chapter:41 楔はただ、そこで沈黙を守るのみ
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「それがあいつの知りたがった現実だ」
「そうね……でも彼女にとってあまりにも心の準備も何もなさすぎた……」
「……早く戻ってあげよう?ラピードがいるにしてもあんな場所に一人でいるのは辛いよ…」
「そうだな、早いとこ戻ってやろうぜ」
道を引き返し、墓場に戻ると依然としてパティは墓石の前で座り込んでいた
敢えて彼女に最初に触れずにラピードを労り、目的であるミョルゾの道標を手に入れた事を告げると彼は嬉しそうに一吠え
「パティ、立てるか、行くぞ」
「……もう……行くんか……」
「……大丈夫です?」
「心の整理、ついた…?」
「もう……平気……」
「無理すんなよ」
「……サイファー……」
「……行けるか?」
目の前の墓石を見つめ、ある人物の名を呟いたパティはユーリの問いに答えずに洞窟の外へと歩き出す、やけにしっかりとした足取りで
「……あいつ、もしかして……」
「パティ、大丈夫かな…?」
「平気って言ったんだ、信じてやろうぜ」
自分の不安にそう声をかけられ、アルシアはそうだねと答えると皆の後を追い、洞窟を後にしフィエルティア号をエゴソーの森へと航海させる
ミョルゾの道標を今向かってる先で鳴らすという事を確認していると不意に言葉少なだったパティがユーリにいつになく気難しい表情で呼んだ
「……ユーリ、話があるのじゃ」
「なんだ……?」
「うちは……この辺りでみんなとバイバイしたいのじゃ。そろそろユーリたちと別れる潮時なのじゃ」
「……本気か?」
「なぜ突然?わたしたちと一緒に行くのがイヤになったんです?」
「そういうわけではないのじゃ」
「……もしアイフリードのことでボクたちに気兼ねしてるんだったら、」
「これ以上迷惑をかけるのはイヤなのじゃ。例えみんなが気にしなくても……うちがイヤなのじゃ」
「パティ……」
見るからに自分達を気兼ねしているパティをこれ以上に引き止める言葉が見つからないエステルの後を引き継ぐ様にしかめっ面のリタが言葉を続ける
「どいつもこいつも、迷惑なヤツばっかじゃない。あんた一人いたくらいでこの集団で何が変わるのよ」
「リタ姐……」
「本当にやるべきことを優先させるためだってなら、引き止めやしないんだけどな」
「うちは……」
「パティちゃんいなくなったら、ちょっと寂しいわね」
「もうここまで一緒に来たら遠慮なんかなしだよ」
「一緒に砂漠も越えたし、たくさん一緒に戦いました」
「一緒にフェローの所まで来てくれたよね、それに…そんな顔してるパティを一人になんか出来ないよ…心配だから」
「それにその答えはなにもこんな場所で出さなくてもいいんじゃないかしら?」
「ま、ここで抜けられると船を動かせなくなって、オレたちも困っちまうしな」
「うちは……」
各々に思いを吐露され、パティは彼らから離れるという決断を揺らがされ言葉を詰まらせてしまう、彼らの言葉を無下に出来ないから
彼らの言葉と自分の思いに板挟みされ、答えが出ないパティをユーリとアルシアは気遣う
「少し頭冷やしてから考えてみな、それで出た答えなら好きにしたらいい
それまではとりあえず一緒に来ればいいんじゃないか?」
「焦って答えを出して後悔して欲しくないから…」
「……わかったのじゃ」
「じゃ、エゴソーの森、だね」
「不審者を排除して、あの鐘を鳴らせばいいのよね?」
「ええ」
楔はただ、そこで沈黙を守るのみ
(ただ待ち人を待ち続け、)