Memoria:47 涙に見放された想いはどこにもいけず
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「行きます!天を舞い、地に落ちよ!雷瞬、砕閃!」
「この名を以ちて裁け!リリジャス!」
「斬風牙!砂と散れ!空破、絶掌撃!」
ラムダの力により行動が緩んだとはいえ、装甲がなくなった訳ではなく、開戦で初撃を加えたラティアの腕に振動が走る
思わず眉を顰めてしまう程の堅さは大翠緑石の地下で苦戦を強いられた魔物と同じものだった、彼女から始まる連携はヒューバートでしめられ、そこを魔物が頭に携える鋏で挟もうと口を開く
「それで攻撃のつもりですか?」
何とも安っぽく、軽い攻撃だと不機嫌そうに眉を吊り上げたヒューバートは鋏を受け止めるとそれを手に持っていた自身の武器で切り捨てた
「我が破りしは平穏なる障壁、具現せよ!グリムシルフィ!」
「腐食、其は希望の終焉!サイフォンタングル!」
呼び出された精霊の攻撃により、羽根を傷付けられた魔物が地面に落ちた瞬間、魔物を待ち受けていたのは自身を飲み込む底が見えぬ沼
底無し沼に引き込まれた魔物はそのまま、沼の底へと消失したのだった、それを確認したラティアは直ぐさま、他の2体と応戦する仲間と合流する
「翔帝刃!翻弄されて下さい!っ、あ…!」
「封翼衝!ラティア、大丈夫か!」
連撃のしめに背中を見せた隙に魔物の凶暴な鋏がラティアを締め上げ、それを救うべく、アスベルの帯刀技が魔物の頭部に衝撃を加え、気絶状態に移行させる
ありがとうございます、と自身の至らなさと油断があった事を認めたラティアの視界にまだ攻撃が通っていない無傷な魔物が詠唱中のシェリアに向かっているのを発見する
「ッ…シェリア、逃げてください!」
「大丈夫よ!それではこちらも!ライトニングブラスター!」
「アストラルベルト!研ぎ澄ませ!当たって!掌底破!」
不安を払拭させる様に強気に立ち上る光の中で微笑むシェリアの神聖術が魔物を返り討ちにし、その攻撃を補うかの様にソフィの格闘技が鋭く打ち抜いた
先程は隙を取られた魔物はマリクとパスカル、ヒューバートの攻撃により、堅い装甲を打ち破るが如く、ほふられ、残りは後1体となっていた
「力を借りるぞ!」
「……!」
残り1体という事でここで一気に畳み掛けようとアスベルは自身の内に目覚めたラムダの力を解放し、魔物目掛けて直進する
その力を再度目の当たりにしたソフィは彼の力がラムダのものなのだと今度こそ、受け入れなければならない事に心に波紋を呼び起こしていた
「風牙絶咬!砕け散れ!紫電一閃!」
最後の足掻きに鋏を左右に開いた魔物だったが、それはアスベルにとっての絶交の好機、鋭敏な突きにより縮まった間合いの中は彼の独壇場と化す
「紡ぎしは寛容、その輝きに名を与うる! ピクシーサークル!ラティア、これでどう?」
「十分です!紡ぎし詠嘆の助けとならん、スペル・エンハンス!リチャードさん!」
「ああ、助かるよ!星を超え、我が道を阻む者を光に熔かせ!シューティングスター!…静かに眠れ!」
エフィネアの外に点在する隕石が複数の流星となり、魔物を撃ち払い、大紅蓮石の間には元の静寂が蘇った
何とか魔物の群れを退けたものの、あの新種の魔物の装甲の堅さには難儀するものでラティア達は消耗した体力を隠そうともせずに肩で呼吸を整える
「どうにか片付いたか」
「しかし、ここにもですか」
「みんなはもうあれを経験済みだったの?」
「ウィンドルの地下遺跡で出会った、ラムダの力がなければ危なかった」
その言葉にラムダが目覚めた事を知ったパスカルは驚くと同時に表情を強張らせる、それもその筈、ラムダが目覚めた事でアスベルがリチャードの二の舞になるのではないかと不安が誰しもあるのだから
「ラムダ、目が覚めたの?」
「ああ、そのようだ」
「ま~、結果的に役に立ってるからいいの……かなぁ?」
「ラムダの力はかなり効いてるみたいだしね」
半年前の出来事の様にリチャードの体を乗っ取ろうとしている動きもなく、こちらのピンチを脱出するのに力を貸してくれた今のラムダは危険視する存在ではないのかと議論する裏側でソフィが一人、眉を顰め俯いていた
その真意は自分の力が先程の魔物、もしくはラムダの力に及ばずに力不足を痛感しているからか、それともラムダが目覚めた事で再び半年前の出来事が再臨すると危惧しているからか…
ソフィが危惧している前では現在、世界中で姿を確認される魔物について話題が上がっていた、大翠緑石の地下での出来事ではパスカルはいなかったが、今は彼女がいるので何か手がかりが貰えるかもしれない
「突然魔物が変異して、僕たちも困惑している。何かわかった事があるなら、教えてもらえないだろうか」
「この手の生っぽいのはあたし専門外なんだ、お姉ちゃんに聞いた方がいいよ」
「フーリエさんは今どこに?」
「最近までは研究所に詰めてたんだけど……そろそろ里に戻ってると思うから、アンマルチアの里に帰ろっか。あたしも皆に話したい事あるし」
この魔物の脅威を何とかする為にもとやかく言う暇はない、今は僅かでもこの魔物に対する情報が欲しい、里に戻ろうとリチャードと頷き合ったアスベルはソフィへ振り返る
今の彼女には自分達が話していた事が頭に残らない程の不安に押し潰されそうになっていた、出来るならラムダにはずっと目覚めていてほしかった、ラムダが目覚めれば自分はまた…
「ラムダ……アスベルの中のラムダが……」
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