chapter:35 落ちた時計の砂へと至る道程
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「何、この人だかり……」
「!あそこ、カロルもいます」
「一体何があってるの…?」
エステルの視線の先には住民の何人かに取り囲まれているカロルの姿
聞こえてくる範囲では彼らはドンの恩に報いる為に街を守ろうとしているらしいが…彼らの頭に上った血を下げる為にもレイヴンが取り合う
「待て待て、落ち着けおめーら、こりゃ何の騒ぎよ?」
「「戦士の殿堂」の連中がヘリオードの辺りまで乗り込んで来たらしい」
「こっちの非で向こうの頭が殺られたんだ、話をつけに来るのは当然よ」
「ドンがいないとわかったら、奴ら暴走するかもしれない
オレたちが奴らから街を守るんだ、ドンが戻ってくるまで」
「ったく、おまえらがそんなだからドンは……
ギルド同士がぶつかったりしたら、また騎士団の連中が首つっこんでくるかもよ?」
「ダングレストは帝国から独立したんだ!騎士団なんざにとやかく言わせねぇ!」
「協定はまだ結ばれてねーっつの……」
自分を取り囲んでいた住民達がレイヴンに気を取られている隙にカロルはアルシア達へと駆け寄り、焦りを隠さずに捲し立てる
「ユーリ!みんな!どうしよう?!ギルド同士の戦争になっちゃう!ドンがいたらこんな事には……」
「ドンは背徳の館って「海凶の爪」の根城に行ったかもしれないってさ」
「え!それホント!」
「おそらく……ですけど……」
「オレたちは今からそこにいってみる、一緒に来るか?」
「…でもドン、そこにいないかもしれないんでしょ?」
「確証はないから…いないかもしれない」
アルシアが言う様に背徳の館へドンが向かったのはレイヴンの勘でしかないのだ
いない可能性の方が確率は高い、それが分かっているからこそカロルは素直に喜べずに寧ろ表情に不安の影を落とす
「もしいなかったら……ドンを探してる間に戦いになっちゃったら……ユーリ……アルシア……どうしよう……?どうしたらいいんだろう……?」
「背徳の館はオレたちだけで大丈夫だろ、カロルは自分の思うようにやるといい」
「館の方は私たちに任せて、ここはカロルに任せて良い?」
「う、うん……じゃあボク、みんなと話してくる!」
再び二人に後押しされ、カロルはレイヴンと話している住民達の中へと飛び込んで行った
「これで良かったのでしょうか?」
「仕方ないわ、ドンを追う事とここに残って街を守ること、同時には出来ないんだから」
「ドンが背徳の館で見つかるといいのですけど……」
「この混乱を止める為にも、ドンの安否を確認する為にも急がなきゃ」
「オレたちも行くぞ、ドンの遊び相手が本当にイエガーだったらタダですむとは思えねぇ」
この場の混乱をカロルに任せ、アルシア達はドンを連れ戻す為に人だかりに背を向け、西の出口へと歩き出す
「ちょ、場所わかってんの?!ずっと西に行ったとこよ!ってゆっかおいてくな~」
「おじ様、道案内お願いね?」
「アルシアちゃんの頼みなら!」
「おっさんは知らない内について来てるから、面倒見なくていいぞ、アルシア」
「青年酷い!」
人だかりの相手で危うく置き去りにされる所であったが、アルシアが待っていた事で追いつけたレイヴンを待っていたユーリの辛辣な出迎えだった
未だに行方が掴めない一人を覗き、西の出口から抜けようとした所、何処からか可愛らしい声が振って来た
「待つのじゃああ」
「ん?」
「おっとぉ……」
「どこへ行くのじゃ」
上から、しかも自分達の背中側にどこからともなく振って来たのは行方知らずだったパティ
ドンに会いに行く旨を伝えると芳しい成果がなかったので当初の目的通り、つまり自分も彼に会いに行くアルシア達と行動を共にすると出た、だがこれは言っておかねばならない
「言っとくけど目的地は「海凶の爪」のアジトだぜ」
「…………?……どういう理由でそうなったかはよくわからんが、望むところなのじゃ」
「それじゃあ、ついてこい」
「ちょい待ち」
「なんだよ、おっさん」
「わかってんの、敵の本拠地に行くってことがどういうことか」
「どういうことかって言われてもな……」
「こっちはアウェイだ、アウェーイ。準備万端の向こうにこてんぱんにやられたら、おしまいだかんねー」
「ちゃんと準備できてるのってことでしょ?」
「準備万端だっての」
「本当に大丈夫かぁ?」
「いつになく心配性だな、大丈夫だよ」
「そうか?んじゃあ行きましょ」
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