chapter:34 惜しみなく奪い尽くすは悲涙の波
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「それを変えるためにおまえは騎士団にいんだろうが。こんなこと、オレやアルシアに言わせるな。おまえならわかってんだろ」
「…………」
「なんとか言えよ。これじゃオレらの嫌いな帝国そのもじゃねえか、ラゴウやキュモールにでもなるつもりか!」
「なら僕も消すか?ラゴウやキュモールのように君は僕を消すというのか?そしてまたアルシアを泣かせるつもりか?」
「え……それって……?」
「おまえが悪党になるならな」
「ユーリ……?」
「二人はお互いに剣を向ける為に…違う道を選んだ訳じゃないでしょ…剣を向ける相手を間違えないで…!」
今度こそ自分達の袂は、意志の方向の違いを感じずに得なかったアルシアはそれでも二人を止める事を止めはしない
震える声で弱々しくしか発せなかった言葉が彼らに届いたかは分からない
「そいつとの喧嘩なら、別のとこでやってくんない?急いでるんでしょ!?行こ、アルシア」
「リタ…」
「……ち」
「行くわよ!」
「フレン…信じてるから…」
殺気立ち込めるその場を切り裂いたのはリタ、彼女の言葉に引かれる様にアルシア達は止まったままの自分達の船へと飛び乗る
自分達を見逃したフレンにかけた声に彼はどんな表情をしていたのかは知る術はなかった
「今、フレン、ユーリがラゴウをって……」
「話はあとよ!男どもは錨をあげて!」
「ほれ、男は錨だってさ」
「おじ様?!いつの間に…!」
「レイヴン!どこに……」
「こいつも一緒に乗せてやってくれ」
「この人……!」
フレンが発した言葉の真意を知ろうとするカロルの声を遮ったリタの後に今まで姿が見えなかったレイヴンがいつの間にか船室から現れ、アルシアは驚き、カロルは疑問を忘れてしまった
彼と共に船室から現れたのはナンの傍にいたドンの孫であるハリー、慌ただしく出航した船の先には数多くの騎士団の船が待ち受けていた
全員がその場に立っているのもやっとの速度で船はその包囲網を突破して行く
「何よ、この術式……初めて見るものだわ」
「……なに……?」
「聖核が…っ…また…この感じ…?」
包囲網を突破したものの駆動魔導器の魔核は異常な光を帯び、それに共鳴するかの様にエステルの手にある聖核も異常な光を発する
船酔いとは違う体の気だるさに頭を抑えていると船の前部にいたジュディスが険しい表情を浮かべ、現れる為に違和感と嫌な予感が頭を過った
「…ジュディス…?、?!」
「なにするんです!」
「な、やめてぇっ!!」
エステルやリタの制止の言葉も虚しくジュディスはその槍で駆動魔導器の魔核を破壊してしまったのだった
「どうして?」
「……私の道だから」
「何を言ってるの…?ジュディス!、っあれは…!」
「あいつ、バカドラ!」
「ジュディ!待て!」
「……さようなら」
言葉の意味が混乱する頭で良く理解出来ずにいるとリタの仇でもある竜使いの相棒が現れ、ユーリの止める言葉も聞かず、ジュディスを乗せ、羽搏いて行ってしまった
「ジュディス……!?」
「ジュディスが竜使い、だったの…?」
「なんで、どうしてよ!?」
仇は傍にいたのだ、だが仇は仲間と思い始めていた存在、怒りと悲しみで混乱したリタはただ我武者らに今はもう見えないジュディスへと叫んでいた
今日この日だけに色々あり過ぎた、ベリウスの死、ジュディスの本当の姿…「凛々の明星」の今後が危ぶまれる中、アルシアは皆と離れた位置で空を見上げている
「相変わらず何かを考えてる時は星空を見てるんだな」
「あ、ユーリ…、ラゴウとキュモールの事、皆に知られちゃったね」
「いつかは言わなきゃならねえって思ってた事だ、それを打ち明ける事とジュディの事の心の準備はちゃんと整ってなかったけどな」
「…ジュディスの事、ユーリは知ってた上で一緒にいたんだね」
「ああ」
「今日一日だけで色んな事があって疲れた、なぁ…ジュディスがあの竜使いで、ベリウスが…」
「ベリウスの事はアルシアが一番疲れただろ」
「ううん、私があの時に自分で選んだんだもの…ベリウスを自分の剣で止める事を
それでも…何でかな、悲しいのに泣きたい筈なのに涙、出ないんだ」
「…アルシア」
「きっとこれで良いんだよ、エステルもあんなに傷付いたのに涙を流さない、だから私が泣いたら…ってきゃっ」
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