chapter:13 ノワールへ消えゆく鼓動
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「ユーリ、ラピードの様子…」
「ああ、何か変だな、どうした?ラピード」
「変な音聞こえない?」
「言われてみればそうね」
「何かあったのかな…」
「ああ、なんでも結界魔導器の調子が悪いらしいんですよ」
聞き耳を立てれば、確かに何かが振動する様な音が鼓膜を響かせる、それに尚更不振を浮かべ、言葉を各々交差させる
アルシア達へ放った宿屋の主人の言葉に一目散に駈けようとするリタにユーリは待ったをかける
「ちょい待った!」
「待ってらんないわよ」
「騎士団長様だっているんだ、すぐに手打ってくれるだろ」
「リタが出て行って勝手するとエフミドの丘ん時みたいになっちゃうもんね」
「ま、気が向いたら、フレンに知らせてやりゃいい」
「(フレンもここに来てたんだ…)
でもエステルにも会いたいから、昨日の騎士団本部行ってみない?その方がリタも安心するでしょ?」
「まあ…そうだけど…」
アルシアの提案にリタは頷く、途中で追いかけて来たエステルと合流し、昨日聴取を受けた部屋でフレンはいた
「何か結界魔導器が変な音出してるけど、平気か?」
「それが気になってわざわざ顔を出したのか
相変わらず、目の前の事件をユーリは放っておけないんだな」
「今回はユーリじゃなくて…」
「様子がおかしいのは明白よ、あたしに調べさせて!」
「今、こちらでも修繕の手配はしてあるんだ、悪いが魔導器を調べさせるわけにはいかない」
「なんでよ!」
「リタ、落ち着い…っ!」
「アルシア!」
リタがフレンに噛み付いた瞬間、地震の様な大きな揺れがアルシア達を襲い、倒れそうになった彼女をユーリが支えた
魔導器に何かあったのかと話す中で今度は止める暇もなく、リタが疾風の如く走り出し、次はユーリとフレンが駆け出す、その後をアルシアとカロルは慌てて追いかける
広場の結界魔導器は禍々しい光を放ち、辺りの植物は異常な程に成長を続けている、カルボクラムの様にエアルが異常に放出している
その原因へ駆け出そうとするリタの腕をユーリは慌てて引き止めた
「ちょっとはなして!この子、ほっとけないのよ!エアルがバカみたいに出てる!この濃度じゃ命に関わるわ!」
「おまえだって危険じゃねぇか!?」
「ユーリ、リタ!っ…きゃ!」
再び大きな揺れと魔導器から弾かれる様な衝撃が襲い、ユーリはリタの腕を離してしまい、リタは魔導器へ駆け寄ってしまっている
「ぐっ!あの魔導器バカ!」
「……っ」
「アルシア…?!」
―体が言うこと聞かない…今までの比じゃないくらい…皆、ぼやけて…体が熱い…
あまりの体の重さにアルシアはその場に膝をついてしまう、その額に溢れる尋常ではない汗と青白い顔色に戻った筈の体調が蝕まれているのが分かる程
そんな彼女にユーリが気付き、体を支えているがその温度も分からない程に神経が麻痺してしまっている様で声だけが辛うじて自分を繋ぎ止める
「アルシア!どうした!」
「危ない!今すぐ離れるんだ……アルシア……?!」
「……市民を街の外へ誘導だ、あと姫様を含めた彼等も
エアルの暴走だ、どうなるか想像もつかん」
誰かが騒ぎ立っている、脳までも白くなり、今がどの様な現状かが全く分からない
「リタ!!」
エステルの声が聞こえた時、自分の中に何かが入り込んでくる、この感覚はクオイの森で感じたものと同じ
侵蝕する何か、細胞一つ一つに熱を帯びさせ、それ等は自分の中で変化して行き、連続的に自分の中を突き抜けようと動いている
―リタ、エステル、ユーリ、フレン、カロル、ラピード…皆、皆…守らなきゃ…
ただそれだけが自分を自分で存在させる、重い腕を結界魔導器へ向ければ、その手を誰かが握った、きっとユーリだろう
どくん、と一つ心臓が動くと内側に充満している"何か"が自分の中で弾け、昇華し衝撃が襲う
「っ…アルシア!返事しろ!オイ!アルシアっ!!」
―良かった…
守れたんだ、と感じたのを最後にアルシアの意識は暗い場所へ沈んだ
必死に意識を失い、浅い呼吸をユーリの腕中で繰り返す彼女を見て、誰かが深く暗い笑みを讃える
「まさか共に在ったとは…何とも都合が良い」
ノワールに消えゆく鼓動
(落ちる夢の中で泣きそうな彼の姿)