Memoria:47 涙に見放された想いはどこにもいけず
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パスカルが最初に危惧した様にアスベルが半年前のリチャードの様になり、自身の存在意義を全うする為に無慈悲に戦わなければならないのかと半年前の苦しみを思い出し、アスベルを見上げる
下から向けられる視線に気付き、彼女の中にある不安を察し、心配ないと言う様に小さく微笑むものの、それでも彼の左目に片鱗をのぞかせる存在にソフィの心の蟠りは解けないままだった
「ソフィ?どうしたの?」
様子を伺う言葉にも返答出来ないソフィに歩み寄ったアスベルはその頭を苦笑しながらもいつもの様に優しく撫でる、その不安は無用だと言い聞かせる様に
「安心しろ、前のようにはならないから
俺はお前と戦ったりしない。大丈夫だ、ソフィ」
確かな自信を覗かせるアスベルからの言葉は確かに頼もしいが、一度芽を出した不安はそう簡単に消える筈もなく、ソフィは再び視線を微かに下に落としてしまった
小さな胸に巣食う不安の根は深く蔓延っているとその様子から察したラティアはアスベルの隣に並び、今はその不安を燻らせない様にとただ優しく微笑む
「……今度は一緒に行きましょう?皆がいるから、大丈夫」
「……うん」
遺跡を脱出したラティア達は生物学に精通するフーリエに新種の魔物について見解を聞く為に里へ踵を返し、真っ先に長の間へと移動する
移動する足場によって運ばれた長の間では自分達にソフィとパスカルの危機を知らせてくれたポアソンと長、そして同じタイミングで戻ってきたのであろうフーリエが何やら議論を展開している所であった
「やっほー、お姉ちゃん♪久しぶり~」
「久々に里でゆっくり出来ると思ったら……」
厄介事が飛び込んできたと言わんばかりに眉を顰めるフーリエの里帰りはどうやらまだまだ息抜きに値するものとは言い難い様だ
フーリエとは真逆に無事に帰還したラティア達の姿に安堵した様にポアソンは笑みを零しており、出迎えの差には明確な落差が見られた
「これはまた随分とにぎやかな団体様の到着だこと」
「あのね、お姉ちゃん。ちょっとお姉ちゃんの知恵を貸してほしいんだ」
「私の?」
せめてもの皮肉をと告げられたフーリエの言葉も受け流したパスカルは自身の姉へと先程対峙した変異、または新種の魔物に関する情報を口答で渡す
「魔物の変質に関しては状況や環境に適応するための突然変異の可能性が高いわね」
「それはどういう事ですか?」
「元来、生物には種を保存するメカニズムが備わっているのよ。極寒の地に生息する生き物も最初から寒さに適した体を持っていたわけではないわ
外敵の少ない土地に移り住み、その地方に適応した形に種を進化させていった結果なの」
「それと同じ事が魔物にも起こったと?」
「今回の場合は人という外敵に対し、魔物の生存本能が個体に進化を促したってところかしら?」
人間が魔物の存在を脅威とする様に魔物もまた人間に脅威し、人間から自身を守り、生き抜こうとする、ラムダしかり魔物しかり…例え一線を越えた存在でもその思考回路は何ら人間達と変わりはない
だがフーリエの見解にはどうしてもまったをかけざるを得ない、それではこの一連の問題は自分達が引き起こした事となってしまう
「待ってください。それは俺たち人間の存在が魔物を強くしたって事ですか?」
「今、そう説明したつもりだけど?ま、あくまで仮説だけどね」
「私たちがいるから、魔物は進化してしまう……」
混乱を抑える事もなく、フーリエはパスカルから聞いた情報を元に立てた仮説をつっけんどんに話し終わる、では自分達 人間がいなくならなければ魔物の進化は止まらないのか?
姉の仮説の間に水を差す事なく、聞き続けていたパスカルは全てを聞いた上でフーリエへとその仮説に異議を唱えた
「う~ん、だけどさ、お姉ちゃん。さすがに進化が急速すぎない?」
「そうね、本来何世代もかけて徐々に進化していくものだから。だけど、昔から大輝石の側では生物の突然変異は多数起こっているわ
何か外からの干渉があれば、進化の確立は増すという事よ。他にも星の核やラムダのような存在が影響を与える可能性は高い。ラムダが元凶とは考えられないかしら?」
「それはない」
フォドラでもラムダの意思が関与した魔物により、滅亡に追い込まれた、その事がエフィネアでも起こるのではないかと危惧するフーリエの問いかけにアスベルは間髪入れずに否定する
その確信の出所は自身の中にラムダが存在しているからか、そんなアスベルの言葉を聞いていたらしい、話に出た人物が反応した様だ
《言い切ったな……》
断言された事に腹を立てた様子の存在の言い分に耳を傾けようと瞳を閉じたアスベルの意識はラムダと二人で共有する領域に呼び出された
目の前には声色で察しがついていた様に荒々しい光を漂わせるラムダが先程の言葉の続きを間髪入れずにアスベルへぶつける、アスベルが抱く確信はラムダにとって自分の力を蔑視されたかと取れた様だ
《なぜ無いと言える?我の力を見くびっているのか?》
『そうじゃない、俺はお前と生きると決めたんだ。信じるのは当たり前だ』
《信じる……だと?》
聞き慣れないその言葉にラムダは一瞬、呼吸するのを忘れる程に衝撃を受けた
いつも疎まれてばかりの自分がその言葉を初めて聞いたのは遥か昔、言葉を失ったラムダへとアスベルは更にラムダを信じるに値する行動を例として上げる
『さっきだって、俺を助けようとしたからお前は力を貸してくれたんだろ?』
《……例えそうだとしても、貴様が宿主だからだ
我を内に封じたからといって、簡単に制せると思うのは傲慢な考えだな》
『制せるなんて思ってない、ただお前のおかげでなんとか危機を脱する事が出来た』
半年前の怨嗟に呑まれたままのラムダだったら、あの危機にも目覚めずに力を貸すこともなかっただろう
どんな考えがあったにせよ、ラムダが信頼に値する存在だとあの時、すでにアスベルは認識していたのだ
下から向けられる視線に気付き、彼女の中にある不安を察し、心配ないと言う様に小さく微笑むものの、それでも彼の左目に片鱗をのぞかせる存在にソフィの心の蟠りは解けないままだった
「ソフィ?どうしたの?」
様子を伺う言葉にも返答出来ないソフィに歩み寄ったアスベルはその頭を苦笑しながらもいつもの様に優しく撫でる、その不安は無用だと言い聞かせる様に
「安心しろ、前のようにはならないから
俺はお前と戦ったりしない。大丈夫だ、ソフィ」
確かな自信を覗かせるアスベルからの言葉は確かに頼もしいが、一度芽を出した不安はそう簡単に消える筈もなく、ソフィは再び視線を微かに下に落としてしまった
小さな胸に巣食う不安の根は深く蔓延っているとその様子から察したラティアはアスベルの隣に並び、今はその不安を燻らせない様にとただ優しく微笑む
「……今度は一緒に行きましょう?皆がいるから、大丈夫」
「……うん」
遺跡を脱出したラティア達は生物学に精通するフーリエに新種の魔物について見解を聞く為に里へ踵を返し、真っ先に長の間へと移動する
移動する足場によって運ばれた長の間では自分達にソフィとパスカルの危機を知らせてくれたポアソンと長、そして同じタイミングで戻ってきたのであろうフーリエが何やら議論を展開している所であった
「やっほー、お姉ちゃん♪久しぶり~」
「久々に里でゆっくり出来ると思ったら……」
厄介事が飛び込んできたと言わんばかりに眉を顰めるフーリエの里帰りはどうやらまだまだ息抜きに値するものとは言い難い様だ
フーリエとは真逆に無事に帰還したラティア達の姿に安堵した様にポアソンは笑みを零しており、出迎えの差には明確な落差が見られた
「これはまた随分とにぎやかな団体様の到着だこと」
「あのね、お姉ちゃん。ちょっとお姉ちゃんの知恵を貸してほしいんだ」
「私の?」
せめてもの皮肉をと告げられたフーリエの言葉も受け流したパスカルは自身の姉へと先程対峙した変異、または新種の魔物に関する情報を口答で渡す
「魔物の変質に関しては状況や環境に適応するための突然変異の可能性が高いわね」
「それはどういう事ですか?」
「元来、生物には種を保存するメカニズムが備わっているのよ。極寒の地に生息する生き物も最初から寒さに適した体を持っていたわけではないわ
外敵の少ない土地に移り住み、その地方に適応した形に種を進化させていった結果なの」
「それと同じ事が魔物にも起こったと?」
「今回の場合は人という外敵に対し、魔物の生存本能が個体に進化を促したってところかしら?」
人間が魔物の存在を脅威とする様に魔物もまた人間に脅威し、人間から自身を守り、生き抜こうとする、ラムダしかり魔物しかり…例え一線を越えた存在でもその思考回路は何ら人間達と変わりはない
だがフーリエの見解にはどうしてもまったをかけざるを得ない、それではこの一連の問題は自分達が引き起こした事となってしまう
「待ってください。それは俺たち人間の存在が魔物を強くしたって事ですか?」
「今、そう説明したつもりだけど?ま、あくまで仮説だけどね」
「私たちがいるから、魔物は進化してしまう……」
混乱を抑える事もなく、フーリエはパスカルから聞いた情報を元に立てた仮説をつっけんどんに話し終わる、では自分達 人間がいなくならなければ魔物の進化は止まらないのか?
姉の仮説の間に水を差す事なく、聞き続けていたパスカルは全てを聞いた上でフーリエへとその仮説に異議を唱えた
「う~ん、だけどさ、お姉ちゃん。さすがに進化が急速すぎない?」
「そうね、本来何世代もかけて徐々に進化していくものだから。だけど、昔から大輝石の側では生物の突然変異は多数起こっているわ
何か外からの干渉があれば、進化の確立は増すという事よ。他にも星の核やラムダのような存在が影響を与える可能性は高い。ラムダが元凶とは考えられないかしら?」
「それはない」
フォドラでもラムダの意思が関与した魔物により、滅亡に追い込まれた、その事がエフィネアでも起こるのではないかと危惧するフーリエの問いかけにアスベルは間髪入れずに否定する
その確信の出所は自身の中にラムダが存在しているからか、そんなアスベルの言葉を聞いていたらしい、話に出た人物が反応した様だ
《言い切ったな……》
断言された事に腹を立てた様子の存在の言い分に耳を傾けようと瞳を閉じたアスベルの意識はラムダと二人で共有する領域に呼び出された
目の前には声色で察しがついていた様に荒々しい光を漂わせるラムダが先程の言葉の続きを間髪入れずにアスベルへぶつける、アスベルが抱く確信はラムダにとって自分の力を蔑視されたかと取れた様だ
《なぜ無いと言える?我の力を見くびっているのか?》
『そうじゃない、俺はお前と生きると決めたんだ。信じるのは当たり前だ』
《信じる……だと?》
聞き慣れないその言葉にラムダは一瞬、呼吸するのを忘れる程に衝撃を受けた
いつも疎まれてばかりの自分がその言葉を初めて聞いたのは遥か昔、言葉を失ったラムダへとアスベルは更にラムダを信じるに値する行動を例として上げる
『さっきだって、俺を助けようとしたからお前は力を貸してくれたんだろ?』
《……例えそうだとしても、貴様が宿主だからだ
我を内に封じたからといって、簡単に制せると思うのは傲慢な考えだな》
『制せるなんて思ってない、ただお前のおかげでなんとか危機を脱する事が出来た』
半年前の怨嗟に呑まれたままのラムダだったら、あの危機にも目覚めずに力を貸すこともなかっただろう
どんな考えがあったにせよ、ラムダが信頼に値する存在だとあの時、すでにアスベルは認識していたのだ