Memoria:47 涙に見放された想いはどこにもいけず
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『礼がまだだったよな。ありがとう、ラムダ』
笑みを向けられたラムダは領域に溶け込む様に姿を隠す、先程の言葉といい、今の感謝の言葉を聞き、耐え切れずに逃げた様だった
《……下らぬ》
吐き捨てる様に告げられた言葉を最後にアスベルはラムダから解放され、意識を現実へと戻す
議論の場はアスベルがフーリエの言葉を否定した直後のまま、進んでいない様だった、だがその否定により、魔物の変異についての原因は分からない状態に引き戻されてしまった
「ラムダの影響なのかはわからないけど……あの魔物から、ラムダの力は感じなかった」
「だとすると……原因はあっちかな……」
「……?」
何か心当たりがある様子で呟いたパスカルの視線をアスベル達は辿ると空があり、更にその先には海があり、エフィネアと対になる星が存在する
どうやらパスカルは突如として起こった魔物の変異の原因はフォドラにあるのではと睨んでいる様だ、確かに彼女からの用件にはフォドラの事も記されていたのをラティア達は思い返す
「フォドラ……」
「あたしがみんなを呼んだのってフォドラの様子がおかしいからなんだよ、気づいたのはポアソンとばーさまなんだけどね」
視線を向けられたポアソンは誇らしげに胸を張り、何とも愛らしい様子を見せた
「フォドラに一体どんな異変が起こっているのですか?」
「里のみんなとフォドラの観測を進めてたんだよ。そしたら二ヶ月ほど前から地表から原素が漏れ出している場所があるのがわかったんだ」
「つまり、活動を休止していたはずのフォドラの核が動いてるって事?
もしかするとフォドラの核が魔物に進化を促したのかも……フォドラの核があらゆる生命の素であるのなら、その可能性は否定出来ないわ」
「さ~すがお姉ちゃん!やっぱ頼りになるう~!」
自分の仮説をフーリエによって補われ、受け入れられた事により、気分を向上させるパスカルはアスベルへと振り返る
「というわけでフォドラに調べに行きたいから、シャトル貸して!」
どうやらここに招集されたのはフォドラの異変に関して、皆に告げる事とシャトルを貸して貰おうという思惑の為だったらしいパスカルの言葉にアスベルは微かに首を傾げる
「調査に行けば、何かわかるのか?」
「ここにいるよりは色々とわかってくると思うよ」
エフィネアにいても原因の解明には繋がらないとなると唯一の手がかりであるフォドラに行くという選択肢だけが残る
パスカルにだけ、原因の探索をさせるのも忍びなく、アスベルは彼女と原因探索を同行する旨をラティア達に視線で送ってみると俯くソフィ以外の皆が賛成の意を示す
「なら、俺たちもフォドラの調査に行こう」
その言葉を待ってました、と言わんばかりにガッツポーズを作ったパスカルはヒューバートへ視線を向ける
「あ、その前にストラタの大輝石は大丈夫?」
ヒューバートはパスカルと直視出来ずに俯く、彼の真意に気付かずに自分が胸に抱いている懸念を言葉として続ける
「進化した魔物が出たのって全部、大輝石の近くだからさ」
尚もヒューバートはパスカルの言葉に何の言葉もないままに時間が経過する、その様子に漸く異変に気付いたパスカルはきょとりと瞳を瞬かせ、不思議そうに彼を見つめる
ある種では分かり易い態度を取るヒューバートを見兼ねてか、リチャードが助け舟を渡す
「大統領閣下に気をつけるよう、伝えておいた方がいいだろうね。ストラタへも報告をしないと……」
その言葉に対し、ヒューバートは漸く顔を上げる
「ぼくが行ってきます。大統領閣下に会うのは少々気まずいですが……」
「ヒューバート、どうした?」
「な、なんでもないです……」
ぽつり、と呟かれた言葉はどうやら長の間を離れようとしていたラティア達には聞こえなかった様だ
ストラタにある自分の頭を悩ませる問題と顔を併せるのは今から考えるだけで胃が締め付けられる錯覚に陥るが、逃げてばかりではいられない
「俺たちも一緒に行くよ、一人で行くよりは心強いだろ?」
「……足手まといにならないよう、頼みますよ」
「相変わらず、ですね……」
自分達を追い抜き、そんな言葉を捨て台詞にそそくさと先に行ってしまったヒューバートの後ろでは弟の言葉に苦笑するアスベルとラティアが置いてけぼりとなっていた
だが今は大蒼海石に新種の魔物が現れる前に注意を促しにいかなければならず、呆気に取られる時間は残っていなかった、仲間を追いかける二人の背中をここに来て一言も喋らないソフィが見つめていた
長の間から戻った先にある里の出口へ向かう背後で不意にソフィが立ち止まったのをラティアは見つけ、首を傾げる
「ソフィ?」
,