、こうする事は自分の本心だ
いつも屋敷で暗くなる外から彼女が帰ってくるのを不安に駆られながら、待つのは責め苦だった、何度迎えに行こうかと入り口まで出向いた事か
「え、で、でも領主様にそんな事をさせられませんよ……!」
「俺は領主としてじゃなく、ラティアを思う一人として助けになりたいんだ」
「っ……」
勿論彼女ならこういう事を言うだろうというのは想定内のアスベルの言葉にラティアは思わず口を噤み、頬に集まる熱を隠そうと俯いてしまった
常日頃から彼女は上下関係を気にしすぎている節がある、それはメイドとして過ごしていたからかもしれないが、それを忘れ、たまには頼って欲しいというのが男としての願いだった
「お熱いわねぇ、お二人さん」
「見せつけるねー!あ、それは小さい頃からか!」
「な……っ」
「そ、そんなつもり、じゃ…っ」
「照れるな、照れるな!」
街中だったのも忘れ、二人の世界を展開していたラティアとアスベルをいつの間にか住人達が見守り、冷やかしをいれるまでとなっていた
これでは何を言っても彼らから逃げられないだろう、それを幼少期の頃から自分達を知り尽くす彼らと同じく、ラティア達も彼らを熟知していた
「い、行こうラティア!」
「はいっ」
逃げるが勝ち、という言葉を実現する為にアスベルはラティアの手を取り、その場を逃げ出した、後ろのギャラリーはきっと逃避行だ何だのと盛り上がっている事だろう
今度からどんな顔をして彼らと会えば良いのか、と羞恥に苛まれていた時間から目を覚ましたラティアの手にあった買い物袋はいつの間にかアスベルの手に移動していた
きっと先程の混乱に乗じて取られたのだろうな、と察しながらもラティアは珍しく彼に甘える事にした、それは自分の手を握る暖かな手のおかげだろう
「あ、ああ?何か問題でも……」
「あるに決まってるじゃない!もうしんっじらんない!ラティア一人にどれ程、仕事させる気なの?」
「お、俺はそんなつもりじゃ……っ!」
彼女一人に全てを背負わせる気は毛頭無い、だがラティアが同行を断ってくるのなら無理矢理に付いていくのもどうかと思っての判断を下したアスベルを助けようとする者はいない
それ程までに今のシェリアは恐ろしいのだ、どうこの場を収めようかと混乱するアスベルの前で動きが起こる、シェリアが扉の方を指差しているではないか
「今すぐ追いかけなさい」
「え?」
「早くする!」
はい!と思考が追いつくよりも早くシェリアに囃し立てられたアスベルはこれ以上、彼女の逆鱗に触れる前に逸早く部屋を飛び出して行った
「あんまり時間はないから簡単なものになるかしら……だとしたら……」
「おや、ラティアちゃん。夕飯の買い出しか?」
「はい、今日はお客様がいっぱいいらっしゃるので」
一方その頃、橙色も地平線の果てへ潜み、薄闇が降り立つラントの街で屋敷の状況を知らずにラティアは今夜の料理を考えながら買い物に勤しんでいた
同じ様に夕飯の買い物に訪れていた女性はラティアの帰還を喜ぶ一方、彼女と領主の進展が気になって仕方なく、歪んだ笑みを向けた
「そうかい。アスベル様には腹一杯食わしてやんな!愛情たっぷりの料理をな!」
「な、なにをっ」
かぁっと赤くなった顔にラティアという幼い頃から見てきた少女の純情っぷりが伺え、何とも微笑ましい気持ちになる女性一人
これはまだ話を聞かねばなるまい、と二人の関係を見守る女性が口を開こうと顔を上げた先でおやまあと目を細める女性に首を傾げ、振り返ったラティアも思わず瞳を瞬かせた
「ラティア!」
「?アスベル……どうかなされたんですか?まだ書類が残っていましたか?」
「いや、そうじゃなくて……その、たまには買い物の手伝いをしたくて」
シェリアに後押しされたものの、こうする事は自分の本心だ
いつも屋敷で暗くなる外から彼女が帰ってくるのを不安に駆られながら、待つのは責め苦だった、何度迎えに行こうかと入り口まで出向いた事か
「え、で、でも領主様にそんな事をさせられませんよ……!」
「俺は領主としてじゃなく、ラティアを思う一人として助けになりたいんだ」
「っ……」
勿論彼女ならこういう事を言うだろうというのは想定内のアスベルの言葉にラティアは思わず口を噤み、頬に集まる熱を隠そうと俯いてしまった
常日頃から彼女は上下関係を気にしすぎている節がある、それはメイドとして過ごしていたからかもしれないが、それを忘れ、たまには頼って欲しいというのが男としての願いだった
「お熱いわねぇ、お二人さん」
「見せつけるねー!あ、それは小さい頃からか!」
「な……っ」
「そ、そんなつもり、じゃ…っ」
「照れるな、照れるな!」
街中だったのも忘れ、二人の世界を展開していたラティアとアスベルをいつの間にか住人達が見守り、冷やかしをいれるまでとなっていた
これでは何を言っても彼らから逃げられないだろう、それを幼少期の頃から自分達を知り尽くす彼らと同じく、ラティア達も彼らを熟知していた
「い、行こうラティア!」
「はいっ」
逃げるが勝ち、という言葉を実現する為にアスベルはラティアの手を取り、その場を逃げ出した、後ろのギャラリーはきっと逃避行だ何だのと盛り上がっている事だろう
今度からどんな顔をして彼らと会えば良いのか、と羞恥に苛まれていた時間から目を覚ましたラティアの手にあった買い物袋はいつの間にかアスベルの手に移動していた
きっと先程の混乱に乗じて取られたのだろうな、と察しながらもラティアは珍しく彼に甘える事にした、それは自分の手を握る暖かな手のおかげだろう