ほしあかり
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「華月は甘過ぎる!」
「そ、そうかな?盗んだって最初から決めつけるのは良くないかなって…」
「それが盗品だったら、皆、捕まっちまうかもしれないんだぞ?」
「いやだぜ?俺達までこれつけるの」
「よせ、…使わせてもらうよ」
この中では甘い方である華月の言い分をひっくり返し、ラリーの顔についたマーカーをなぞる仲間を制止したのは遊星だった
中心で責められるラリーへ歩み寄った遊星はその手を伸ばし、ラリーからジャンクから持ってきたという真新しいチップを受け取ると早速Dホイールへ組み込もうと内部を開く
「いいのか、遊星」
「きっと速くなるよ!絶対だよ!」
興奮した様子であるラリーの期待を背に受けながら、遊星は引っ張り出した基盤へ元々組み込まれていたチップを真新しいチップへ取り換える
「なあ、遊星。気持ちは分かるけど、ジャックの事なんかもう放っとけよ」
「遊星はジャックと決着をつけにいくんだよ!」
「だからさ、その為だけに態々危ない橋を渡るのはどうかって言ってんの!
華月。お前も遊星の幼馴染みとして何とか言ってやれよ、危ない事すんなってさ」
「…確かに遊星には危ない事、してもらいたくないよ?」
「だろ?だったら…」
サテライトからシティへ渡る方法はどれも危険な道しかない、そこを遊星が通っていくなら華月も止めたいとは思う
だけどこうも思うのだ、ジャックが出来たのなら遊星も出来るかもしれない──ずっと一緒にいて育んできた全幅の信頼が心配はあるものの、華月を不安にはさせなかった
「でも、私は遊星の思いを尊重したい
きっと遊星なら自分の決めた事をやり遂げて、ここに帰って来てくれるって…そう信じてる」
「…華月、お前って本当に遊星大好きだよなぁ」
「し、真剣な話をしてるのにからかわないでよ…」
かぁと顔を赤くする華月のおかげで少し場が和む中、チップを組み込んだDホイールのエンジンがグリップの動きと共に噴き上がる
さっきのエンジン音と比べ物にならない桁違いのエンジン音に一見いつも通りの無表情に見える口元へ微かに笑みを浮かべ、遊星は愛しそうにDホイールを撫でた
「どう?全然違うでしょ?」
「うん。今までのものと全然違うのが、私にも分かるよ…!」
「走ろうよ!凄く速いよ!」
ヘルメットをラリーが遊星へ差し出したその時、アジト周辺を眩い光が照らしだした
上空から照らし出す光を伴い、静かなサテライトの空へ撒き散らす様な轟音は一機のヘリコプターのものからなるものだ
「セキュリティだ!」
《認識番号 AWX-86007!ラリー・ドンソン!窃盗の疑いがある、速やかに投降せよ!》
セキュリティからの警告を受け、ナーヴ達はラリーの方へ一斉に振り返る
その間にもセキュリティは場の雰囲気を悪化、緊迫させる様に警告のアナウンスを続けた
《出て来い!マーカーがある限り、逃げ切れんぞ!》
「お前!」
「ごめんよ!本当は工場から持ち出したんだ…
だって、遊星にジャックに勝って欲しかったんだよ!」
「だからって…!」
「ナーヴ!手はあげないであげて!遊星を思っての行動には違いないから…っ」
「でもよ…!」
遊星に勝って欲しい、ジャックの元まで辿り着いて欲しいというラリーの願いはここにいる者達が抱く共通のものだ
けれどそれで盗みを働き、ここで全員捕まれば終わりだというのに分かっていないラリーへ振り上げようとする手を納め、華月は自分を申し訳なさそうに見上げるラリーへ腰を屈めた
「華月、嘘ついてごめん…」
「ううん、でも本当にもうマーカーがつく様な事は誰かの為であってもしないで?」
「うん…!」
「マーカー付きじゃ逃げ切れねぇ!セキュリティとリンクする信号を出してんだぞ!」
「マーカーの信号は撹乱した」
「ジャミングしたのか?」
いつの間にかこの会話、この緊迫した空間で遊星はパソコンからセキュリティをハッキングした様だ
相変わらずの手の速さと仲間を思う彼の気持ちにそこだけは変わっていないのだ、と華月は安堵しながらこちらを見下ろす光に目を細める
「皆は向こうへ、セキュリティは俺が引きつける。華月」
「え?わっ」
突然投げ渡されたヘルメットに混乱するも遊星の言わんとする事を察し、華月はすぐさまにヘルメットで頭を覆うとDホイールへ跨る彼に続き、その腰へ腕を回した
アジトを飛び出したDホイールの後を追ってくるセキュリティに気を使いながらも道路を駆けるDホイールを纏う風、こんな状況なのに華月は興奮に笑顔を浮かべた
「凄く速いね、遊星…!」
「ああ、完璧だ」
「そこのDホイール!逃げても無駄だ!止まりやがれ!」
アジトを飛び出す際に鉢会っていたセキュリティを広い廃墟へと誘い込み、そこで一旦逃走は終わりだと遊星がDホイールを停止させる
「おい!そのDホイール…どこから盗んだ?」
「盗んだなんて、最初から決めつけないでください!」
「屑が盗んだ以外にどうやってDホイールを手に入れるっていうんだ?」
「っ…」
サテライトの人間を侮辱する様な言葉、どうしてシティの人間やセキュリティにここまで馬鹿にされないといけないのか
自分達はただ必死にここで肩を寄せ合って生きているだけなのに、尚も遊星のレッテルを剥がそうと弁解しようとする華月を遊星が腕で制止した
「マーカーなしか、はっ!囮かよ?屑は屑同士、庇い合いか?
お前らが逃亡を手助けしたおかげで立派に拘束する理由ができたな、そのDホイールの出所を聞かなきゃな」
「だから、これは盗んだんじゃなくて遊星が自分で…っ」
「おい」
「ん?」
「デュエルしろよ」
「はっ、サテライトの屑が俺とデュエルだとぉ?カードも持ってないくせに、笑わせんなよ」
「カードは拾った」
拾い集めたカード達で構築されたデッキを腕にセットし、遊星は鋭い眼光を緩める事無く目の前のセキュリティに要求を突き付けた
「俺が勝てば、今日の事は全てなかった事にしてもらう」
「お前!そんな事、出来る訳…!」
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