chapter:36 誓約の上にて紅涙の反照に彼は伏す
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「てめぇ……アイフリードにそっくりだ……まさに生き写しだぜ……」
「ドンがそう言うなら…パティはやっぱり…」
「じゃあやっぱり……パティがアイフリードの孫ってのは本当……?」
「孫?孫か……奴に孫がいるなんて話、全然知らなかったぜ」
「なるほどな……パティのたぶんに間違いなかったってことか……」
「例の事件のことは身内として色々とやるせないことも多かっただろうな」
「ある理由があって、うちはアイフリードの足跡を追ってるのじゃ。友達だったドンなら何か知ってるかと思って訪ねてきたのじゃ」
「ふん、友達なんてそんな大層なもんじゃねぇ。自由気ままな奴だ、俺はあいつがどこで何をしてたのか、そして今どうしてるのかそこまで知らねぇさ」
何か知っているかもしれないと期待を持っていたドンでさえもアイフリードの事を知らないと判明し、パティは少なからず肩を落とす
だがドンとは初めて会った感覚がせず、どこかで会った事があるかと問うが何処かあやふやに交わされてしまった、会話の終わり際にユーリは《蒼穹の水玉》をドンへ差し出す
「じいさんの盟友の形見だ、あんたに届けてくれって頼まれた」
「そうか……世話かけたようだな、ちっ……こんな姿になりやがって……」
「ねぇ、その聖核って一体何なの?」
「こいつはな」
リタの問いにドンが答えようとした瞬間、外からこの部屋の扉を怖そうとする破壊音が遮った
「話してる暇はねぇ、か……すまねぇがザコの相手は任せる」
「あ…!」
「ちょっ」
アルシア達にそう頼むとドンもイエガー達が使った逃走経路から外へと出て行ってしまった
同時に扉も壊されてしまい、室内には赤目の男達が殺気立って今にも切り掛かろうと現れる
「こりゃオレたちも逃げようぜ」
「悪い、時間稼いでやってくれ」
「レイヴン?」
「頼むわ」
「しゃあねーな」
「…おじ様とドンからの頼みを疎かにするのも気が引けるしね」
何処か暗い影を落とす瞳で告げられてしまえば嫌とは言えない、逃走しようとしたアルシア達は考えを改め、目の前の赤目の男達と連戦を繰り返す
扉外から入ってくる男達の数が減って来た頃、十分時間も稼ぐ事が出来ただろうとユーリとアルシアは視線を合わせ頷き合う
「もう十分じゃない?」
「ああ、そろそろ潮時だぜ」
「だな」
同意も得られ、逃げ場はやはり割れた窓しかない、リタやレイヴン達が躊躇いなく降りる姿にエステルとアルシアは気が引けた
「ってここから……?」
「他に出口がないから仕方ない、けど…心の準備が…」
「きゃっ」
「ラ、ラピード?!」
腰が引けるエステルの腕を甘噛みし引っ張る形でラピードは彼女と共に窓から飛び降りた
その姿に呆然としていると自分もぐっと腰を引っ張られる、こんな事をするのは彼しかいない
「ユ、ユーリ?!」
「高所恐怖症のお姫様はこんくらいしないとだめだろ?しっかり捕まってろよ」
「別に高所恐怖症とかじゃ…っ…っ~!」
体験した事がない飛び降りに流石のアルシアも戸惑っているとユーリに俗に言う姫抱きにされ、窓から飛び降りた瞬間にふわりと体を襲う浮遊感に思わず彼に抱き着く
その時、再びフィエルティア号で感じた頬の熱を感じた、腰を支えていた腕の感覚がなくなり、代わりに地面に足がついた感覚にアルシアは胸を抑える
「どうもいやな感じだ、オレたちもダングレストに戻るぞ」
「う、うん…」
「アルシア、お前本当にちゃんと飯食べてるか?腰細すぎだろ」
「食べてるよ!ってそういう話をしてる時じゃないでしょっ」
ダングレストに戻ると自分達を待っていたのかカロルが慌てた様子で駆け寄って来た、ユニオンと「戦士の殿堂」が兵装魔導器を持ったまま緊迫した状態が続いているのだと言う
加えてドンの様子も可笑しいらしく、それを最初から予測していた様子のレイヴンはやっぱりかと呟き、その言葉の真意をエステルが問い、衝撃的な言葉を返した
「じいさん、最初から死ぬつもりだったのよ」
「なんでよ!ワケわかんないんだけど」
「さっき言ってた代償って…まさか……」
「……ケジメ……かの……?」
「ハリーが先走って結果、ベリウスが死んだ。ノードポリカの統領の命だ、偽情報掴まされて間違えましたで済まされるわきゃない
ベリウスの命に釣り合う代償が必要ってことだ」
「じゃあアルシアが言う様に背徳の館でドンが言っていた代償って……」
「じいさん自身の命か……腹切る覚悟を決めてたから、掟を破ることになってもイエガーを討ちに行ったってのか」
「そんな!そんなのって!」
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